
独創的なプログラミングと、その世界観を最大限に引き出す色彩豊かな演奏で世界中の聴衆を魅了しているピアニスト、アリス=紗良・オット。今回のリサイタルは、今彼女が熱意をもって取り組んでいるジョン・フィールドのノクターンを中心としたプログラムである。フィールドはノクターンの創始者であるということでしかその名を知られていないが、彼の作品はショパンが影響を受けたことを改めて納得させられる魅力的なものばかり。繊細かつドラマティックなフィールドの世界をこれほど多くの楽曲で味わえる機会は貴重といえるだろう。さらに今回はそこにベートーヴェンの「月光」や晩年の30番などのピアノ・ソナタも加わる。工夫を凝らしたプログラムを通して、同じ時代を生きた2人の作曲家の「遺産」の偉大さ、そしてのちの時代にまで影響を及ぼした楽曲の完成度の高さを改めて感じることができるはずだ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2025年4月号より)
アリス=紗良・オット ピアノ・リサイタル ジョン・フィールド&ベートーヴェン
2025.6/29(日)14:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp
他公演
2025.6/21(土) 宮城/東北大学百周年記念会館川内萩ホール(tbc事業部022-714-1022)
6/22(日)沖縄コンベンションセンター劇場棟(琉球放送 事業 jigyou@rbc.co.jp)
6/26(木) 文京シビックホール(03-5803-1111)
6/28(土) 兵庫県立芸術文化センター(キョードーインフォメーション0570-200-888)
7/1(火) 愛知県芸術劇場 コンサートホール(クラシック名古屋052-678-5310)