永井香織(サクソフォン) 髙木凜々子(ヴァイオリン)
ライブ配信が仕事になる オンラインで生まれる演奏家の新たなステージ Vol.2

演奏家に必要な“セルフプロデュース“に繋がるライブ配信とは

ライブ配信を通じてライバー(配信者)とリスナー(視聴者)が交流するライブコミュニケーションアプリ「Pococha」が、演奏家たちにとって新たなパフォーマンスの場としても注目を集めている。この企画では全6回シリーズとして、ぶらあぼでもお馴染みのアーティストをインタビュアーに迎え、ライバーとして生きる演奏家との対談が実現!
今回はソリストとして活躍し、パシフィックフィルハーモニア東京のコンサートマスターでもありYouTubeでも活躍するヴァイオリニスト・髙木凜々子が、「Pococha」を代表するトップライバーでサックス奏者の永井香織と対談。〈演奏 × 配信〉にはいったいどんな可能性が秘められているのか。配信の世界を徹底解剖します!
左:永井香織 右:髙木凜々子

楽器を始めてからPocochaに出会うまで

髙木 Pocochaとの出会いの前に、まずは楽器にまつわるエピソードをお伺いしたいと思います。

永井 まずは姉の影響で2歳ぐらいからピアノを始めました。小学校4年生から6年生まではトランペットもやっていたんです。

髙木 色々な楽器を演奏されていたのですね! サックスはいつから始められたのでしょう?

永井 中学校に入学して、吹奏楽部に入ってからでした。

髙木 すでに習っていたトランペットではなく、サックスを選んだのはなぜですか?

永井 もともと、中学校で楽器を続けるつもりがなかったんです。サックスの存在も知らないまま中学校に入って、“新体操をやりたいな”と思いながら部活見学をしていたら、先輩に声をかけられて、誘われるまま吹奏楽部に。そこで初めてサックスに出会いました。そこで一目ぼれしちゃって(笑)。“私はこの楽器をやるんだ!”ってなったんですよ。

髙木 先輩が誘ってくれたからこその出会いだったんですね!!

永井 はい、先輩には感謝ですね。ただ、初めに吹いたのはバリトンサックスでした。身体が小さい私には大きすぎて大変でしたね。

髙木 サックスの中で一番大きい楽器ですよね。

永井 そうです。アルトやテナーみたいなメジャーなものは先輩が演奏されるので、1年生でできるのはバリトンしかなかったんです。2年生になってからアルトに変わり、それからは全てのサックスを吹くようになりました。

髙木 それから高校、音大と進まれたのですね。大学卒業後にPocochaでライブ配信を始めるまではどのように活動されていたのでしょうか?

永井 もともとクラシックを学んでいましたが、大学在学中からジャズを習い始め、卒業後はジャズやポップスのジャンルを中心に演奏活動するようになりました。仕事をし始めた頃はピアノやサックスの先生などもしていましたね。一時期は100人近く教えていて、ほとんどレッスンだけで生計を立てていた時期もありました。もちろんレッスンのお仕事も大好きでしたが、自分の名前やサックス奏者としての活動を知ってもらうためにはどうしたらいいのか…というのは私の中で常に課題でした。

髙木 色々と考えていた時期に出会われたのがPocochaだったのですね。配信をはじめたきっかけを教えていただけますか?

永井 奏者としてもっと活動の幅を広げたいと思っているとき、ストリートライブも検討していました。しかし撮影許可が必要など色々と壁があり、なかなかうまくいきませんでした。そんなときにテレビでライブ配信の特集を見て、“これって(オンラインでの)ストリートライブじゃない?!”と思って。そこからは早かったです。ただスマートフォンにアプリをダウンロードして登録して「配信」ボタンを押しただけ。告知も何もせず、本当にいきなりでした。

髙木 すごい行動力ですね!

永井 始めた当初はそれまでのライブやレッスンとの感覚の違いに苦労しました。普段私たちは演奏するときにお客様の顔を見たり、空気を感じたりしながら演奏しますよね。顔が見えない人たちと画面越しに話すのは慣れないですし、喜んでくれているかどうかはじめの頃はわかりづらくて。

髙木 それでも続けてこられたのはなぜですか?

永井 リスナーさんたちから声がリアルタイムに届くというのが大きかったですね。毎日新しい出会いもありますし、何度も遊びに来てくださる方もいる。“サックスのことを初めて知りました”というリスナーさんが、私の配信にきてくれるたびにどんどん詳しくなっていくのはやっぱり嬉しいですよね。

髙木 それは素敵ですね! 毎日長時間の配信でお話をして、演奏をして…というのは大変なこともあると思いますが、それよりも“楽しい”、そして“嬉しい”が勝っているんですね!

永井 そうなんです。それこそサックスの存在すら知らなかった方が配信を通して、それまでコンサートに感じていた壁のようなものがなくなったと言ってくれますし、ライブにも来てくださるようにもなりました。それがものすごくうれしくて。ライブ配信が生演奏の可能性やお客様の幅を広げてくれているんです。そして、Pococha自体が全国どこでも、どんな状況の方にもリアルタイムで演奏を届けられるものなので、それ自体にもどんどんハマっていきました。

仕事にもなるって本当?

髙木 素晴らしいですね。どうしてもライブ配信と生演奏は別ものと思ってしまいがちですが、多くの人に生演奏を届けるきっかけにもなるのですね。しかもPocochaでの配信で収入を得ることも可能なんですよね。

永井 もちろんランクでの変動というものはありますが、Pocochaは収益システムが確立しており、配信するだけで収入を得ることができますし、固定のファンがついてくるとより大きな収入にもつながります。それらの積み重ねやご縁で、“こういう仕事をしたい”と思っていたことを実現できるようにもなりましたし、会社の設立やライバーの育成も行うまでになりました。

髙木 積極的に動いていくことでどんどん道が拓けるのですね!!

永井 そうです。実際に私は、5年前の12月にただ「配信」ボタンを押してみたところから始まり、こうしてお話をさせていただく立場になりました。今回の記事を読んでくださった演奏家のみなさんも、ボタンを押した瞬間に世界が変わるかもしれません。Pocochaには本当に音楽好きで優しい方がすごく多いので、ライバーに興味がある方はもちろん、音楽を楽しんでみたいというリスナーの方も新しい世界に触れることができるはずです。

演奏家にとってのライブ配信とは

髙木 実は私もライブ配信に挑戦したことがあったのですが、話すのに少し苦手意識があり、ステージで生演奏をしたいという想いが強かったので、途中で断念してしまったんです。でも、今回永井さんのお話を伺っているうちに、改めて挑戦してみたいなと思いました。特に今はSNSの活用を含めたセルフプロデュースが重要ですし、リスナーの皆さんと相互のやりとりができるライブ配信は音楽家にとって大きな武器になると感じます。

永井 SNSが苦手、という演奏家のお話はよく聞きます。せっかく素晴らしい演奏をされるのに、うまくそれをアピールできないから埋もれてしまっているということも多いですよね。でも絶対に演奏家の方はライバーに向いていると思うんです。やっぱり一芸があるのは強いです! Pocochaはリスナーの皆さんがとてもあたたかく優しいですし、色々と初心者のサポート体制も整っているので話すのが苦手という方も安心なんですよ。そもそも私自身が人見知りでしたし、話すのは苦手だったのに配信していくうちに楽しくなり、気づいたら12時間配信していたということも稀にあります。

髙木 そうなんですか!? こうしてお話していてもまったく信じられないのですが…(笑)

永井 ですよね。でも本当なんですよ。昔はまったくしゃべりたくなくて。ライブでもコンサートでも、一言もしゃべりませんでした。MCは他のメンバーに全部任せて、私はひたすら演奏するだけだったんです。

髙木 びっくりしました。そんな永井さんが、現在ではラジオのパーソナリティもされていらっしゃいますし、どんどん活動の幅も広げられていますよね。

永井 ラジオのパーソナリティは、ライブ配信で応援してくれたファンの皆さんがいたからこそ叶えられた夢なんです。経験を積めば、お話は絶対に上手くなります。だから迷っている皆さんに、怖がらずにまずは始めてほしいですね。先ほどもお話ししましたが、“サックスを初めて聴いた”と言っていた方も、今ではすごく詳しくなってくださるなど、配信をきっかけに、音楽に対する壁がなくなって、生活の中に自然と取り入れてくださるようになっているんです。それが本当に嬉しくて。こういう素敵な出会いがたくさんあります!

髙木 そしてリスナーさんがリアルの演奏会にも来てくださると仰っていましたね。

永井 はい! “音楽はハードルが高い”という考えをライブ配信で崩してもらい、演奏会にも来てもらうことを目指してきたのですが、それが実現できているんです。私のトークや演奏で、“音楽を身近に感じられるようになった”という言葉もたくさんいただき、それが大きな励みになっています。演奏家にとって、Pocochaでのライブ配信は自分の可能性を広げる場であり、音楽を通じてたくさんの輪が広がっていくところでもあると思います。多くの演奏家の方に配信をしていただきたいですし、リスナーの皆様にはそれをきっかけにもっと音楽を身近に感じていただけたらと願っています。

協力:Pococha
構成:長井進之介
撮影:吉田タカユキ

永井香織(サクソフォン)

サックスプレイヤー。ラジオパーソナリティ。武蔵野音楽大学卒業、同大学岡山県支部新人演奏会に出演。これまでにサクソフォンを、栃尾克樹氏・臼庭潤氏・小池修氏に師事。国内外で数多くの演奏拠点でジャズをはじめマルチプレイヤーとしてライブを繰り広げ脚光を浴び続けているサックスプレイヤー。
日韓友好50周年記念イベント、ジャカルタJAPAN WEEK 、アジア最大のフェラーリ ショールームRosso Scuderiaオープニングアクト、2017年12月には米国空軍太平洋音楽隊-アジア+航空自衛隊航空中央音楽隊の選抜メンバーによるジャズオーケストラとの共演、国内外問わず常に注目を集めている。渋谷クロスFM、bayfmでラジオパーソナリティをつとめる。
pocochaでの実績として、
女性誌掲載(MORE.Gina.Sweet.ViVi)、
月間ポイント日本一3回、コアファン1000名史上初達成、渋谷キューフロントビジョン広告に2回掲載など多数。

髙木凜々子(ヴァイオリン)

バルトーク国際コンクール第2位及び特別賞受賞、東京音楽コンクール第2位及び聴衆賞受賞など受賞歴多数。
これまでソリストとして神奈川フィルハーモニー管弦楽団、読売日本交響楽団、ハンガリー国立交響楽団セゲドなど、国内外のオーケストラと共演。国内外でのソロリサイタルYouTubeやメディアでの活動も積極的に行っている。
現在ソロ活動の他、パシフィックフィルハーモニア東京(旧東京ニューシティー管弦楽団)の特別ソロコンサートマスターとしても活躍している。東京藝術大学卒業。
使用楽器は黒澤楽器店より貸与のストラディバリウス

ライブコミュニケーションアプリ「Pococha」

ポコチャ(Pococha)とは、株式会社ディー・エヌ・エーが運営するライブコミュニケーションアプリです。一般の方からモデル、歌手まで、様々な個性溢れるライバーたちが毎日配信中。いつでも気軽に視聴・配信を楽しむことができます。
熱く応援してくれるファンに出会える、アットホームなコミュニティ・プラットフォームとして、ライバー・リスナーの両者にとって居心地のよい場を提供しています。
2022年12月末時点で日本国内で累計456万以上ダウンロードされています

https://www.pococha.com/ja-JP