「ぶらあぼONLINE」2021年のクラシック音楽ニュースを振り返る【上半期編】

2021年、ぶらあぼのウェブサイトは2月にデザインを一新し、「ぶらあぼONLINE」としてリニューアルオープンしました。同サイトでは、最新の公演情報やニュース、アーティストインタビューなど、様々なコンテンツを掲載。毎月発行している雑誌「ぶらあぼ」も、デジタルマガジン「ぶらあぼ電子版」でまるごと読むことができるほか、ウェブサイトオリジナル記事も充実しています。そんな「ぶらあぼONLINE」の中から、今年注目を集めた記事をご紹介。2021年のクラシック音楽ニュースを振り返ります。

上半期編

オーケストラの楽屋から 〜N響編〜 第3回

リニューアルオープンでスタートしたオリジナル企画

 「ぶらあぼONLINE」では今年いくつかの新しいコーナーが始動しました。なかでもリニューアルの特別企画として3月にスタートした「オーケストラの楽屋から 〜N響編〜」は、2020年からNHK交響楽団のゲスト・コンサートマスターを務める白井圭さんが毎回、N響メンバーと音楽について語る好評シリーズ。タイトルのとおり、まるでオーケストラの楽屋を訪れて生の声を聞いているような気分になります。クラシック音楽をより身近に、深く楽しめる“ぶらあぼオリジナル”の企画です。
 特に人気が高かったのは、木管セクションを支える2番奏者が集合した第3回。フルートの梶川真歩さん、オーボエの和久井仁さん、クラリネットの山根孝司さん、ファゴットの佐藤由起さんがセカンドの魅力について語ります。
 第2回にはハープの早川りさこさんとチェロ首席の辻本玲さんがゲストに登場し、オーケストラの未来や他の楽器への憧れについて驚き&笑いありのトークが繰り広げられ、多くの方に読まれました。


 そのほか、音楽家ごとにプロフィールやコンサート情報、ニュース記事がまとまった「アーティスト名鑑」が4月にオープンし、お気に入りアーティストの最新情報をチェックしやすくなりました。アーティスト個人のほかオーケストラやオペラ団体なども都道府県ごとにわかりやすく掲載しています。

 6月には、海外で生活する音楽家が現地の音楽活動や日々の様子をレポートする「海の向こうの音楽家」が始まりました。リレー形式の連載で、毎回、違う国の景色や暮らしぶりを想像することができます。

 同じく6月には、ベルギーを拠点に活動するフルート&フラウト・トラヴェルソ奏者、柴田俊幸さんがゲストを迎えて贈る「柴田俊幸のCROSS TALK 古楽とその先と」もスタート。柴田さんは、シギスヴァルト・クイケン率いるラ・プティット・バンドの一員としての活動など、古楽の最前線で活躍されています。実際に古楽の現場ではどんな音楽づくりがおこなわれているのか、奥深い世界に足を踏み入れる一歩となる対談シリーズです。
 第1回はバッハ・コレギウム・ジャパン、読売日本交響楽団などの要職を歴任し鍵盤楽器奏者としても古楽界を牽引してきた鈴木優人さん、第2回は中世から18世紀まで幅広いレパートリーを持つチェンバロ&ヒストリカル・ハープ奏者の西山まりえさん、第3回は管楽器の名手、バロックオーボエの三宮正満さん、クラリネットの満江菜穂子さん、N響ホルン首席の福川伸陽さんが登場しています。

オンライン&配信の広がり

オンライン取材に応じるシャルル・デュトワ

 昨年に引き続き今年も様々な場面でオンラインや配信が積極的に導入され、なかでも4月におこなわれた「東京・春・音楽祭2021」の記者会見が注目を集めました。この記事では、特別ゲストとしてリッカルド・ムーティがリモートで参加したコメント全文を掲載しています。
 2021年の同音楽祭は、リアルな公演と並行して4Kや高音質、マルチアングルでの配信といった、クラシック音楽を楽しむための最新の配信技術を取り入れて開催されました。

 来年3月18日〜4月19日にかけて開催される「東京・春・音楽祭2022」のニュース記事や公演情報については、ぶらあぼONLINEの特集ページで随時更新しています。


 6月は、「2021セイジ・オザワ 松本フェスティバル」への初参加が発表されていた、指揮者シャルル・デュトワのオンライン取材レポートが話題となりました。残念ながら全公演が中止となりましたが、スイスのご自宅でキャップを被ったチャーミングなマエストロの姿が見られる貴重な記事です。


 コロナ禍の影響により、本格的なクラシック公演を視聴できる配信スケジュールをまとめた「クラシック音楽ライブ&アーカイブ配信スケジュール」も多くのクラシックファンにご覧いただきました。このページは、パンデミックによるコンサートホールや劇場の休館・閉鎖に伴い、国内外のアーティストや団体が実施する配信スケジュールを随時更新しており、現在も引き続き情報を更新中!
 お正月、のんびり視聴したい演目を探してみてはいかがでしょうか。

クラシック音楽無料ライブ&アーカイブ配信スケジュール
https://ebravo.jp/streaming/live-free

クラシック音楽有料ライブ&アーカイブ配信スケジュール
https://ebravo.jp/streaming/live-premium

 サイトのリニューアルを機に「TV&FMクラシック音楽番組」をぶらあぼONLINEでチェックできるようになり、毎月1ヵ月ごとのラジオやテレビの放送予定を掲載したページがよく読まれました。配信スケジュールと同様、家にいながらクラシック音楽を気軽に楽しめるので、今後も覗いてみてくださいね(毎月中旬に掲載しています!)。

高まるコンクールの熱気と加速していくピアノ人気

ダニエル・バレンボイム (c) Monika Rittershaus

 2021年は、10月におこなわれたショパンコンクールが印象深い年となりましたが、すでに5月の時点で世の中の関心と熱気は徐々に高まっており、「2021年 主要コンクール・スケジュールまとめ!」と、ショパンコンクールの第2位に入賞した反田恭平さんが設立したJapan National Orchestra株式会社に関する記事に関心が寄せられました。


 「今年はいよいよショパンコンクールの年!」と考えるだけで待ち遠しく嬉しい気分になり、ほかのコンクールにも自然と興味が湧いてきます。5月には、ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで桑原志織さんが第2位に入賞、エリーザベト王妃国際音楽コンクールで務川慧悟さんが第3位、阪田知樹さんが第4位に入賞しました。6月にはハチャトゥリアン国際コンクールの指揮者部門で出口大地さんが優勝。オリンピックイヤーに、音楽の分野でも多くの若者が世界を舞台に活躍する姿を応援した年となりました。


 秋のショパンコンクールの開催に向けてピアノ関連の注目度が高くなっていくなかで、コロナ禍の困難な時期にベルリンから一人で来日したダニエル・バレンボイムによる16年ぶりのピアノ・リサイタルのニュースが話題となりました。


 そのほか、1965年のショパンコンクール覇者で同コンクールの審査員も務めた世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチの功績を称え、大分県がアルゲリッチの誕生日である6月5日を「マルタ・アルゲリッチの日」に制定したニュースも関心を集めました。今年、ちょうど80回目の誕生日を迎えました。

In memoriam

2021年、惜しまれつつ亡くなられた音楽家の方々のご冥福を謹んでお祈りいたします。

ジェイムズ・レヴァイン(指揮)
3月9日 享年77歳

マルティン・トゥルノフスキー(指揮)
5月19日 享年92歳

遠山慶子(ピアノ)
3月29日 享年87歳
http://www.camerata.co.jp/artist/detail.php?id=50