New Release Selection

【CD】4つの幻想曲/アンナ・フェドロヴァ

 ロンドンとイタリアで学び、現在国際的に注目を集めるピアニストであるフェドロヴァの、歌心あふれる色彩豊かなピアニズムが伝わってくる最新盤。コンセプト性の強いリサイタルを行い、ディスクを発表してきた彼女の今回のテーマは“幻想曲”。フェドロヴァはかなり感情豊かな演奏をする人だが、それをバランスよくまとめる構築力にも優れてい…

【CD】クラリネットとピアノのためのイギリス音楽集/ディミトリ・ラスル=カレイエヴ&サヤ・ハシノ

 典雅なたたずまいのスタンフォード、苦味を効かせたモダンなセンスがクールなアーノルド、ストレートに語り掛けてくる小品に明るく素直な人柄が浮かぶフィンジ、豊かな抒情と色彩感が力強い行進にまで発展するアイアランド、愉快でコージーなジャズ・テイストで締めるホロヴィッツ…。イギリスにはまだ見ぬお宝がこんなに眠っていたのか。初め…

【CD】Viaggio/Barchetta

 トランペットとギター。佐藤秀徳と佐藤紀雄によって2016年に結成された「Barchetta」は、デュオとしては異色な両楽器からどのような音世界が生まれるか興味津々だが、本デビューアルバムを聴くとお互いが親密に寄り添って静謐な空気が醸成されるその感覚が実に独特だ。佐藤秀徳のトランペットは模範的なレガートと稀有な音色を持…

【CD】ユーフォニアムとピアノのためのファンタジー/庄司恵子

 シエナ・ウインド・オーケストラのユーフォニアム奏者の初のソロ・アルバム。オリジナル曲、それに準ずるサクソルン・バス等の作品から、古典派のコントラバス協奏曲や内外の歌の編曲まで、多彩な内容で吹奏楽の花形楽器の魅力を堪能させる。全体に共通するのは、同楽器の大きな美点である“まろやかな音色による「歌」”。過剰なアピールを伴…

【CD】渡邉規久雄〈シベリウス・リサイタル Vol.5〉

 シベリウス・ピアノ作品のスペシャリスト渡邉規久雄による「シベリウス・リサイタル」第5弾。今年2月の東京文化会館のライヴ録音である。2003年の第1弾から続く渡邉の取り組みにより、作曲家がピアノ小品という形で伝えた特有の親密さや抒情性が、鮮やかに浮き彫りにされてきた。本作は第一次大戦前後の作品が中心。「4つの抒情的小品…

【CD】美しい人は愛の庭に/鈴木美紀子&つのだたかし

 400年前の失恋の痛みも、恋の駆け引きの危うさも、リアルな質感を伴い、我々の心を捉える。国内外の檜舞台、特に古楽シーンで、透明感あふれる美声を披露している鈴木美紀子。第2弾アルバムは、仏王アンリ4世やルイ13&14世の治世下で生まれた宮廷歌曲「エール・ド・クール」と古民謡を取り上げた。言葉や旋律の美しさ、感情の起伏を…

【CD】マルサリス:ヴァイオリン協奏曲 他/ニコラ・ベネデッティ

 ウィントン・マルサリスが作曲した初のクラシック作品たる本CDでは、さすがの「知将」だけに極めてハイレベルな音楽が展開される。とは言ってもクラシックに色目を使った作品という訳では全くなく、ジャズマンたる彼の出自がコープランドやバーンスタインにも連なるやり方でより多様な音彩のもとに繰り広げられ、さすがマルサリスと唸る他な…

【SACD】メンデルスゾーン:「イタリア」、ベートーヴェン:交響曲第7番/西脇義訓&デア・リング東京オーケストラ

 名録音を多数残してきた西脇義訓が指揮する、デア・リング東京オーケストラ。彼の知見と方法論に基づき、“常識的な”オーケストラの楽器配置を完全にシャッフルしてしまう。類例のない活動の成果は、これまで録音でしか聴けなかったが、昨年ついに初の公演が実現した。通常配置での音響のシャープさは減ずるが、代わりに得られたのは、会場中…

【CD】ファゴット・トリオ・ザルツブルク

ザルツブルク・モーツァルテウム管の3人の奏者(テルツォは現在ゲヴァントハウス管首席、黒木は元・東京フィル首席)によるファゴット・アンサンブル・アルバム。すべて編曲ものだが、バセットホルンやバリトンの三重奏、チェロとの二重奏、作曲者と同時代の奏者が編曲した二重奏の《セビリアの理髪師》、ゲスト&打楽器を加えたピアソラと、意…

【CD】ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集(全曲)/中村太地&江口玲

 俊英ヴァイオリニストがデビューアルバムに「ブラームスのソナタ全曲」を選ぶ。賭けではなく必然として、この高峰に挑んだのが中村太地である。ウィーンで本場の語法を学んだ彼は、ブラームス国際コンクールで優勝した後にも、その勢いに任せず、他の流派の巨匠にも師事するなど、着実に表現の幅を広げてきた。機が熟しての録音は、芯のある美…