In memoriam
ジェイムズ・レヴァイン

(c) Koichi Miura/Metropolitan Opera 写真提供:松竹株式会社

James Levine 1943-2021

ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)で活躍したアメリカ合衆国出身の国際的指揮者、ジェイムズ・レヴァイン(James Levine)が3月9日にカリフォルニア州パームスプリングスで死去した。77歳だった。死因は明かされていない。レヴァインは1943年シンシナティ出身で幼児期から音楽を学び、10歳には巨匠ピアニストのルドルフ・ゼルキンに師事している。ジュリアード音楽院卒業後、ジョージ・セルのアシスタントを務め、1970年にはフィラデルフィア管弦楽団の客演指揮者として本格的な指揮活動を開始した。

METには1971年《トスカ》を指揮してデビュー、以後オペラ指揮者として評価を高め、1976年に同歌劇場の音楽監督、1986年には「芸術監督」に就任した。これはMETとして初のポストだった。

レパートリーはモーツァルトからヴェルディ、ワーグナー、プッチーニなど“王道的”な演目から現代作品までと幅広い。特にモーツァルトでは、1982年に名演出家ジャン=ピエール・ポネルと組んだ《イドメネオ》が大成功を収め、この作品の再評価に繋がりモーツァルト受容史の中で重要な位置を占める。また、ワーグナー《指環》初の連続上演をMETで初めて行ったことも特筆される。ザルツブルク音楽祭やバイロイト音楽祭でも指揮し絶賛を博する。

コンサート指揮者としても活躍し、1999年からミュンヘン・フィルの音楽監督を務め、2004年には小澤征爾の後任としてボストン交響楽団の音楽監督に就任。ベルリン・フィルやウィーン・フィル、シュターツカペレ・ドレスデンなど欧州の主要オーケストラにも客演し名演を聴かせ、名声を高めた。レヴァインはドイツ・グラモフォン・レーベルを中心にレコーディングも活発に行い、同レーベルとしては2度目となるモーツァルト交響曲全集、シューマン交響曲全集(マーラー版!)、ジェシー・ノーマン、ジークフリート・イェルサレムとのマーラー「大地の歌」などが名高い。

METとの初来日は1988年で、それ以降、1993年、1997年、2001年に公演を行った。
それ以外では1995年にウィーン・フィルとも来日を果たしている。セクハラ問題で2018年にMETから離れ、また健康上の問題などからしばらく演奏活動を停止していたが、2021年よりイタリアで活動を再開することが報じられていた。

【Information】
レヴァイン出演 METライブビューイング「プレミアム・コレクション2021」上映情報

ジェイムズ・レヴァインが2010年、11年にMETでタクトを執った《ラインの黄金》《ワルキューレ》が、東劇(東銀座)で2021年4月23日(金)~5月6日(木)に公開される。

ワーグナー〈ニーベルングの指環〉4部作
演出:ロベール・ルパージュ

■序夜《ラインの黄金》
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
出演:ブリン・ターフェル、エリック・オーウェンズ
   ステファニー・ブライズ、リチャード・クロフト
上映時間:3時間3分(休憩なし)
MET上演日:2010年10月9日
上映日:4/23(金)~24(土)11:00、4/26(月)17:00
    4/28(水)17:00、5/1(土)11:00、5/3(月)17:00
    5/5(水)11:00

■第一夜《ワルキューレ》
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
出演:ヨナス・カウフマン、ブリン・ターフェル、デボラ・ヴォイト
   ステファニー・ブライズ、エヴァ=マリア・ヴェストブルック
上映時間:5時間14分(休憩2回)
MET上演日:2011年5月14日
上映日:5/1(土)15:00、5/3(月)11:00、5/5(水)15:00

METライブビューイング
https://www.shochiku.co.jp/met/news/3418/