New Release Selection

【SACD】三善晃へのトリビュート/加藤訓子

 現代の最前線にいるパーカッショニストが、三善晃のマリンバ独奏のための全作品と協奏曲を収録した意欲的な1枚。過小評価されている感もある三善の業績(の一部)を世界に向けて発信した意義深い録音と言って間違いない。多種多彩な音色とニュアンスこまやかで研ぎ澄まされた表現を併せ持つ鮮烈な演奏は、すべてに聴き応え充分。魅力的な音空…

【SACD】アランフェス/河野智美

 ここ10年で成功めざましいギタリスト河野智美の最新作。これまでにリリースされたアルバムすべてが高評価を得ていることでも注目の彼女だが、今回も2020年1月にサントリーホールで行われた東京フィル(指揮:梅田俊明)との共演コンサートのライブ録音、しかも巨匠ロドリーゴの2大コンチェルトに挑戦と、期待を裏切らない。実際に宮殿…

【CD】ウィテカー 聖なるヴェール/ウィテカー&ロサンゼルス・マスター・コラール

 人気作曲家のエリック・ウィテカーが、友人の詩人が妻の死を綴った詩を合唱曲として音楽化。両者の緊密な協業によって美しくも切ないレクイエムが生まれた。タイトルの「聖なるヴェール」はこの世とあの世を分けるカーテンを示唆し、詩人夫婦の出会い、出産、癌が発見された時の絶望から別れまでが全12楽章にまとめられている。哀惜の念の表…

【CD】マーラー:交響曲第1番「巨人」、花の章/山田和樹&読響

 今年2月、山田和樹が首席客演指揮者を務める読響とのコンビで、生気みなぎるマーラー「巨人」を作り上げた。最初の「花の章」は青春の息吹を丁寧に歌い上げ、「巨人」は読響の個性と能力を活かし、各パートのキャラクターを立たせて(特にトランペット!)、機能的ながら素朴な味わいも魅力的。各所のクライマックスには良い意味で「アマチュ…

【SACD】モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番、第4番/豊嶋泰嗣&大阪響

 豊嶋泰嗣のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲集の完結編。豊嶋と大阪交響楽団は協演も多くて相性がよく、弾き振りのオケ部分も丁寧に作られている。協奏曲第3番の冒頭の弦が爽やかで美しい。独奏部分は端正でイントネーションが清潔でモーツァルトにぴったり。緩徐楽章は上品なノットルノの風情で歌い回しもきれい。第4番の入り組んだ楽想の…

【CD】トリオ・エスパス

 同時期にフランスで学び、卓越したソリスト・室内楽奏者として活躍する同い年の名手たちが、2011年に結成したピアノ・トリオ。クララ・シューマンの冒頭から、溢れ出すがごときロマンティシズム。しかし、決して感情に溺れることなく、音楽創りにおける各々の立ち位置をきっちりと見極め、丁寧に音楽を紡いでゆく。だからこそ、スコアの随…

【CD】オーケストラ名曲集/バッティストーニ&東京フィル

 バッティストーニと東京フィルが泰西名曲と日本の名曲を併録して世に放った「BEYOND THE STANDARD」シリーズの5枚目はいわゆる“名曲集”、しかし一筋縄では行かぬ。「モルダウ」や「フィンランディア」と一緒に外山雄三の「管弦楽のためのラプソディー」やバッティストーニ自作自演となる「エラン・ヴィタール」が並んで…

【CD】窓のあるコンポジション〜B’〈ノタシオン⇔ソナタ⇔バガテル〉/瀬川裕美子

 アイディアに富んだプログラム構成により独自の演奏活動を展開するピアニストの瀬川裕美子。特に現代音楽の演奏において大きな存在感を放ち、近年はブーレーズを核に、あらゆる時代の音楽を組み合わせることで、音と他芸術との関連性を色鮮やかに示している。本盤はそんな彼女の芸術性、思考が見事に音楽言語化されたもの。ブーレーズ、そして…

【CD】一柳慧:弦楽四重奏曲集/フラックス弦楽四重奏団

 60年余という長期にわたって紡がれた、一柳慧の6曲の弦楽四重奏曲。ケージの影響、前衛の旗手から、震災を経て実存的作風への回帰に至る、彼の作曲の変遷の象徴であり、時代の潮流(あるいは懐疑)も自ずと反映される。その広大なパースペクティブを、現代音楽演奏の最先端にあるフラックス弦楽四重奏団による、ライブとは思えぬ恐るべき水…

【CD】re-Discovery/ナチュラルホルンアンサンブル東京

 在京著名楽団を中心とするモダン・オーケストラの奏者たちが2016年に結成した、日本初の本格的ナチュラルホルンアンサンブルのデビュー・アルバム。古典派時代のイタリアの作曲家ベッローリ(四重奏曲第2番はなかなかの充実作)とドイツ・ロマン派のアントン・リヒターの珍しい作品から、ライヒャとロッシーニの定番作品、ドイツのクロル…