
右:吉野直子 ©Akira Muto
ハインツ・ホリガーほど非凡な音楽家もいない。指揮者、オーボエ奏者、作曲家と3つの顔を持ち、そのすべての領域で卓越した手腕を発揮する。そんなホリガーが新日本フィルの指揮台に帰ってくる。公演時には86歳となるホリガーだが、まだまだオーボエ奏者としても健在なところを披露してくれるのだから、驚嘆せずにはいられない。
今回のプログラムでは20世紀の東欧の音楽とメンデルスゾーンが組み合わされる。ルトスワフスキのオーボエとハープと室内管弦楽のための二重協奏曲、ヴェレシュの「ベラ・バルトークの思い出に捧げる哀歌」、ルトスワフスキの「葬送音楽 バルトークを偲んで」は、音楽家ホリガーの原点をたどる旅のような選曲だ。ルトスワフスキの二重協奏曲は1980年にホリガー夫妻のために書かれた作品。今回はホリガーと吉野直子がソロを務める。ハンガリーの作曲家ヴェレシュはホリガーにとって作曲の師。そして、ヴェレシュにとっての師がバルトーク。ホリガーは師であるヴェレシュと、多くの作品で協働したルトスワフスキによる、ふたつのバルトークを偲ぶ作品を並べてみせた。
メンデルスゾーンの作品からは序曲「フィンガルの洞窟」と交響曲第4番「イタリア」が演奏される。作曲者の天才性が存分に発揮された伸びやかな音楽が、前半のプログラムと好対照をなす。ロマン派音楽であっても、新たな目で作品を見つめ直すのがホリガー。フレッシュな体験になるのでは。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2025年4月号より)
ハインツ・ホリガー(指揮/オーボエ) 新日本フィルハーモニー交響楽団
第663回 定期演奏会
〈サントリーホール・シリーズ〉
2025.5/23(金)19:00 サントリーホール
〈トリフォニーホール・シリーズ〉
5/24(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィルチケットボックス03-5610-3815
https://www.njp.or.jp