日本フィルの九州公演、今年は藤岡幸夫が二人の注目ソリスト・阪田知樹&周防亮介と旋風を巻き起こす!

左より:藤岡幸夫 ©Shin Yamagishi/阪田知樹 ©Ayustet/周防亮介 ©JUNICHIRO MATSUO

 日本フィルハーモニー交響楽団にとって、九州公演は毎年欠かすことのできないイベントである。1975年に6公演でスタートしたこの催しは、その後少しずつ規模を拡大しながら継続し、2025年には50年の節目を迎えた。51回目となる今年は、日本フィルと共演を重ねる名匠、藤岡幸夫を指揮台に迎え、九州各地で9公演が予定されている。

 日本フィル九州公演の最大の特徴は、すべての演奏会が市民の自主的な参加による実行委員会の手で運営されていることである。地域の人々にあたたかく迎えられる演奏会の数々は、旅行というよりも帰省に近い趣きで、今や九州は日本フィルの重要な活動拠点のひとつとなっている。

 今回の九州公演の大きな目玉のひとつが、ピアニストの阪田知樹とヴァイオリニストの周防亮介がソリストを務める協奏曲だ。ふたりとも圧巻のテクニックを誇る若きヴィルトゥオーゾであり、楽譜の隅々まで照らし出す阪田の研ぎ澄まされた解釈や、ステージに小宇宙を作り出すような周防の高次元の集中は、ラフマニノフとブルッフの傑作に新たな命を吹き込むだろう。

 九州公演では協奏曲のほかに、モーツァルトの歌劇《魔笛》序曲、ベートーヴェンの交響曲第6番といったドイツの古典と、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」より〈花のワルツ〉やストラヴィンスキーの「火の鳥」(1919年版組曲)などのロシア・バレエの名曲が披露される。聴き手を楽しませることをなにより大切にする、エンターテイナーの藤岡らしいプログラムだ。気心の知れた指揮者と注目のソリストとともに、日本フィルが第二の故郷でどんな熱演を繰り広げるのか、今から楽しみに待ちたい。

文:八木宏之

(ぶらあぼ2026年2月号より)

第51回九州公演 日本フィル in KYUSHU 2026
2026.2/7(土)~2/18(水) 鹿児島、宮崎、大分、北九州、熊本、大牟田、福岡、佐賀、長崎
※公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 
https://japanphil.or.jp


八木宏之 Hiroyuki Yagi

青山学院大学文学部史学科芸術史コース卒。愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士前期課程(修士:音楽学)およびソルボンヌ大学音楽専門職修士課程(Master 2 Professionnel Médiation de la Musique)修了。
2021年春にWebメディア『FREUDE』を立ち上げ。クラシック音楽を中心にプログラムノートやライナーノーツ、レビュー、エッセイを多数執筆するほか、アーティストへのインタビュー、コンサートのプレトーク、講演会なども積極的に行なっている。
https://freudemedia.com