New Release Selection

【CD+DVD】ミルコ・ラザール作品集 /北谷直樹&杉田せつ子

 ピリオド楽器を時代という枠組みから切り離し、個性的な表現手段として用いる動きは今や盛ん。現代スロヴェニアのミルコ・ラザールが、スイスを拠点に活躍するチェンバリスト、北谷直樹のために書いた作品集。多様な色彩とリズムの前に、「高貴で繊細」といったイメージを押し付けられてきた楽器が、時に艶めかしく、時にダイナミックに語り掛…

【CD】シューマン:チェロ協奏曲 他/堤剛&小林研一郎&日本フィル

 わが国を代表する巨匠ふたりが揃った、今年1月の日本フィル定期が早くもCD化。シューマンのチェロ協奏曲は、今風の軽快さとは無縁の悠揚迫らぬ歩みで進み、不思議な“静けさ”すら漂う。堤の孤高の境地が示された表現を、小林がしっかりと受け止めて、余人の及ばぬ協奏の世界が創出される。チャイコフスキーの3番でも、第1楽章主部の力強…

【CD】バッハ:オルゲルビュッヒライン/塚谷水無子

 「オルゲルビュッヒライン(オルガン小曲集)」は1713年頃、バッハが20代で編纂を始めたコラール前奏曲集。教会暦に沿った全46曲は、作曲家が転職をにらんで自己アピールを狙った、渾身の作との説も。実際に、創意工夫が随所に凝らされて、内容は濃密にもかかわらず、“讃美歌集”と地味に捉えられがち。しかし、バッハ時代から残る最…

【CD】シューベルト:4つの即興曲、ショパン:ピアノ・ソナタ第3番/有吉亮治

 ジュネーヴに留学し、現在はソロに室内楽に活躍する有吉亮治のデビュー盤。つぶやくように力なく始まった葬送行進曲が、フレーズごとに強さを増しながらテクスチュアを膨らませるシューベルトの即興曲第1番。出だしから楽譜を深く読む思慮、それを的確に音にする技量を感じる。ショパンのソナタ第3番では構成感を捕まえて、フィナーレに向か…

【CD】山根弥生子 20世紀音楽を弾く

 何とも意欲的な1枚。その曲目はヒンデミット、バルトーク、プロコフィエフにメシアン、そしてヤナーチェク。収録曲はどれも技術的、あるいは音楽的な内容の表出において難易度の高いものばかりだが、ここで山根は技術的な余裕をもって極めて懐の深く包容力のある音楽を奏でている。この演奏で聴くと、乾いていると思われがちなヒンデミットの…

【SACD】日本の心を歌う/中井亮一

 イタリアで研鑽を積み“ロッシーニ歌い”としても活躍する“旬”のテノールが、本格的デビュー盤に敢えてこのテーマを選んだだけあって収録曲が秀逸。曲によっては過去の偉大な先輩歌手へのオマージュを垣間見せているのも心憎い。幕開けの14篇(北原白秋×平井康三郎の歌曲集「日本の笛」より)から日本的な歌い回しに魅了される。かの童謡…

【CD】ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番 /リシャール=アムラン&モントリオール響

 2015年ショパンコンクール第2位、モントリオール生まれのリシャール=アムランが、モントリオール交響楽団、同楽団音楽監督のケント・ナガノと行ったショパン録音。コンクールでも演奏した協奏曲第2番は繰り返し弾いているレパートリーだけに、各場面のコントラストが大胆で息遣いも自然。切々と語りかける1楽章、遅めのテンポでゆった…

【CD】ブラス・ジャーニー/東京メトロポリタン・ブラス・クインテット

 都響の精鋭5名から成る東京メトロポリタン・ブラス・クインテットの新譜タイトルは『ブラス・ジャーニー』。“大陸”ドイツのバッハ「イタリア協奏曲」から始まり、同時代のもう1人の巨匠ヘンデルで海を越えイギリスへ。マルコム・ベネット作品を経て「ロンドンデリーの歌」でアイルランドへ足を伸ばした後は大西洋を渡ってアメリカへ。ルイ…

【CD】片山敬子 プレイズ シューマン、ベートーヴェン、ショパン

 ライナー筆者の「改めて演奏とは何かを考えさせられた」という言葉を噛みしめる。半世紀近い活動で自らの音楽を深め続けるピアノの名匠、片山敬子の練達の技が詰まった新譜。肩肘張らずとも十分な質感があり、精妙な和声感と流麗な流れで、ベートーヴェンがあたかもシューベルトのように響く。ショパンも力みの抜けた歌と淡いロマンが、メンデ…

【CD】マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」/小泉和裕&九響

 九響創立65周年を記念した定期公演のライヴ録音。2013年から音楽監督を務める小泉のもと、日本を代表する歌手と福岡の合唱団が多数参加して繰り広げた、「千人」の九州初演奏という、モニュメンタルな公演の記録である。だが演奏は祝祭イベントのレベルを超えている。まずは全体の設計が見事。そしてこうした機会特有の熱気や高揚感は十…