ゆめもぶっく(フルート) 髙木凜々子(ヴァイオリン)
ライブ配信が仕事になる オンラインで生まれる演奏家の新たなステージ Vol.5

大好きな楽器演奏を仕事に。夢を叶えてくれたPococha

ライブ配信を通じてライバー(配信者)とリスナー(視聴者)が交流するライブコミュニケーションアプリ「Pococha」は、演奏家たちにとって新たなパフォーマンスの場として注目を集めている。この企画では全6回シリーズとして、ぶらあぼでもお馴染みのアーティストをインタビュアーに迎え、ライバーとして生きる演奏家との対談が実現!
今回は対談シリーズ2回目の出演となるヴァイオリニスト・髙木凜々子が、小学校の教員経験を経てライバーとして活動するフルート奏者のゆめもぶっくと対談。〈演奏 × 配信〉にはいったいどんな可能性が秘められているのか。配信の世界を徹底解剖します!
左: 髙木凜々子  右:ゆめもぶっく

2年間離れていた音楽の道にふたたび

ゆめもぶっく 今日はよろしくお願いします。実は私も小学校でちょっとだけヴァイオリンを弾いていたことがあるんですよ。

髙木 そうなんですね! では、その後でフルートと運命的な出会いが?

ゆめもぶっく  中学・高校と吹奏楽部でフルートを担当していました。進路については迷った結果、教育系の大学に。でも音楽が大好きで続けたかったのでそこでも吹奏楽団に入って、それとは別にアンサンブルのサークルを作って活動していました。

髙木 えっ? 自ら設立されたんですね。

ゆめもぶっく はい。でも大学卒業後は小学校の教員になって、2年間は音楽から離れていました。

髙木 結構長いですね。それで、それから何かきっかけがあってまた音楽の道に?

ゆめもぶっく はい。地元で吹奏楽団のコンサートを聴きに行った時に、やっぱり音楽っていいなと思って、フルートを続けたい気持ちが強くなりました。

髙木 なるほど…よほど心を動かされたのですね。

ゆめもぶっく それで、あまり先のことをよく考えずに、教員をやめてしまうんです。他のお仕事をしたこともありましたが、密かにフルート奏者になりたいという気持ちはずっと持っていました。ですが、音大も出ていない自分に何ができるんだろうって悩んで、兄に相談したりもしました。兄には「とにかくチャレンジしてみたら」って背中を押してもらった気がします。

髙木 いいお兄さんですね! 相談できる家族がいるのはありがたいですよね。実際にそこからはどのような活動をしたんですか?

ゆめもぶっく 大学までずっと関西にいたのでこっちに誰も知り合いがいなくて、まずSNSから始めました。DMを手当たり次第に送って「一緒に演奏しませんか?」って。あとは交流会のようなものに参加したり、とにかくなんとかしたくて必死でした。

髙木 行動力ありますね! 奏者の方にDMを送って反応はありましたか?

ゆめもぶっく 実際に何人かとやりとりして、そこから一緒にライブをするまでに発展したこともあります。その方の紹介でまた別の演奏者と繋がったり…

髙木 すごい! そこからすぐに配信をするようになったんですか?

ゆめもぶっく 3年半ほど前にPocochaのことを聞いて、まだ一般的にそんなに知られていなかったのですが、これも“あり”かもって(笑)。

髙木 じゃあ最初からPocochaを? インスタとか始めてからじゃなく。

ゆめもぶっく はい、もういきなり。…初心者でも始めやすいって聞いたので。

髙木 口コミですか?

ゆめもぶっく そうです!

髙木 口コミって大切ですね。

ライバー人生がスタート

髙木 まだそんなにPocochaが一般的じゃない頃から始められたということで、友だちや周りの演奏家仲間の反応はいかがでしたか? というのは、私もYouTubeに演奏をアップし始めた頃「そんなことしたらコンサートにお客さんが来なくなるよ」とか、いろいろとネガティブなことも言われたので…クラシック・シーンってまだまだ保守的な考え方の人も多くて。でも、コロナ禍になって世の中の考え方もがらりと変わって、かつて否定的だった人まで普通にYouTubeに自分のチャンネルを持つようになりましたね。

ゆめもぶっく わかります! 何か新しいことを始めることに対して批判的な人っていますよね。私の場合もPocochaのことを「いいね!」って応援してくれる人もいれば「演奏をオンラインで配信しているの?」なんてマイナスなイメージで捉えてくる人もいました。

髙木 YouTubeもPocochaも、演奏を楽しんでくれる人がいっぱいいるのに。

ゆめもぶっく 本当にそう思います!

髙木 ずばり、ライバーとしてPocochaのいちばんの魅力ってどこでしょう?

ゆめもぶっく やっぱりコンサート会場じゃなくて家にいながらにして、リスナーと一緒になって同じひとつの空間を作って、盛り上げていける楽しさです。

髙木 いただいたコメントにその場で対応できるし、リスナーさんにとっても演奏者を身近に感じられるはずだから、それは大きいですね。

髙木 それでPocochaの世界に飛び込まれて、実際にライバーとして活動してみて、どんなところが大変でしたか?

ゆめもぶっく とりあえずやってみようって軽い気持ちでスタートしたので、始めてからいろいろと苦労もありました。演奏だけでなくリスナーとのコミュニケーションがいちばん大切なことだとわかったし、基本的に毎日配信するのでマンネリしないように工夫したり、どうしても波があるので、いい流れの時はともかく、あまり良くないときのモチベーションをどうやってキープするかとか。

髙木 なるほど。逆に嬉しかった思い出はありますか?

ゆめもぶっく いちばん興奮したのは、渋谷のビジョンに出演できるイベント(*1)を勝ち抜いたこと。初めての経験で信じられなかったです、自分の姿があそこに映し出されるって。

*1 イベント
開催期間中に獲得できた応援ポイントを他の配信者と競い合うというもので、勝ち抜いて上位入賞できれば様々な特典を得ることができる(CM出演や広告起用、商品贈呈等)

髙木 すごい! どうやって達成できたんですか?

ゆめもぶっく いつもは1日4時間程度ですが、この期間はコメントやアイテム(*2)などの応援の獲得が重要になるので、必然的に配信時間を増やして…1日7時間くらい配信したりして。

*2 アイテム
配信中にリスナーがライバーを応援するために使用するデジタルコンテンツのこと。
アイテムを使用することで配信・視聴中の画面に様々なエフェクトを発生させることができ、配信を盛り上げることができる。

髙木 その場合どういう生活パターンになりますか…まさか一気に配信するわけではないですよね?

ゆめもぶっく はいもちろん、何回かに分けて。当時コロナ禍で緊急事態宣言が出たばかりで、ずっと家にいてほとんどPocochaをやっていたこともあって、朝起きてまず配信。それからお昼、夕方、深夜で各2時間ずつ、みたいな。

髙木 そうなりますよね…連続配信かと思って驚きました。

ゆめもぶっく さすがにそれはないです(笑)。

髙木 たとえば「今日は◯時から配信します~」みたいに、前もってSNSで宣言したりするんですか?

ゆめもぶっく Pocochaの中にそういうお知らせする機能があって、そこに書き込んでました。

髙木 リスナーさんがそれを見て来てくれる。

ゆめもぶっく そうです。

自分が本当にやりたい音楽で収入を得る

ゆめもぶっく あと、Pocochaの魅力として、報酬を得る仕組みが充実しているところが挙げられると思います。Pocochaを始めて2ヵ月程で、早朝から行っていたバイトを辞めることができました。

髙木 自分が本当にやりたいことで収入を得るのって、やりがいを感じますよね。

ゆめもぶっく だから音大の学生さんとかにもぜひお薦めしたい。せっかく演奏スキルを持っているのにそれを活かせないのはもったいない。いきなり音楽を仕事にするってハードルが高そう~とか、どうすればいいのかわからないって人の味方になってくれるはず。ただじっと待っているだけじゃダメなんです。とにかくやってみること。失敗したらとか、人の意見がどうこうとか、気にせず、恐れずに! 夢を叶えたい気持ちが強い人や目標が明確な人ならPocochaに向いていると思います。

髙木 確かに考え過ぎちゃうと不安になります。一歩踏み出す勇気ですね。スマホひとつで、始められるんだから。

ゆめもぶっく 私の方からも髙木さんに質問いいですか…YouTubeを始められたきっかけって何ですか?

髙木 大学1年生だった2015年の12月に「関ジャニ∞のTheモーツァルト音楽王No.1決定戦」という番組に出させていただいて、そこでヴァイオリン王になったんです。そのおかげでファンが一気に増えて、全国の方から演奏を聴きたいっていう声をいただくようになりました。でもすぐに各地を回って演奏ツアーに出るのは無理だったので、せめて皆さんに動画を届けようと思って、それで投稿を始めました。

ゆめもぶっく なるほどファンのためだったんですね。私もPocochaで配信するようになって、あたらめて自分を応援してくれるリスナーのありがたみがわかりました。かつてロビーコンサートに出演したら、自分のお客さんがゼロだと知ってショックだったんです。あの時はお客さんに聴きに来ていただくことがどれだけ難しいかわかっていなかった。今はリスナーに楽しんでもらうことを第一に考えて、みんなにとって居心地のいいあたたかい空間を作ることに力を注いでいます。聴いてくださる人がいるからこそ私も頑張れる。今はPocochaが自分の居場所だと感じています。
いかがですか、髙木さんもPocochaをやってみませんか?

髙木 お話を聞いて、より興味が出てきました。例えば練習って、どうしても気分がのらない日ってありますよね。特に自分ひとりだけならなおさら。そんな時「これから練習するんだけど、聴いてくれますか?」って呼びかけて配信できたら、きっと自分もすごくやる気がでると思うんですよね。そういう使い方はどうでしょう。

ゆめもぶっく いいと思います!

協力:Pococha
構成:東端哲也
撮影:吉田タカユキ

ゆめもぶっく(フルート)

兵庫県出身。幼少期よりピアノ、ヴァイオリン等音楽に触れながら育ち、12歳の時フルートに出会う。
大学では、教育学部に在籍。夢を持つ大切さをテーマとしたボランティア公演に多数参加し、卒業後、小学校教諭となる。
退職後、フルート奏者として演奏活動を始める。日本奏楽コンクール審査員特別賞受賞。日本クラシック音楽コンクール全国大会出場。島村楽器音楽コンクール金賞受賞。これまでに杉山佳代子氏、黒田由樹氏に師事。
現在は、コンサートやライブの企画や出演、レストラン演奏等幅広く演奏活動にあたる傍ら、講師として後進の指導にも力を入れている。

髙木凜々子(ヴァイオリン)

バルトーク国際コンクール第2位及び特別賞受賞、東京音楽コンクール第2位及び聴衆賞受賞など受賞歴多数。
これまでソリストとして神奈川フィルハーモニー管弦楽団、読売日本交響楽団、ハンガリー国立交響楽団セゲドなど、国内外のオーケストラと共演。国内外でのソロリサイタルYouTubeやメディアでの活動も積極的に行っている。
現在ソロ活動の他、パシフィックフィルハーモニア東京(旧東京ニューシティー管弦楽団)の特別ソロコンサートマスターとしても活躍している。東京藝術大学卒業。
使用楽器は黒澤楽器店より貸与のストラディバリウス

ライブコミュニケーションアプリ「Pococha」

ポコチャ(Pococha)とは、株式会社ディー・エヌ・エーが運営するライブコミュニケーションアプリです。一般の方からモデル、歌手まで、様々な個性溢れるライバーたちが毎日配信中。いつでも気軽に視聴・配信を楽しむことができます。
熱く応援してくれるファンに出会える、アットホームなコミュニティ・プラットフォームとして、ライバー・リスナーの両者にとって居心地のよい場を提供しています。
2022年12月末時点で日本国内で累計456万以上ダウンロードされています。

https://www.pococha.com/ja-JP