オーケストラの楽屋から 〜N響編〜 第3回

第3回 白井圭 梶川真歩 和久井仁 山根孝司 佐藤由起

 大人気シリーズの3回目、進行役は本企画ではすでにおなじみのN響ゲスト・コンサートマスターの白井圭さん。そしてゲストは、木管セクションを支える2番奏者の人たちにお集まりいただきました。フルートの梶川真歩さん、オーボエの和久井仁さん、クラリネットの山根孝司さん、ファゴットの佐藤由起さん、豪華4名! 今回のお話からは、N響メンバーが本番中にどんなことを思いながら演奏しているのかがよくわかります。プロといえどもやはりそこには優しさや温かみがあり、彼らの心持ちを想像すると、われわれのコンサートの見方・聴き方も変わってくるかも? 

ぶらあぼONLINEリニューアル特別企画:オーケストラの楽屋から
普段なかなか見ることのできないアーティストの素顔や生の声、意外な一面などを紹介していきます。音楽家としてだけでなく、“人”としての魅力をクローズアップし、クラシック音楽をより身近に、そして深く楽しんでもらいたい、そんな思いを込めたコーナーです。
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左より:山根孝司、佐藤由起、白井圭、梶川真歩、和久井仁

♪木管2番奏者集合!

白井 今日は管楽器の2番の人たちに集まってもらったんですけれども、あの、本当は何て言うんですか? 2番でいいんですか? 副首席とか次席とか?

和久井(オーボエ) いやいや、セカンド。

白井 セカンドでいいの? 皆さんそれぞれ何年目ですか? 

和久井 17年目のシーズンに入りました。

白井 すごく長いですね!

和久井 長いのかな…

白井 あっという間?

和久井 まぁそうですね。

白井 次いで長いのは? 山根さん?

山根(クラリネット) 9月で16年目に入ります。

和久井仁(オーボエ)
山根孝司(クラリネット)

佐藤(ファゴット) 私は2008年に試用期間が始まってるから…何年だ?

白井 13年経った? いや違う、13年目! 真歩ちゃんは?

梶川(フルート) 4年目?

佐藤 フレッシュだなあ。

山根 ずっとフレッシュだよなあ(笑)

白井 管楽器の中でも一番若いくらいですか?

梶川 いやいや全然、中村くん(フルートの中村淳二さん)のほうが若い。

佐藤 そうなの~? 結実ちゃん(オーボエ首席の吉村結実さん)が今一番若いんじゃない?

和久井 そうだね。

佐藤由起(ファゴット) 
梶川真歩(フルート)

白井 2番奏者とは簡単にいうと、どういうお仕事をしていますか?

山根 2番って書いてある楽譜を弾いて…

白井 そりゃ簡単すぎるな(笑)

山根 それでたまになんか違う楽器も吹きなさいって。

白井 2番を受けるために違う楽器も練習するんですか?

和久井 オーディションのときは、例えばオーボエはイングリッシュホルンとオーボエと両方あるので、同じように練習するかな。

白井 それまでは、そういう楽器を中心には練習しないでしょ?

佐藤 ピッコロはやりそうじゃない?

梶川 今はヨーロッパだとピッコロ科があったりするので、私はそこで勉強しましたけど、日本にはないからみんな自分で練習していますね。

白井 フルートよりもピッコロを吹きたかったってこと?

梶川 たまたま留学した先にピッコロ科っていうのがあって、私も留学するまで知らなくて。聴講しにいったら先生がめちゃくちゃ上手で私もやりたいなって。あんまりピッコロ上手じゃなかったんですけど、そこではじめてピッコロを吹くようになりました。

白井 ピッコロ専門、みたいな人もいるんですか?

梶川 向こうのオーケストラでは特殊管を吹く人に首席奏者のポジションが与えられるんですよ。学校でもそういうスペシャリストの科があってそこを受けて、専門とする人がそういうポジションにつくことが多くて、お給料も首席奏者の手当がつく。フランスだと。

白井 それはなんでもそう? イングリッシュホルンとかも?

和久井 そうですね。

梶川 バスクラリネットも。

和久井 日本でもそういうオケもあるんです。

白井 コントラファゴットもそう?

佐藤 ですね。

♪私たちは何でも屋

山根 ヨーロッパにはちゃんとソロバスクラリネット、ソロピッコロがあり…

白井 それの他に2番奏者も?

山根 2番だけの人もいるんだけど、やっぱりクラリネットだとEsクラか、バスクラリネットか。どっちかできることが求められる。

梶川 絶対吹けないとだめですよね。

白井 持ち替え楽器って、ヴァイオリンを弾いている僕からすると、どのくらいの楽器の違いのイメージをすればいいんですかね?

佐藤 コントラファゴットって大学だと、新しく入ってきた子が吹くみたいな楽器なんですよ。まだファゴットがそんなに上達してない子が担当させられる。オーケストラでも吹奏楽でも。私なんてN響来るまでに一回しか吹いたことがなかった。

白井 ほんとに!?(笑)

佐藤 N響に3回目にエキストラで呼んでもらったときに、ベルクのヴァイオリンコンチェルトで。あれって結構コントラが難しくって。「コントラできますか?」って言われて、「これ断ったら一生、話こない」と思って、吹けないくせに引き受けて…

一同 (笑)

佐藤 感覚としては、ヴィオラとコントラバスくらい違うんじゃないかな。指は一緒なんだけど、リードの大きさとか息の使い方も全然違う! なんでもっと学生時代に勉強できなかったんだろうとすごい思う。

白井 そんなに違うんだ。

佐藤 言いすぎかなあ? オーディションの前は、自分で用意できないからコントラファゴットを借りて、2ヶ月位ほんとに毎日すっごいさらった。

白井 コントラファゴットてみんな持っているものではない?

佐藤 ないないない。だって1,000万…

山根 すごい値段するよね。

梶川 あ、そんなに高いんですか!

佐藤 当時は800万くらいとか…

白井 上級生はファゴットをやりたがるって、メロディが出てくるから? みんなやっぱりメロディが吹きたい?

佐藤 みんなファゴットを勉強しにきているから、コントラファゴットを吹く必要が全然ないと思ってたから。でもあの時もっと教えてもらいたかったなっていまだに思う。

山根 今思えばやっときゃ良かったってこといっぱいあると思う。

白井 クラリネットでも?

山根 そう。バスクラリネットとかコントラバスクラリネットとか。

白井 コントラバスクラリネット??

山根 ほら、吹奏楽で使うから。一年生とか二年生とかやらされて。でもそこでバスクラリネット面白いなって思って。あえてちゃんとは勉強しなかったけど吹いてる時間はすごく長かった。吹奏楽やります、バスクラやります、Esクラもやりますって。

白井 弦楽器でもコントラバスを選ぶ人はメロディっていうよりも下のパートが好きだって人が多いと思うけども。そういう意味で2番になろうと思って入った人は?

和久井 僕はそっち。ハモるのが好きです。イングリッシュホルンが好きだったんですけど。

白井 イングリッシュホルンはかなりメロディを…

和久井 うん、まあそうね(笑)だからよく言われるのが、ハモるのが好きだからと言うけどあなたはイングリッシュホルンでメロディ吹いてるからそういうこと言えるのよ、って。

山根 でも結果的にみんなね、ピッコロでメロディ、コントラファゴットでメロディ、バスクラリネット、Esクラリネットでメロディと。全然やってないわけでもない。

梶川 なんでも屋ですよね。

白井 なるほど、なんでも屋ね。

和久井 一応僕はオーボエ・ダモーレとイングリッシュホルンとバスオーボエとヘッケルフォンを吹きます。

白井 それは一応契約の中に?

和久井 いや契約に入ってないけど、誰もいないから、僕が大体。

白井 どのくらい登場シーンがあるんですか? 今言った僕が名前も聞いたことない楽器は(笑)

和久井 ヘッケルフォンはR.シュトラウスに5曲くらいあるのと、あとは現代曲にあるんですけど、本当に三年に一回くらい。

佐藤 リードなんてほぼファゴットのリードなんですよ。

梶川 あ、そんなに違うんだ。

和久井 口の形はファゴットなんですよ、指使いはオーボエで。

白井 じゃあファゴットでも音も出せる?

和久井 音は出ると思うけど。でも吹けないです。

白井 木管のみんなは穏やかで仲良し?

梶川 木管楽器は、もう素材も吹くシステムも全然違うので、その楽器事情が4つ全然違うんですよね。だからフルートなんてあまり仲間に入れてもらえないんですよ(笑)

白井 フルートは唯一木管といいながら木を使ってないですもんね。

梶川 木の楽器もあるんですけど、リードがないし、リード削るとかそういう話できないし、寂しいです。

♪家にいる間はずーっと作っています 

白井 リードの話になったけれど、リードって南フランス産が良いって話を聞いたんだけど、基本的に南フランス産なんですか?

山根 ベストと言われているけど、今はどこにでもある。南米とか。

和久井 どこでもってわけじゃないけど、基本まず地中海。あと最近は中国もある。

白井 みなさんはどういうの使ってらっしゃるの?

山根 南フランス。

佐藤 私、イタリア。

和久井 僕はまあ…どこでも。

白井 どこでも(笑)どういう風に見分けるとかあるわけでしょ?

山根 クラリネットは作らないで買うから。書いてある。書いてなくても調べればすぐわかる。この会社はベネズエラのやつ使ってるとか。アルゼンチンとか…

白井 リードって何本くらい常に用意しているものなんですか?

佐藤 それ聞かないで… 

白井 え? だめなの??

一同 (笑)

白井 こないだも結実ちゃんがズラッと並んでいるリードの箱を置いていて、何かあったときの為かと…

和久井 毎日状態が違うので。

山根 湿度によってとかね。

和久井 そう、会場によっても…。毎日作ってます、ずーっと。家にいる間はずっとリードを作っています、僕は。

白井 買うことはできないんですか?

和久井 できないですね。例えば、ここで仕事ができるようなリードは売ってない。アマチュアの人とかが吹くのはもちろん売っていますけど。

白井 ファゴットも作りますよね?

佐藤 最近は買う人も多いみたいなんですけど、人が組んだものってどうしても合わなくて。何回もいよいよ買おうと思って買うんだけど、結局どうしても吹けない。細かいニュアンスがなんか違うみたいに感じてそれが逆にストレスになって、やっぱり自分で作ろうとなって結局作る。多分面積が広い分、ファゴットの方がオーボエほど繊細ではないかも。オーボエの人って常に削っているイメージがあるけど…

白井 つまり我々、そういうことしない人たちが練習して改善しようとすることの大部分が、リード作りの部分で決まるわけですね。

佐藤 ないと練習ができないからめちゃくちゃストレスですよね。できないときは折ってやろうかってくらい(苦笑)特に梅雨になると本当にできない。

白井 我々は困った場合はね、楽器屋さんに持っていけばいいけどね?

梶川 そうですね(笑)

白井 クラリネットはどうですか? 湿気とか。

山根 ぜんぜん変わる。でも我々はお店に行って買って、箱開けて選ぶだけなんで。

白井 リードでそこまで調節できないわけでしょう? 

山根 削ったりは、多少。

白井 あ、するんですか。

山根 裏の面とか、平らであるべきものが歪んでくるとちょっとヤスリをかけたりとか。ちょっと削ったらちょうどよくなるんじゃないかなって時は一応。

白井 そういうのは我々自分たちでできることはないもんね?

梶川 ないですね。唇がカサカサにならないようにするくらい(笑)

一同 (笑)

梶川 リップクリーム塗るくらい(笑)

白井 そうですよね。マツヤニ塗るか、あとは湿気で楽器の状態が変わってきたら調整してもらうか…ある意味、羨ましいような気もするけどね。

梶川 職人ぽくて、カッコいいなと思います。

一同 (笑)

和久井 ないほうがいいよ。

山根 この悩みがなければなあと思う。

白井 本当に? でも自分ですぐにその場で吹き心地を変えられるんですよ? (我々は)変えられないんですよ。そのストレスも知ってください。

一同 (笑)

佐藤 でも変えられなかった時、または悪化したときのストレスもわかります? いじらなきゃよかったー!! って。

白井 そして寿命があるんでしょ?

和久井 そう、オーボエなんか3、4日ですよ。

佐藤 オーボエって組んだらすぐに削れるんですか?

和久井 本当はゆっくりだよね。

佐藤 ファゴットは糸を巻く前に私は大体一週間寝かせるんです。それで糸巻いて…

白井 ごめん全然わからない(笑)まず切るでしょ? 切るというか…どういう状態で売っているの? 丸い筒状?

佐藤 いや、そんな時間はないから(笑)形をつくられたものを買って、それを折りたたんで、こうワイヤーみたいなのにつけて…。

白井 折りたたんでいるの…? あれ、折りたたんでいるの!?

山根 ひとつのものを折ってふたつになっている。

白井 あれひとつのものだったの!!? 知らなかったです…。僕ふたつのものを合わせて巻いてるのかと。

佐藤 そう思うよね。1つのものを折って、最終的にここをパチンを切ると、開くからそこに息を入れる。

左から順に、最初の状態、ワイヤーをつけた状態、糸で巻いた完成形
上の合わせた部分を切ると、息を入れる部分がこのようにできます。

白井 それは上下同じ繊維じゃないと良くないってこと?

佐藤 そうそう。例えばライトとかに照らして繊維が真っ直ぐになっている所を選ぶ。ちょっと曲がってたりするとやっぱり音もあんまりよくない。

和久井 柾目がもうほとんど売っていない。昔に比べて木がみんな曲がっちゃってて。

白井 その中からどこを使うか選ぶのが大変になってくるということ?

和久井 そうですね。僕は1キロ買って使えるのが100グラムないです。1キロ3万~4万円するんだけど、使う部分はもう10分の1もないですね。

白井 それで残った材料はどうするんですか?

和久井 捨てます。

白井 バーベキューとか?

和久井 え?

一同 (笑)

和久井 なんて言った、今?

梶川 バーベキューとかって。

白井 竹串とかに。

一同 (爆笑)

和久井 焼けるかもね、たしかに(笑)

山根 乾燥してるしね(笑)

♪球はどこだ???

白井 木管セクションのリーダーという存在はあるんですか? それとも、自分の楽器の1番奏者がリーダー的な存在ですか?

山根 ここにいる人たちはリーダーになりたくない人たちなんじゃないかな(笑)結局そうだと思いますよ。

白井 リーダーになりたい人は1番になる?

山根 そうですね、主張したいから。我々は、みんなで一緒に作りたいという性格なんじゃないかなと思うけど。

和久井 各オーケストラで1番と2番でオーディションがあるので、僕は2番のオーディションしか受けたことがないんです。だから、みんな「自分は1番をやりたい、2番をやりたい」となっていくんじゃないかなと思うんですけどね。

白井 みんな2番しか受けたことない?

山根 受けたことはあるけど。でも、自分の性格のことを考えたら2番だよなっと思う。

白井 2番で良かったなと。

梶川 私、どっちも受けています。どっちでも良いかなと(笑)

山根 入る前は、とりあえず入ることが目標になるから。

白井 入ってからずっと2番でやっていくと、そういう性格になっていくのかなとちらっと思ったんだけど。

和久井 1番を吹きたい人は受け直してどこかに行ったりとか、(同じオーケストラの)中でも1番に上がる人とか。

白井 管楽器の中で常に見られる存在は無いのかな。ほら、コンサートマスターの場合は、まぁオーケストラ全体からも見られるけど、特に弦楽器の人はある程度ついていこうとしてくれるところがあって…

山根 いや、我々もコンサートマスターに…(笑)

白井 (笑)ありがとうございます。でも、木管セクションだと木管楽器だけの動きだったり木管グループの方向性を決めなきゃいけないとか。そういう時は誰かリーダーがいてみんながそこにスッとついていく感じなの?

佐藤 たとえば、この場面はフルートがメロディだからフルートが動いてくれて、それをみんなが感じ取ったりとか。

山根 やっている本人はリーダーだと思っているかわからないけど。

和久井 もう阿吽ですよね。

梶川 どこに球がまわっているかみたいな感じで。

白井 球がまわっている…?

一同 (笑)

梶川 サッカーみたいな(笑)

和久井 ああ! サッカーで言えばね(笑) 

梶川 重要なところがあちこちに来るじゃないですか。木管セクションの仕事っていきなりセカンドにソロが来たりもしますし、あとはチーム全体で動くところもあるし、オーボエだけが重要なところもあったりとか。浮き立たせたいところが流動的なので、その時々にみんながリーダーにする人が変わる。

白井 みんながリーダーにする人が変わる。なるほどね。

和久井 そう、みんながアンテナを張っているからうまくいっているのかなと僕は思う。

佐藤 全員が張っているからうまくいく。

和久井 僕ら(2番奏者)はグラウンド全部を見ているみたいなね。

梶川 そうですね、トゥッティの動きとかも察しながら。

和久井 余裕なさそうな時はサポートする感じ。

白井 あー、素晴らしいですね。

佐藤 木管全体もそうだけどファゴットで言うと、私は1番の人があんまり他のことを気にせずに気持ち良く吹いてほしいと、いつもそこは思う。どうやったらもう少し気持ち良く吹いてもらえるかなというのは。

和久井 それだけだね。一番、仕事としてはね。

白井 素晴らしいですね。それは羨ましいわ。

一同 (笑)

白井 それは、一人ひとりでやらなきゃいけないから、それぐらいの気持ちでできるのかな。

梶川 私が思うのは、N響のセカンドの先輩方はファーストを吹けるくらいの力があるから、それができるんだと思います。(力が)ないと、ただの「でしゃばれない人」みたいな感じかもしれないですけど(笑)多分ここにいる人たちはファーストの気持ちがわかるくらい吹ける人だから、それができる。

白井 ファーストの気持ちがよくわかるというのは、たしかに良いことかもしれない。

梶川 私たちは人(自分以外の誰か)のペースで吹かないといけないので。左の人(ファースト)のペースに準じて動いているから、音量のバランスとか音色のバランスとかも合わせられる人っていうのかな。

白井 楽しいですよね。僕も、室内楽でセカンドヴァイオリンを弾くのがすごく好きなんですけど、まさに尊敬する人が隣で弾いていたりすると、どうにかしてその人を気持ち良くできるように、どうしたら一番活きるんだろうと思ってやるのがものすごく楽しい。ファーストがきれいな音で♩♩~ってやっているのに集中させるために、こっち(セカンド)が音楽の流れを作らないといけないとか。そういうことでしょうね。

佐藤 つけすぎてもだめだし。

白井 そうそう、つけすぎても鬱陶しいから。それは、メロディを吹く経験があるからだと思う。

梶川 こんなに音色が揃っているオーケストラというのはあまりない。ハーモニー、音色が揃った感じってすごいなって思う。

♪ドイツ式、フランス式? 結局は気持ち?

白井 木管楽器って、それぞれの国によって何式…ドイツとかフランスとか色々あるんだと思うけど、N響の場合は揃っていたりするんですか?

山根 もうぐしゃぐしゃですよ。

一同 (笑)

和久井 多分、昔はジャーマン系でまとめていたと思うんですけど、雰囲気としては。オーボエではアメリカンの先生もいたんですけど、基本的にはドイツ系が多かったですよね、昔はね。

山根 クラリネットは相当昔から、ドイツとフランスだったから。自分の先生たちの頃から。

和久井 だけど今は、もう本当にオールマイティーでグローバル化しちゃっている。みんな色んな国の雰囲気を持った人が入ってきて。

山根 ヨーロッパのオーケストラもそうじゃないですか。

白井 そうそう、今そう。

山根 どこのオーケストラに行っても、違う国の人たちが吹いているわけで。

白井 ウィーン・フィルの人たちがやっている「トヨタ・マスター・プレイヤーズ」ってあるでしょ。昔、聴いた時にホルンとファゴットだったかな、ベートーヴェンの交響曲で一緒に出るところがあって、聴いたことがないような音がしたの。あの人たち特殊な楽器を使っているじゃない? それでやった時にしか出ない響きっていうのががあるのかなーとその時はびっくりしたんだけど。どう思いますか? 色んなメーカー、色んな国の楽器を使ってやっていて、そういうのが足りないとか関係ないとか。

山根 みんな個人的にその(メーカーの)楽器をやりたいってやっているわけなので…。突き詰めていくと楽器が違っても別に…、入団した頃はずっと経験していたので。

白井 なになに?

山根 首席の方が2人、まったく違う楽器で。要するにドイツとフランスの楽器。でも我々はその2人両方とやらなければいけないわけで。最初は心配な部分があったかもしれないけど、やってみると結局一緒なんだな、と。

白井 どのくらい何がドイツ式とフランス式で違うんですか?

山根 内径が違うのと、ホールが空いている場所が違うので当然指使いも違ってくるでしょ。それで、リードの大きさ、マウスピースの大きさ。すべてが違うので、当然似ている音だけれど違う(笑)

白井 音色がまず全然違うのと、機能性も違う…

山根 両方一長一短。

白井 クラリネットは特に、フルートも結構あるか、隣りと一緒に動く音型もありますよね。

山根 実際にそこが問題になったことはない感じ。気持ちの問題ぐらいとしか言えないかもしれない、本当に(笑)

♪となりで応援!

白井 みなさんにも、それぞれ大きなソロが出てくるかもしれないけれど、1番の人がソロをやっている時ってどういう気持ちで隣りにいるんですか?

佐藤 観客になった気分の時もあるし、「もうほんと感動する~」っていう時もあるし、大変な時はなるべく動かないようにして…(笑)

山根 がんばれ~! って。

佐藤 そう(笑)

和久井 応援しているよね!

佐藤 すごい応援している。やっぱり気持ちはわかるし、自分がやっていることよりぜんぜん大変なことをやっているのが本当によくわかっているから、ナーバスになるのもよくわかるし、だからなるべく心の中で「がんばれ!」って思ったりもするし。温かい気持ちのほうが強いかもしれない。

白井 やっぱり応援しているんだ。

梶川 応援しています。

一同 (笑)

山根 そういう感情的なものが面白いよね。

白井 面白いというのは?

山根 たとえば、応援していた部分が通り過ぎた後に自分が今度一緒にやりますという時の流れは、やっぱりその事前に起こったことで変わってくるし。だから上手くいく時というのはどんどんどんどん上手くいく。もちろんそうじゃない時もたくさん経験しているけど。それがあるから応援しているのかな。一緒に頑張ろうぜ、みたいな。

♪カーテンコールの本音

白井 これ聞きたかったんだけど、カーテンコールの時に2番の人たちって「いえ…僕は…」みたいな感じにするのは…

一同 (笑)

白井 同格だと思っているのにもかかわらず…

和久井 いやいやいや(笑)たとえば何もソロがないのに立ってくれと言われた時は、僕らは立つような仕事はしてません、という。

佐藤 それこそ同格じゃない。立つほどのことは何もしていません(笑)

白井 極端にずっとやっている場合もあるじゃない。

佐藤 それはちょっと変だよね。

和久井 たとえば指揮者がわからずに立たせようとする時もあるじゃないですか。「2人ずつお願いします」という時ならわかるんですけど、フルートはセカンドを立たせなかったのに、オーボエだけセカンドにも来た! とか、たとえばね。「えっと…俺なんか今日したっけ…?」と思うわけですよ。

一同 (爆笑)

和久井 たとえばフルートが最初に1番、2番ならその後オーボエも順番なんだけど、そうじゃない場合は「…んん~? おかしい…」と、そういうことはあります。

山根 あと指揮者が忘れていたこともあるよね。

梶川 それよくありますね。あと、こっちを向いているのかわからないんですよね。

佐藤 クラリネットを立たせようと思ったのにフルートも立っちゃって。

山根 あと、ホルンはいつも立つしね。

梶川 (笑)わからないんですよね。こうやって(合図を)やってくれれば。「セカンド」とかやってくれれば。

和久井 意図が伝わらない時もあるしね。

白井 明らかにこの人の大きなソロがあった、とかだったらみんなわかるけどね。そうじゃないとたしかに。

佐藤 え? 何してたっけみたいな。でも、圭くんみたいに思っている人って多分いっぱいいるだろうから、私は結構すんなり立つようにしている。

和久井 いや、ファゴットのところまでいくとだいたい流れが見えて…

一同 (爆笑) 

和久井 最初のあたりなんて流れをどう作るかとかあるのよ(笑)

白井 拍手も疲れてくるからどんどん立っていけばいいのに、なんでみんな遠慮して…と思うことがあるんです!(笑)

和久井 わかります、それもわかっています(笑)

♪魔物の住むところ

白井 やっぱり管楽器すごいって思うんです、いつも。だって常に気が抜けないじゃない? こっちはトゥッティで伴奏の時とかちょっとティロリロ♩がティロロリ♩になっちゃっても「アッ、ごめん」と思うくらいで良いけど、もろわかりじゃない?だからすごいなと思ってる。

佐藤 N響で吹くのが一番緊張する。一番楽しいけど、一番緊張する。それは10年以上経っても毎回そう思う。

白井 家に帰ってきたっていう感じじゃなくて。

佐藤 NHKホールに行くとホッとするというのもあるし、みんなに会ってホッとするというのもあるんだけど、やっぱりすごく緊張する。外(N響以外)で手を抜いているとか、自分の力を発揮しないとか、そういうわけじゃ全然ないのにすごい緊張する、いつも。

白井 なんでだろう。みんな感じます? 緊張。

和久井 魔物が住んでいる。

一同 (笑)

和久井 昔から言うよね?

山根 魔物住んでいるよね。

和久井 昔からの歴代の重みとか、そういうものを背負いながら演奏しているんだと思うんですけどね。歴史とか伝統とか。

佐藤 あと、みんな来るのがすごい早いよね。絶対早過ぎたなと思っても、すごいいっぱいいる、と思う時があって。だからみんながやる気を持ってやっているんじゃないかな。

和久井 責任感だね。

白井 緊張するというのはプラスのほうの緊張?

佐藤 そうそう、もちろん。

白井 身が引き締まる?

佐藤 身が引き締まるし、リードのこととかあるから1回目のリハーサルが終わるまでいつも(心臓が)バクバクしている。

山根 わかるねえ、わかる。

佐藤 1回やって「ああこういう感じか」「このリードでいけるか」とかあるけど、最初の音を出すまですっごい緊張する。

白井 リードはないけれども、やっぱり最初のリハーサルが終わるまではなんとなくね。

梶川 心配。

白井 こんな難しい曲弾けるのかなって思って。

佐藤 圭くんでもそんなのあるの。

白井 今回も結構大変なんだよ。でもやってみて、流れがわかると安心する。N響って、お二人が入られた頃はまだ怖い団体だったでしょ?

山根 絶対書いてほしくないけど(笑)

一同 (爆笑)

山根 誰が読んでいるかわからないもん。「俺のことか?」とか電話かかってきそう。

一同 (笑)

和久井 怖かったですよ~

白井 それでストレスを抱える人もいただろうし、僕の友達たちでもトラに行くのがちょっと嫌だなっていう人たちもいたわけ。だから同じようなストレスだったら健康上良くないなと。

佐藤 違う違う。

白井 そういうストレスではない。

佐藤 全然違う。

和久井 そういう怖さはありましたね。ただ、そういう怖い人は指揮者にも文句を言ったりするんですけど、今は誰もいないから逆に誰も言わないストレスもある。

一同 (笑)

山根 ここで来るよなってところがシーンって感じだと…

和久井 みんなストレスに思っていても誰も言わないでシーンとしているじゃないですか、今はね。それが昔は、怒る人がいるんですよ、指揮者にね。…ここ入れられない、言えない(笑)

白井 あとで文字にして変だったら…

和久井 いやいや、ここ言えない!(笑)

♪6月のおすすめ、そしてN響のこれからが楽しみ!

白井 じゃあプログラムの話にしましょう。6月のプログラムでおすすめはありますか。最初がエロイカと、シベリウスの7番を道義さん。その次が、フィンジの前奏曲とブリテン「シンフォニア・ダ・レクイエム」、ブルックナーの交響曲0番、下野さん。それでその次の演奏会はパーヴォ、来れれば。

佐藤 やっぱり久々のパーヴォじゃないですか。

和久井 まあそうだね。

山根 全部おすすめでしょう。いやいや、正直。

白井 自分の好きな曲とか。これはあそこがいいよね、とかは?

山根 そう言われたら個人的な趣味で、シベリウスの7番。いつやってもいいなぁって。

佐藤 私もシベリウスの7番は大好き。

白井 乗ってます?

山根 乗ってます。これがあるから、これ乗り番にしました。

白井 そうやってある程度曲で、絶対やりたいっていうのって選べるんですか?

山根 今、この中で一人だけそれが可能な人。

白井 あぁ、そっか。一人だから。みんな他の人はどうやって決めてるんですか。自分が「これやりたいんだけど」っていうのは、言おうと思えば言える?

佐藤 もちろん。例えば、私は今「出番係」をやってて、まず希望を聞いて、特に希望がなかったら、大体同じ出番数になる感じかな。でもとても好きな作曲家の作品があって「絶対乗りたい!」っていうことがあれば、どこのパートも臨機応変にやってると思うよ。

白井 来シーズンは一応、今まで来てたような指揮者がいっぱい…

山根 来れるといいけどねえ~

佐藤 ブロムシュテット先生は来れるかな。

白井 そういう巨匠たちが来ると、オケのサウンドも全然違う?

和久井 全く違うでしょうね。

山根 あと向こうは向こうでこっちのことをよく知ってるというのがあるから、知らないうちにペースに嵌められてる。

佐藤 ブロムシュテットとか、リハーサル全部立ってやって…もうそんなの見せられたら、こっちもシャキッとしないと(笑)1日目の本番とかすっごい緊張感で。ブロムシュテットの時は特にそれをすごい感じる。すごい楽しみ。あれ、ファビオってもう来年から来るんでしたっけ?

白井 来年の9月かな。

山根 第九くらいから来るんですよね。

和久井 楽しみですよねぇー

山根 楽しみですね。

佐藤 すごい楽しみ! どういうふうになるのかがすごい楽しみ、N響。

白井 最近も来てたの?

佐藤 「英雄の生涯」をやったよね。コロナ直前に。

和久井 良かったよねぇ~! あの「英雄の生涯」は。

山根 良かったねえ、あれは。

佐藤 本当に素晴らしかった。

白井 じゃあもう6月の宣伝じゃなくて未来の宣伝にしましょうか(笑)

山根 いやあ、次期指揮者は本当にみんな多分楽しみにしてると思う。

和久井 いやー、もう本当に。

佐藤 すごいかっこいい。

和久井 入って一番感動したニュースだね、17年で。

白井 本当!?

和久井 やっぱり指揮者としてはもう…、こんなこと言ったらパーヴォに悪いかな。

一同 (笑)

白井 そっか。それはいいですね。

和久井 きっと素晴らしくなる。

♪やっぱり会場に来て欲しい

白井 何かN響の魅力で、伝え忘れてることありませんか?

梶川 やっぱりテレビじゃ全然違うものなので、会場で聴いて欲しいですね。

山根 テレビじゃ多分、面白い部分は映んない。「ここで楽器掃除すんのかよ」みたいなのも。その場所にいなきゃやっぱりわからないから。

佐藤 音が違うよね。

和久井 生音ね。空気を伝わった音をね、聴いてほしい。

山根 振動だもんね、空気のね。

梶川 奏者のピリピリした緊張感とか、上手く行った時の安堵感とかは、テレビのあの音じゃ伝わらない。会場で一緒に経験するものだから。それはやっぱり会場に絶対聴きににきてほしいです。

山根 会場に来てもらえばね、一緒に応援できるもんね。

一同 (笑)

佐藤 圭くんって「お客さんに弾いてる」って感覚すごいある? 

白井 そんなにないかも。

佐藤 私もあまりないんだよね。いけないのかもしれないんだけど、弦も含めてアンサンブルがすごい楽しい、って思うことの方が多くて。それをお客さんに届けますっていうより、例えば「今、和久井さん超聴いてくれてる!」とか、内輪なことを感じてることの方が多くて、その楽しんでいる部分をお客様にも楽しんでもらいたいって思う。

白井 でも場合によるかも。例えばソロがあったりすると、そこでやらなきゃいけない時はする。場面場面っていうか。だってこっち(舞台)に意識向いてなきゃいけない時に一人でこっち(客席)に意識向いてたら多分アンサンブルできなくなっちゃうし。だから両方向かな。

梶川 コロナでお客さんが減っちゃったりとか、無観客でやった時に、お客さんがいる緊張感っていうのがスパイスになってるんだなっていうのがあるじゃないですか。(無観客では)両方の波動が一緒にならない。一緒の重量になった時の、あの興奮はやっぱり。

佐藤 確かに、確かに。あと、お客さんがすごい集中して聴いてる時ってわかるよね。

山根 わかるね。

梶川 緊張感。そういう時はすごいがんばれる。

佐藤 客席にいてもそうだし、お客さんと波長というか波動が合った時に、いい演奏会になるような気がする。

白井 コロナの後客席は静かになってきましたね。

和久井 今はもう本当に聴きたい人しか来てない。

佐藤 そっか。だからか。そうだよね、わざわざ買って来てくれるんだもんね。

和久井 この状況の中でも行こうと思う人だけで聴いてくれてるからね。

白井 で、先週客席で聴いた時に、オーケストラの人たちがお客さんのために弾いてるように感じた? 

山根 そこまで余裕があるのかな。我々も含めてね。

梶川 お客さんのためにというか、音楽のために? いい音楽をするために。

佐藤 音楽をみんなで作ってるっていう。

梶川 それを聴いてほしいから。結局はお客さんのためにだし。

白井 でも考えてみたら、いいポイントだなーと思って。客席に届けなきゃいけない、と学生時代は習うから。

梶川 なんか、そっち(お客さん)のために吹いてます! みたいなのも、胡散臭いじゃないですか(笑)

佐藤 確かに、そんなこと考える余裕はないよね。

山根 やってる時は余裕ない。流れに身を任せるしかないわけだし。

梶川 とにかくいいものを生むことしか考えてない。

白井 基本的にはステージでやっているものを客席から見るって感じ? でも、外国のオーケストラだと…

佐藤 そう! 逆だよね。客席に向かって吹けってよく言われるんですよ。

白井 (海外では)管楽器の人たちはそういう人たちがめちゃ多いと思った。で、それが面白かったりする。ものすごいエネルギーを放出してる。それは(N響でも)もうちょっとあってもいい面かもしれない。だからスイッチをたまに切り替えてね。

佐藤 確かに。

白井 そろそろリハーサルの時間かな。

和久井 はい。ありがとうございました。

一同 どうもありがとうございました。

【Information】
2021.6/5(土)18:00、6(日)12:00 サントリーホール
指揮:井上道義
〈曲目〉
シベリウス/交響曲 第7番 ハ長調 作品105
ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

2021.6/11(金)18:30、12(土)14:00 東京芸術劇場
指揮:下野竜也
〈曲目〉
フィンジ/前奏曲 作品25
ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム 作品20
ブルックナー/交響曲 第0番 ニ短調

2021.6/16(水)17日(木)19:00 サントリーホール
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:青木尚佳
〈曲目〉
ペルト/スンマ(弦楽合奏版)
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ニルセン/交響曲 第4番 作品29「不滅」

NHK交響楽団
https://www.nhkso.or.jp

 

【Profile】
梶川真歩(フルート) Maho Kajikawa

愛知県立明和高等学校、東京藝術大学、パリ・エコールノルマル音楽院、パリ地方音楽院を卒業。
コンクールジュヌフルーティスト1位(仏)大阪国際室内楽コンクール3位、東京音楽コンクール3位、日本音楽コンクール入選等、多数コンクールで入賞。
東京藝術大学時代から続けるアンサンブルミクスト木管五重奏団では大阪国際室内楽コンクール3位を受賞。(日本人過去最高位) 財団法人地域創造アウトリーチフォーラムに参加。
東京文化会館「上野deクラシック」白寿ホール「スーパーリクライニングコンサート」等ホール主催公演にも多数出演。
アンサンブルミクスト木管五重奏団よりCD「ミクストノート」「ファンタジー」を発売中。
現在NHK交響楽団フルート奏者、桐朋学園大学、愛知県立芸術大学、武蔵野音楽大学、東京藝術大学非常勤講師。

(C)Makoto Kamiya

和久井 仁(オーボエ) Hitoshi Wakui

東京芸術大学卒業後、東京佼成ウインドオーケストラに入団しオーボエ奏者とアシスタントコンサートマスター務めた。
2001年4月からは愛知県立芸術大学音楽学部の専任講師として勤務した後、2004年4月にNHK交響楽団へ入団し、オーボエ&イングリッシュホルン奏者を務めている。
現在、桐朋音楽大学オーケストラアカデミーの非常勤講師。東京三鷹フィルハモニアのメンバーも兼任。

山根孝司(クラリネット) Takashi Yamane

国立音楽大学、ベルギー王立アントワープ音楽院、リエージュ音楽院を卒業。ブリュッセルのアンサンブル・イクトゥス、パリのアンサンブル・アルテルナンスのクラリネット奏者を経て、現在はNHK交響楽団楽員、昭和音楽大学非常勤講師。ピリオド楽器の演奏にも携わる。

佐藤由起(ファゴット) Yuki Sato

桐朋学園大学音楽学部卒業、シドニー大学大学院修了。これまでに浅野高瑛、武井俊樹、吉田將、マシュー・ウィルキーの各氏に師事。第21回日本管打楽器コンクール第2位入賞。宮崎国際音楽祭、セイジ・オザワ松本フェスティバル等出演。
2009年よりNHK交響楽団ファゴット奏者。東京芸術大学室内楽、洗足学園音楽大学、桐朋学園大学非常勤講師。

白井圭(ヴァイオリン) Kei Shirai

1983年、トリニダード・トバゴ共和国に生まれる。東京藝術大学卒業。徳永二男、大谷康子、故田中千香士、堀正文、故ゴールドベルク山根美代子の各氏に師事。2007年文化庁の奨学生として留学。ウィーン国立音楽演劇大学室内楽科にてヨハネス・マイスル氏に師事する他、ヴェスナ・スタンコービッチ氏の指導も受ける。日本音楽コンクール(第2位及び増沢賞)、ARDミュンヘン国際コンクール(第2位及び聴衆賞)、ハイドン国際室内楽コンクール(第1位及び聴衆賞)を始めとしたコンクールで受賞歴をもち、ソリストとしてチェコフィル、ミュンヘン室内管、新日本フィル、東京フィルなどと共演。ウィーン楽友協会や、ウィグモアホール(ロンドン)、コンツェルトハウス(ベルリン)等で演奏。2011年9月より半年間、ウィーン国立歌劇場管弦楽団及びウィーン・フィルの契約団員として活躍。現在もウィーンに拠点を置きながら、セイジ・オザワ松本フェスティバル、木曽音楽祭など数多く参加している。
Stefan Zweig Trio、ルートヴィッヒ・チェンバー・プレイヤーズ、トリオ・アコード各メンバー。田中千香士レボリューション・アンサンブル音楽監督。
Fontecより「シューマン:ヴァイオリンとピアノのための作品集(ピアノ=伊藤恵)」、「ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲(トリオ・アコード)をリリース。
現在、NHK交響楽団ゲスト・コンサートマスター。
https://www.stefanzweigtrio.com/
http://ludwigchamberplayers.com/

 

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