トップオーケストラの音楽家たちはいったいどんな話をしているのだろう? 「ぶらあぼONLINE」特別企画としてスタートした「オーケストラの楽屋から」、今回は東京交響楽団の登場です。ゲストとしてお集まりいただいたのは、コンサートマスターの水谷晃さん、小林壱成さん、ヴィオラの青木篤子さん、クラリネットの近藤千花子さん、ホルンの大野雄太さんの豪華5名。いよいよ最終回となった第4回では、11月に行われるR.シュトラウス《サロメ》について。もう今から演奏を楽しみにしている東響の皆さん。公演が待ち遠しくなること間違いなし!
オーケストラの楽屋から
普段なかなか見ることのできないアーティストの素顔や生の声、意外な一面などを紹介していきます。音楽家としてだけでなく、“人”としての魅力をクローズアップし、クラシック音楽をより身近に、そして深く楽しんでもらいたい、そんな思いを込めたコーナーです。
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vol.4 演奏会形式公演《サロメ》について
小林 ノット監督はすごくクレバーな方だから、オケをどうやってレベルアップさせて、みんなにどうやってインスピレーションを与え続けるかってことまで考えていらっしゃるから。それで多分このタイミングでサロメなんだと思う。
大野 (ステージの)どこで歌うんだろうね
水谷 サロメは編成が大きいからね。演奏会形式みたいになるのかなぁ。
大野 普通に前で歌うのかなぁ。
青木 やっぱピットに入るよりも、歌がこう体感できる。
小林 ピットでオペラやってる時って何も見えない状態…
大野 ホルンは本当に何にも見えない。だから《メリーウィドウ》なんかやっても何にも面白くないもん。
一同 (爆笑)
大野 女の子たちが踊ってんのかも何にも見えない!
小林 そう、だからそういう意味では本当に演奏会形式はすごく良い。
水谷 1つの空間でね。
小林 そう、1つの空間でみんながこう、ぎゅっとなる。それでノット監督のあの感じだから。すごく面白そうだなって思っちゃう。
水谷 しかも連れて来てくださる歌手がいっつも最高なんだよね。
一同 そうそうそう!
小林 グリゴリアンがマジですごいらしい。
水谷 え、ほんと!?
小林 世界一のサロメだって言われている…
一同 へぇ…!!!
小林 少し前に読響のシェフのヴァイグレさんとお話ししたとき、「この人とやるんだよね」って言ったら、「本当に素晴らしいよ」みたいなこと言われた。
青木 いぇーい!
近藤 そっか、楽しみ
水谷 とにかく無事できるように…。ね…。だって《トリスタンとイゾルデ》が流れた時のショックったら…なかったもん。
大野 あれはね、本当に…
水谷 スーパースターの方だから、スケジュール的にもう2度とこのメンバーが組めないような中、本当にいろんな方が苦労してくださって、その日たった2日間の演奏会のためにすべて時間を作ってくれたのが、一瞬にしてこうなるわけだから…。とにかく《サロメ》できたらいいですよね…
青木 神社にお参りしとこ…
一同 (笑)
大野 演奏会形式だと、ステージとしては、演出がシンプルな分、音楽には注力できるでしょう?
一同 うんうん
大野 もしかしたら歌手もスコア見るかもしれないから、やっぱりクオリティとしてはすごく上がる。みんな目をつぶって聞けば、いろんなステージが思い浮かべられるだろうし。そういう点では《サロメ》を演奏会形式ってのは良いアイデアかもしれない。
水谷 そうね。しかもさっきの話のように、意味がある音をすると伝わるって話だと演奏会で壮大な音楽…
近藤 やっぱりお客さんと、オーケストラと物理的な距離がめちゃくちゃ近いから。歌手も。
水谷 そうね。僕らもやりやすいからね、いつもシンフォニーのスタイルだと。
小林 劇を見る楽しさと音楽を見る楽しさと、オーケストラを聴く楽しさを、全部、このホールで楽しめるからね。
青木 いやぁ、客席でみたいなぁ…!
一同 (笑)
大野 降りる!?
青木 今から?!
大野 ホルン6本でセクション全員参加だから降りようがないんだよなぁ…
一同 (爆笑)
水谷 そうだ!
青木 6本だから(笑)
大野 みんなでステージ上でね、体験したいと思います。
音楽監督ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団
R. シュトラウス:歌劇「サロメ」全1幕
2022.11/18(金)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
11/20(日)14:00 サントリーホール
演出監修:サー・トーマス・アレン
サロメ:アスミク・グリゴリアン
ヘロディアス:ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー
ヘロデ:ミカエル・ヴェイニウス
ヨカナーン:トマス・トマソン
ナラボート:鈴木准
ヘロディアスの小姓:杉山由紀
兵士1:髙崎翔平
兵士2:狩野賢一
ナザレ人1:大川博
ナザレ人2:岸浪愛学
カッパドキア人:髙田智士
ユダヤ人1:升島唯博
ユダヤ人2:吉田連
ユダヤ人3:高柳圭
ユダヤ人4:糸賀修平
ユダヤ人5:松井永太郎
奴隷:渡邊仁美
水谷晃 Akira Mizutani
大分市生まれ。桐朋学園大学を首席で卒業。ヴァイオリンを小林健次氏、室内楽を原田幸一郎・毛利伯郎の各氏と東京クヮルテットに師事。
在学中Verus String Quartetを結成し松尾学術振興財団より助成を受け、イェール大学夏期アカデミー・ノーフォーク室内楽フェスティバルに参加。その後、第57回ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門で第三位入賞。
2010年4月より国内最年少のコンサートマスターとして群馬交響楽団コンサートマスターに就任。2012年、同団での活躍が評価され、第9回上毛芸術文化賞を受賞。2013年4月より東京交響楽団コンサートマスター。2018年6月よりオーケストラアンサンブル金沢客員コンサートマスターを兼任。
桐朋学園大学非常勤講師。
小林壱成 Issey Kobayashi
1994年⽣まれ。東京藝術⼤学卒業。同⼤学院を経てドイツ・ベルリン芸術⼤学 ⼤学院修⼠課程修了。Gyarfas Competition (ベルリン)最⾼位受賞、在学中、 Symphonieorchster der UDK Berlin のコンサートマスターとしてヨーロッパ各国で演奏。幼少より篠崎史紀監督の⻘少年オーケストラ TJOSで活動し藝⼤にて師事。ドイツにてProf. M. Contzen、バイエルン放送響第1コンサートマスターA. Barakhovskyに学ぶ。また室内楽をアルテミス・カルテットに学ぶ。⻘⼭⾳楽賞新⼈賞、⽇本⾳楽コンクール他受賞多数。国内外の⾳楽祭出演はじめ、ヴェンゲーロフ、レーピン等著名⾳楽家と共演を重ねる他、各楽団のゲスト・コンサートマスターとして活躍。2017 より銀座王⼦ホールレジデント「ステラ・トリオ」メンバーとしての活動を開始。2021年4月より東京交響楽団コンサートマスター。
青木篤子 Atsuko Aoki
桐朋学園大学、同大学研究科を経て、洗足学園音楽大学ソリストコースにて学ぶ。ヴァイオリンを藤井たみ子、東儀幸、原田幸一郎の各氏に、ヴィオラを岡田伸夫氏に師事。第15回宝塚ベガ音楽コンクール、第2回名古屋国際音楽コンクール、第2回東京音楽コンクールにて、それぞれ第1位を受賞。倉敷音楽祭、ヴィオラスペース、サイトウキネンフェスティバル、東京のオペラの森等に出演。これまでにソリストとして東京交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団と共演している他、2012年にはオペラシティ主催リサイタルシリーズ「B→C」に出演。またヴェーラ弦楽四重奏団メンバーとしてベートーヴェンの弦楽四重奏ツィクルスに取り組むなど、室内楽の分野でも幅広く活動している。
近藤千花子 Chikako Kondo
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、2005年東京芸術大学音楽学部を首席卒業。安宅賞、アカンサス音楽賞受賞。第78回日本音楽コンクール第2位。第22回日本木管コンクール第1位、聴衆賞。これまでにクラリネットを磯部周平、山本正治、村井祐児の各氏に師事。2013年アフィニス文化財団海外研修員として英国王立音楽院修士課程修了。在学中、クラリネットをクリス・リチャーズ、エスクラリネットをチーユー・モーに師事。ロンドン交響楽団に客演。
ブリティッシュスクールinTokyo、ドルチェアカデミー、ミュージックスクールDa Capo、洗足音楽大学、昭和音楽大学非常勤講師。東京交響楽団クラリネット奏者。
大野雄太 Yuta Ohno
山形県出身。山形大学教育学部卒業後に上京。東京藝術大学大学院在学中に新日本フィルハーモニー交響楽団入団。2011年東京交響楽団へ首席奏者として移籍。国内主要コンクールにおいて1位受賞などソリストとしても活躍。
「ホルンで奏でる紅白歌合戦」で全国各地にて公演を重ね、東日本大震災での慰問演奏などチャリティー活動にも力を入れている。日本ホルン協会常任理事。洗足学園音楽大学、東海大学講師。2児の父。PROWiND023、ナチュラルホルン東京メンバー。
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