New Release Selection

【CD】カルリーチェク・セクエンツァ ライヴ・イン・松本Ⅱ

 チェコ・ボヘミアのカルリーチェク家の3兄弟、ペトル(ピアノ)、ヨゼフ(チェロ)、マルティン(ピアノ)は、ともにプラハ音楽院などに学んだ後、それぞれオランダ、ドイツ、カナダで研鑽を積み、ソリストとして国際的に活動している。そんな彼らは2年前、トリオとして再結集。当盤は、昨年7月に長野・松本で行った来日公演の実況録音。故…

【SACD】R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」、「死と浄化(変容)」/ノット&東響

 一味違った味わいの名演と言うべきノット&東響のR.シュトラウス。この指揮者の手にかかると聴き慣れた有名曲ですら秘められていた「本質的な相貌」を顕にすることが多いが、「英雄の生涯」は冒頭から力みのないしなやかな響きを常に意識、和声感を重んじているようだ。と同時に多層的な各声部の明晰な抽出の手腕も見事なもので、全体と細部…

【CD】Terzetti ― テルツェッティ/西正子&村上敏明&須藤慎吾

 ソプラノの西正子とバリトンの須藤慎吾による二重唱集『DUETTI』(2007年)の続編ともいうべき好企画盤。今回は日本を代表するテノールの村上敏明を加えて、アリアから三重唱までを注目の仲田淳也が指揮する小編成オーケストラとライヴ録音。イタリア・オペラを中心に、登場人物それぞれの思わくが音楽と同時進行で展開する名場面が…

【CD】ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲集/アリーナ・イブラギモヴァ&ユロフスキー&ロシア国立アカデミー響

 ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲は、孤高の精神の旅路である。闇の中を手探りで進むノクターン、骸骨がカチカチと歯を鳴らし襲い掛かるスケルツォ、広大な大自然の前に一人たたずむ瞑想の時を経て、目標めがけて激しく疾走するフィナーレまで、シンフォニックな叙景を続けるオーケストラに、独奏者はほとんど休みなく対峙しなければな…

【CD】クープラン家 幸福な思い/崎川晶子

 1776年にパリの名匠、クリスティアン・クロルの手で製作されたクラヴサン(チェンバロ)。2008年に丁寧な修復がなされ、本来の豊かな響きを取り戻した。名手・崎川晶子が、この銘器に14年以来再び対峙。“大クープラン”ことフランソワを軸に、その伯父にあたるルイ、従甥アルマン=ルイと、華麗なる音楽一族の佳品を弾いた。自由な…

【CD】ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第1番、メンデルスゾーン:同第2番/葵トリオ

 2018年ミュンヘン国際音楽コンクール優勝で脚光を浴びた精鋭トリオのCD第2弾にして初のセッション録音。ベートーヴェンの「作品1-1」の選曲に本格的な第一歩を記す意気込みが表れている。事実同曲は楽聖のフレッシュさと創造力の豊かさを如実に示す精彩に富んだ快演。溌剌たる第1楽章から颯爽たる終楽章まで、表情の移ろいが鮮やか…

【CD】パリの悦び―オルレアン公フィリップのフランス・バロック音楽―/辺保陽一&トーマス・バエテ&郡司和也

 フランス・バロックに興味のある方は決して聴き逃せない一枚だろう。辺保陽一、トーマス・バエテ、郡司和也という当代きっての名手たちが奏でるは、ルイ14世〜オルレアン公フィリップ〜ルイ15世の時代にパリで出版された音楽。と言っても普通に知名度があるのはマレの作品くらいなもので、他は世界初録音となるアンドレ・ル・サック、ジャ…

【CD】モノローグ 無伴奏ヴィオラ作品集/小峰航一

 レーガーに始まる20世紀ヴィオラ無伴奏の世界を示す、意義深い一枚。充実の名品と知られざる佳品を集めた、資料的価値。レーガー晩年の3曲の意外な聴きやすさと楽しさ、名ヴァイオリン奏者アドルフ・ブッシュの作品や未完のブロッホ作品の水準の高さなどの発見。そして、京響首席奏者の小峰航一の素晴らしい演奏による、聴覚の喜び。小峰の…

【CD】野本哲雄 プレイズ・モーツァルト&シューベルト

 桐朋学園大学を卒業後、ソロはもちろん、アンサンブルピアニストとして多方面で活躍する野本。特に声楽のアンサンブルで評価の高い彼は、美しい音色、ニュアンスに富んだ音楽表現を持ち味とする。今回のディスクはそんな野本のピアニズムを最大限に聴かせてくれる一枚。音の数が非常に抑制されたモーツァルトのロンドはピアニストの資質のすべ…

【CD】ラヴェル作品集 /辻井伸行&佐渡裕&トーンキュンストラー管

 ピアノ協奏曲は気心が知れたコンビによる鮮度の高いライヴ録音。全体に辻井の瑞々しいピアノが光り、中でも第2楽章冒頭の長いソロの味わい深さに進境が示されている。さらには第3楽章の生き生きとした疾走感も心地よい。管弦楽曲も好演揃いで、特に「亡き王女のためのパヴァーヌ」のしなやかさと絶妙な抑揚、「ダフニスとクロエ」の精緻さと…