New Release Selection

【CD】ヴィブラ=エルーファ 上野信一 ヴィブラフォンリサイタル

 標準的なファンならば、オーケストラ曲において音色のアクセントやリズム的強調・装飾に用いられる――いわば補助的な役割を担う楽器としてヴィブラフォンを想像するだろうか。しかし当代きっての名手・上野信一によるヴィブラフォン(及び金属打楽器)のためのソロ作品集である本CDを聴くととてもそれだけの楽器ではない。ペダル・ダンパー…

【CD】バーンスタイン:交響曲第3番「カディッシュ」他/佐渡裕&トーンキュンストラー管

 佐渡裕は晩年のバーンスタインに教えを受け、エッセンスを直伝された指揮者。すでにトーンキュンストラー管とは生誕100年に向けてのトリビュート盤が出ているが、代表作というべき2作を収めた本ディスクは、アニバーサリー・イヤーを飾る本丸だ。佐渡が楽曲をよく消化しているし、オケも打てば響くように反応し、「カディッシュ」では引き…

【CD】高橋アキ プレイズ ハイパー・ビートルズ volume Ⅱ

 団塊の世代の音楽のアイコン、ビートルズのナンバーを、高橋アキやその夫・秋山邦晴(音楽評論家)と交友のあった作曲家たちにアレンジしてもらったアルバム『ハイパー・ビートルズ』の再録音第2弾。ジョン・ケージに始まり、ミニマリズムなど今では大家となった個性派が編曲者にずらりと名を連ねる。耳になじんだメロディが、各人各様の創意…

【CD】小畠伊津子 ピアノ・リサイタル

 多彩な曲目を収めた小畠伊津子のアルバムは、音楽的に極めて雄弁でありながら、押し付けがましさのない卓越したピアノ表現に満ちた一枚。ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」では、非常に音の伸びのよい楽器を自在に操り、ファリャの「アンダルシア幻想曲」では陽性にして妖艶な音楽を展開。さりげなく挿し挟んだスヴェーリンクは、一服…

【CD】FUN!/The Rev Saxophone Quartet

圧倒的なテクニックと、快い立体的なサウンド。「本気で音で遊ぶ」との謳い文句は、伊達じゃない。気鋭の若手サクソフォン奏者4人による、スーパー・クヮルテットの第2弾アルバム。収録された5曲中、4曲が彼らのための新曲またはアレンジだ。バッハからビバップ、難しい和声を含んだオリジナルの狂詩曲、果ては都会の喧騒を思わせる実験音楽…

【CD】アルカン ピアノ・コレクション4「ファウストのように」/森下唯

 超絶技巧を見事に音楽表現へと昇華させていく豊かな感受性と表現力を持ち合わせた森下唯。“演奏不可能”とも評されたアルカンの作品から、これほどまでに多彩な表情を引き出し、作品の美質を示すことができるピアニストはそういないだろう。既にリリースしている3枚のディスクでそれを証明してきたが、今回の「大ソナタ」でさらに確信させて…

【CD】フェルメール〜絵の中の音楽/Vox Poetica & ソフィオ・アルモニコ

 今に伝わっているもので全30点余と寡作ながら、光と影を巧みに掬い取る繊細な画風で高い人気を得る、17世紀オランダの鬼才ヨハネス・フェルメール。音楽をモティーフとする作品が10点と、大きな割合を占める。そこで奏でられていたのは、いかなる旋律か。リュートとソプラノのデュオ「Vox Poetica」と、前田りり子らフルート…

【CD】オーボエとイングリッシュホルンのために/池田昭子&金子亜未&和久井仁

N響の奏者2人と弟子にあたる新日本フィル首席奏者のトリオによる初のCD。ベートーヴェンの2曲を含む全てがオーボエ2本+イングリッシュホルンのオリジナル作品だが、この編成の曲がこれだけ書かれている事実を充分納得させる好アルバムだ。冒頭のカーの作品から妙なる音色とその交錯に引き込まれ、ボザの作品のまさに牧童の笛の如き素朴な…

【CD】イタリア近代歌曲集Ⅱ〜告白〜/吉川具仁子

 イタリアで研鑽を積み藤原歌劇団の公演などでも活躍。家族の介護に専念した時期を経て、2013年からコンサート活動を本格的に再開している円熟のソプラノによる最新盤。トスティ集、古典歌曲集と録音を重ねて、今回は前作『〜やさしい心〜』に続く、近代歌曲集の第2弾。プッチーニらオペラ作曲家からカゼッラ、チマーラ、ザンドナーイ、ロ…

【SACD】ドビュッシー:前奏曲集(全曲)/横山幸雄

 16歳で渡仏し、パリ国立高等音楽院で学んだ横山幸雄による、久しぶりのフランスものの録音。円熟期のドビュッシーが書き上げた前奏曲集を、丁寧に冷静に音にしてゆくことで、ドビュッシーならではのハーモニーの妙やそこから生まれる色彩をありありと浮かび上がらせる。〈西風の見たもの〉や〈沈める寺〉での気品の保たれたドラマティックな…