子育てと演奏家活動の両立が叶う Pococha とは
ライブ配信を通じてライバー(配信者)とリスナー(視聴者)が交流するライブコミュニケーションアプリ「Pococha」が、演奏家たちにとって新たなパフォーマンスの場として注目を集めている。この企画では全6回シリーズとして、ぶらあぼでもお馴染みのアーティストをインタビュアーに迎え、ライバーとして生きる演奏家との対談が実現! 対談シリーズ2回目の出演となるクラシック・ギタリストの村治佳織が、2人の子育てに奮闘しながらママ・ライバーとして活躍するトランペット奏者、りこまおと対談。〈演奏 × 配信〉にはいったいどんな可能性が秘められているのか。配信の世界を徹底解剖します!
Pocochaのおかげでトランペットが自分の生活の中に
村治 「りこまお」さんとおっしゃるんですね。
りこまお 現在7歳の娘「りこ」と5歳の息子「まお」から。Pocochaを始めるにあたって、とりあえず付けた名前だったのですが、今さら変えられなくて(笑)。でも、ひらがなの丸っこい雰囲気が気に入っています。
村治 いいと思います!
りこまお 村治さんは普段ギターをどのくらい練習されるんですか?
村治 子ども時代は毎日でしたね。保育園に行く前のちょっとした時間に弾いたり。
りこまお えっ、保育園の頃からギターを手に?
村治 はい、2歳から自分のギターを持っていました。あるんですよ、ウクレレよりも大きくて普通のより小さな子ども用のギターが。父がギター教室を開いていたので、物心ついた時から自然にふれさせられた…習慣のように毎日続けるのが大切だと。あっPocochaと同じですね(笑)…その話は後ほど。まずは、りこまおさんとトランペットの出会いから…きっかけは?
りこまお 10歳の時、アメリカ発のマーチングバンドをベースにしたエンターテイメント「ブラスト!」を観たのがきっかけです。一応ピアノも習っていたのですが、母に「やりたい!」ってお願いしてトランペットのレッスンにも通うようになって、その後、ビッグバンドのジャズと出会って完全に心を持っていかれた。そこから20歳過ぎくらいまで、文系の大学に通いながら社会人バンドみたいなところでずっとトランペットを吹いていました。
村治 ジャズ・トランペットなんですね。20歳過ぎで辞めてしまったのは就職を機にとか?
りこまお 大学を卒業して普通の会社で働いていたのですが、割とすぐに結婚してしまって…
村治 早いですね!
りこまお 夫がスポーツ選手でまわりも早かった。すぐ子どもが生まれて、そこからトランペット空白の5年間ってかんじです。
村治 結婚式の時にも吹かれたのでは?
りこまお はい(笑)、友だちと共演して…でもそれを最後に。まあでも、もともとお母さんになりたいという願望があって、お付き合いする段階から結婚を前提にしていた気がします。
村治 やはり、一人目は大変でしたか?
りこまお 望んで授かったとはいえ、子育てには苦労しました。赤ちゃん中心で熟睡もできないし。いちばん辛かったのは「こうじゃなきゃいけない」みたいな理想に縛られて、自分を追い詰めてしまったこと。幸せいっぱいではあったのですが、最初の1年のことを想い出すと今でも泣けてきます。夫もちょうど試合で3ヵ月くらい家を空けていたりして。
村治 とてもトランペットどころじゃなかったのですね…
りこまお はい、そんな心の余裕もなくて。
村治 お二人目のときはどうでしたか?
りこまお 上の娘が私の「それはダメだよ」を理解し始めた2歳の時に今度は男の子が生まれて、でも二人目はかなり楽でした。「こんなかんじでいいかな」っていう加減がわかってきて。
村治 トランペットを再開してみようかなっていう気持ちになったんですね?
りこまお はい、Pocochaのおかげで。
家事・育児と両立しながら大好きな演奏を
村治 Pocochaを知ったのは?
りこまお 実は夫がハンドボールの選手で、みんなにハンドボールの魅力を知ってもらうためにPocochaをやっていたんです。
村治 あらまあ。
りこまお 当時はPocochaのことを全然知らなかったので、「なんでそんなことばかりやっているの?」ってかんじで非難していたら「見てくれている人がいるからやめられない」って言われて(笑)。夫がきっかけでPocochaのことを理解するために「りこまお」の名前で子どもが寝ている間に覗いてみました。音楽系のライバーさんの配信を観ているうちに興味が出てきて、実際に自分でやってみたら楽しくて見事にハマった。
村治 聞いてるとやってみたくなっちゃいますね。本日はなんと、これからここでPococha配信を実際にみせてもらえるとか…
りこまお はい、村治さんもぜひ参加してみてください!
村治 楽しかったー! 皆さんとかなり密にコミュニケーションがとれるんですね! なんでもやってみるものですね。実際にやってみてPocochaの雰囲気などよく分かりました!リスナーの方ひとりひとりにちゃんと声を掛けるのとか、りこまおさんの声のかんじがさっきまでとガラリと変わるのが印象的でした。いつもあんなハイテンションで元気いっぱい?
りこまお いろんな方の配信を視聴してみて、Pocochaでは明るいキャラクターが望まれていると感じました。その方が私の性に合ってるし、同じようなリスナーが集まる。アイテム(*1)をいただいた時のリアクションも最初は恥ずかしくて何もできなかったけれど、今は踊ったりして嬉しさと感謝の気持ちを表せるようになりました。コミュニケーションアプリなので大切なことだと思います。
*1 アイテム
配信中にリスナーがライバーを応援するために使用するデジタルコンテンツのこと。
アイテムを使用することで配信・視聴中の画面に様々なエフェクトを発生させることができ、配信を盛り上げることができる。
村治 普段はいつ配信されるのですか?
りこまお 子どもが学校や保育園に行っている時間帯が基本です。Pocochaのいいところは自分でそれを決められるところ。主婦業とうまく両立できています。
村治 収入の面ではいかがですか?
りこまお 頑張ったら頑張っただけ収入は得られると思います。子供には習い事もさせてあげたいので、そういうときはお昼の配信はできないですが、できるときは1日8時間くらい、毎日会社に行くのと同じ感覚…というか在宅ワークですね。それで以前の会社員時代より稼いでいます。夫はもう自分のはやめて、今は私を応援してくれています…チームスポーツなので個人の都合を優先するのは難しかったようです。
村治 演奏家には向いてますよね!
りこまお そう思います。楽器奏者は特に。歌の人はいっぱいいますが、楽器を演奏する人は少ないので、好きな人や興味のあるリスナーが集まりやすい。ライブに来てくれて、その後オフ会的に会うこともあります。
村治 楽器奏者の方もいろいろな方がいらっしゃるでしょうね。
りこまお 弾き語りが多いですね、ウクレレとか。ギターの方はほとんどがシンガー・ソングライターでしょうか。
80歳まで続けたい
村治 それにしてもちゃんと稼げているのがすごい。
りこまお ランク(*2)帯の上に行ければ報酬も高くなりますが、真ん中くらいのランク帯でもパートに出るよりは稼げると思います。家に居て子どもを見ながらできるので、自信を持って世の中のママにお薦めしたい!
*2 ランク
ライバーの人気度(どれだけ応援されているか)を「応援ランク」として導入。
ランクは E1~S6 までの19段階で区切られており、Eランク1つ、D~Aまでが3段階ずつ、最高ランク帯のSは6段階に分かれている。毎日の配信の結果でランクは上下する仕組み。
村治 オフ会的なライブもやられているとか?
りこまお 最初は他のライバーさんたち3~4人と一緒に会場を借りて、どちらかというと自分たちが楽しむ感じで始めました。今では北海道から大阪、福岡のライブハウスで開催しています…と言ってもマックス50人くらいの小さな規模ですが。
村治 でも人数じゃないんですよね…たとえ50人であっても1000人でも、目の前の聴衆に音楽を届けたいという気持ちは変わらない。それこそ、普段Pocochaでやられていることと同じ。
りこまお 今度3月末に名古屋で、初めてゲストなしの単独ライブを開催する予定で、今から少し緊張しています。
村治 今後の目標は何ですか?
りこまお 配信を見てくれている人は全国いろんなところにいるので、いろんな場所に行っていろんな人に会ってライブをしたいです。きっとその後の関係性がより深まるはず。今はライブに集まってくれる人を増やすためにも、Pocochaでの配信を続けて多くの人に発信していくのが大事かなと思っています!
村治 素敵ですね。何歳くらいでまでPocochaは続けたいですか?
りこまお 80歳くらいまでやるつもりでいます(笑)。
村治 私もデビューした頃「おばあちゃんになってもギターを弾きたい」って宣言していたのでよくわかります。
りこまお 今日はお会いできて嬉しかったです。
村治 こちらこそ、配信にまで参加させていただいてありがとうございます。お話を伺ってみて、Pocochaが子育てママの自立を支援するほどに暮らしに根ざしたツールであることがよくわかりました。それと改めて今の時代、自分をどう見せたいのか自身で決めて考えていくセルフブランディングが重要なのかなと思いました。私の場合は事務所やレコード会社というまわりのチームが求めるイメージにまずは応えて、これまでやってこられたけれど、最近はセルフプロデュースの演奏家も珍しくなく、自分で意見を持つことがより現代的な気がします。
りこまお SNSとかなかった時代は、自分のことを知ってもらえたりファンになってもらったりするのってすごく難しかったと思います。私は今のやり方やスタイルが好きなので、それを信じて続けていきたいです!
協力:Pococha
構成:東端哲也
撮影:吉田タカユキ
りこまお(トランペット)
小さい頃から音楽が好きで、3歳からピアノを、10歳からトランペットを始める。結婚・出産のタイミングで音楽から離れるものの、Pocochaをきっかきに再スタート。 現在は持ち前の元気と笑顔を武器に、ライブ配信やライブ活動を行う。母親になると自分のために何かをするということを忘れがちになるが、このような活動のおかげで目標に向かい楽しくいきいきとした生活を過ごせ、刺激的な毎日を送る。 次から次へとやりたいことがでてくるため、子育てを1番に、自分自身を大切に楽しみながら今後も様々なことに挑戦していく予定。
村治佳織(ギター)
幼少の頃より数々のコンクールで優勝し、15歳でCDデビューを果たす。 フランス留学から帰国後、ソロ活動やN響ほか国内主要オーケストラ及び欧州のオーケストラとの共演も多数重ねる。 2003年英国の名門DECCAレーベルと日本人初の長期専属契約を結ぶ。第5回出光音楽賞、村松賞、第9回ホテルオークラ音楽賞、日本ゴールドディスク大賞を2回など受賞歴多数。2017年よりJ-WAVE「RINREI CLASSY LIVING」のナビゲータを4年間務めた。テレビ、ラジオなどメディア出演も多数。 2021年5月公開の吉永小百合主演映画「いのちの停車場」のエンディングテーマを作曲・演奏。
ポコチャ(Pococha)とは、株式会社ディー・エヌ・エーが運営するライブコミュニケーションアプリです。
一般の方からモデル、歌手まで、様々な個性溢れるライバーたちが毎日配信中。
いつでも気軽に視聴・配信を楽しむことができます。
熱く応援してくれるファンに出会える、アットホームなコミュニティ・プラットフォームとして、
ライバー・リスナーの両者にとって居心地のよい場を提供しています。
2022年12月末時点で日本国内で累計456万以上ダウンロードされています。
https://www.pococha.com/ja-JP