New Release Selection

【CD】双子素数/低音デュオ

 松平敬と橋本晋哉による異彩を放つユニット「低音デュオ」約3年ぶりの新譜もまた「斜め上」から攻めて来る。1曲目の徳永崇「感情ポリフォニー」からしていきなりホーミー歌唱が登場して面食らうが、収録曲全6曲共に声/バリトン+テューバ&セルパンといった“地味な”編成から驚くほどに多彩な音響と世界観を現出させている。先述曲では特…

【CD】吹奏楽のための交響曲/長縄洋明&ジャパン・ウィンド・プレイヤーズ

 冒頭に収録された保科洋「風紋」の第1音にして、そのサウンドの深遠さに耳を奪われるだろう。既存の枠を超えた吹奏楽の発展と普及を目指し、2014年に若手奏者たちが結成した「ジャパン・ウィンド・プレイヤーズ」。第3弾アルバムは、秋山和慶の薫陶を受けた俊英指揮者、長縄洋明を迎えて。彼らがこだわる「吹奏楽によるオリジナル作品」…

【CD】ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集Vol.1 /ワン&リシャール=アムラン

 2015年にケント・ナガノの指揮によってサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲をリリースし、高く評価されたモントリオール響のコンマス、アンドルー・ワンによる新譜。これもまた極めてハイ・レヴェルの名演だ。豊穣な美音に端正なフレージングを伴ったその演奏は、言葉の最良の意味で「オーソドックス」、正に曲の美しさを素直にありのまま…

【CD】玲央 Encounters:邂逅/LEO

 今年4月の『情熱大陸』出演でも注目を集めた藝大邦楽科「現代箏曲」専攻・在学中の新星、待望の2ndアルバム。厳格なる定番箏曲「六段」とシューベルトの歌曲「セレナーデ」をヴァイオリンとのデュオで統合させた1曲目のタイトル曲「邂逅」からして、10代から20代へと移ろう多感な時期に瑞々しく成長を遂げた姿を見せつけてくれる一枚…

【CD】ナイトフォール/アリス=紗良・オット

 明確なコンセプトに基づく絶妙なプログラミングのディスクを発表し続けるアリス=紗良・オットの新作には、直接的に“夜”を描いた作品はもちろん、心静かに聴きたい作品が並ぶ。「夜のガスパール」ではオットの高い技巧が存分に発揮され、彼女の持ち味であるクリアな音色も相まって、非常に立体的な演奏に仕上がっている。特に「オンディーヌ…

【SACD】チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 他 /上岡敏之&新日本フィル

 上岡&新日本フィルの5枚目のCD。今回も「既成概念を排し、一から楽譜を読み直して音にする」という上岡のポリシーを如実に反映した、鮮度の高い演奏が展開されている。「死の島」は、各音が有機的に綾なす精緻かつ艶やかな好演。「悲愴」は、冒頭から(最後まで)1音1フレーズが再創出され、ベタな民族色や大仰さなど皆無の凄絶な表現が…

【CD】小沢麻由子 プレイズ ドビュッシー

 小沢麻由子の新譜は没後100年となるドビュッシーの作品集。傑作「前奏曲集」第1巻全曲をアルバム前半に収め、後半はドビュッシーの最初期の作品「ボヘミア風舞曲」から、最後のピアノ曲「燃える炭火に照らされた夕べ」まで、珍しい小品も含む10曲。音域・声部によって、硬質な響きと暖色系のタッチとを鮮やかに使い分け、極めて明晰に、…

【CD】HAZAMA Sway in Silence/八巻志帆

 音やリズム、グルーヴ感は、そこにある。なのに、なぜか感じる静けさ。その手触りは、実に心地よい。八巻志帆は仙台出身、相愛大に日本で初めて設置された「バスクラリネット専攻」の一期生として学び、ジャンルに拘らず、多様な側面から “バスクラ”のソロ楽器としての可能性を追究し続ける。クラシカルなアルバム2枚に続き、彼女が向かっ…

【SACD】ドビュッシー:前奏曲集第1巻、サティ:グノシェンヌ&ジムノペディ/ファジル・サイ

 ファジル・サイによる、同時代のパリに生きたドビュッシーとサティの録音。「前奏曲集」第1巻では、自ら作曲もするサイらしく、深い色を持つドビュッシー独特のハーモニーをたっぷり響かせながら、円熟期の作品の美点を浮き彫りにしていく。ミステリアスに奏される「帆」や、轟々と鳴らされる低音が印象的な「沈める寺」など、感性が光る。一…

CD『西村朗 四神/インデアミューレ+いずみシンフォニエッタ大阪』

 「四神」は音域の違う4種のオーボエ属楽器を楽章ごとに吹き分けるという、奇想天外のアイディアが聴かれる。四季と結びついた禍々しい神獣を、ヴェテランのオーボエ奏者トーマス・インデアミューレがグリッサンドや微分音程も駆使して描き分ける。「沈黙の秋」では、どこか物悲しい表情を湛えたオーボエがピアノ(岡田博美)と対峙しながら、…