Pocochaだからできる
ライバーとリスナー、双方向のコミュニケーション
ライブ配信を通じてライバー(配信者)とリスナー(視聴者)が交流するライブコミュニケーションアプリ「Pococha」は、演奏家たちにとって新たなパフォーマンスの場としても注目を集めている。この企画では全6回シリーズとして、ぶらあぼでもお馴染みのアーティストをインタビュアーに迎え、ライバーとして生きる演奏家との対談が実現! 今回は日本を代表するクラシック・ギタリスト村治佳織が、ヴァイオリンの演奏で人気を集めるPocochaライバーのMariNaと対談。〈演奏 × 配信〉にはいったいどんな可能性が秘められているのか。配信の世界を徹底解剖します!
Pocochaとの出会い
村治 ヴァイオリンを始めたのはやはり幼い頃からですか?
MariNa 私の場合、遅くて…今でいうリトミックに近いものから始めて最初はピアノを習って、小学2年生の終わりくらいからヴァイオリンに。祖母の友人が先生で、近所だったので遊びに行く感覚で。ところが、1ヵ月半くらい経った頃にクリスマス会があって、いきなり讃美歌を弾くことになったんです。その時に褒められたのが自分でもすごく嬉しくてその気になって…(笑)。その後、桐朋女子高等学校から桐朋学園大学に進みました。
村治 高校受験の頃に、演奏家としての将来を見据えていたのですね。高校に入ってからはコンクールに出たりしました?
MariNa それが、人前で弾くこと自体は大好きなのですが、採点されたりするのに昔から少し苦手意識があって。桐朋の音楽教室の発表会などでも、お互いライバルみたいな雰囲気になったり、本人よりも親御さんがピリピリしていたりする空気が怖かったこともあって人並みに参加はしましたが苦手意識はありました。
村治 実は私も14歳でコンクールを受けるのをやめているんですね。一つにはその翌年にデビューさせていただいたこともあるのですが、最後に出たコンクールで、自分が1位をいただいても他の人がとても悲しそうな顔をしていたりとか、本人だけじゃなくて周りの方たちもね…。私の場合まずは、自分の前にレールを敷いてくれた事務所だったりレコード会社の人たちの期待に応えていくのが、演奏家としてのモチベーションになりました。
MariNa わかります! 世界的なチェロ奏者であるヨーヨー・マさんの公開レッスンを拝見したとき「私は聴衆と一緒に音楽を奏でている。だからどんな場所で弾いても怖くはない」とおっしゃっていたのが印象的で。そうなんだ、ジャッジされていると思うのではなく、目の前のお客さんと楽しめばいいんだって考え方が変わったんです。それで大学を卒業する前から事務所に入って活動を始めました。当時はまだクラシックの演奏家が気軽に演奏できるような環境があまりなかったのですが、とあるクラシックギタリストと共演するようになって、彼はクラシックギターも弾く方なんですがエレキギターも弾くのでライブハウスやカフェといった場所に明るくて、ライブ活動のスタイルなどを教えてもらいました。その方と組んだことがきっかけで自分で自主コンサートもするようになり、ファンになってくださる方もその頃から少しずつ増えてきましたね。
村治 今ではPocochaでライブ配信もやられているんですよね。Pocochaを始めてどのくらいになりますか?
MariNa ライバーとして活動し2年が経ちました。コロナ禍で仕事がなくなってしまった演奏家が周りにたくさんいて、現在の所属ライバー事務所とのご縁があり、周りの演奏家たちに声をかけてみんなでスタートしました。始める前は歌手やアイドルの配信ツールというイメージがあって、自分にできるのか不安だったのですが、Pocochaは収入を得る仕組みがしっかりしているので、とりあえずやってみようと思って。最初のステップとして「まずはここまで」みたいな、うんと低めの目標を決めてスタートしました。
Pocochaで演奏の活動の場が拡がる
村治 最初は無理なく、ハードルを低くしたら始めやすそう。ただ、Pocochaは「毎日配信しないといけない」ってよく耳にするのですが…
MariNa 配信時間とランキングによって運営から報酬を貰えるシステムはPocochaならではの特徴ですね。ランキングは、リスナーからの応援(その日の配信の中でアイテムやコメント数)によって決まるので、確かに基本的に毎日配信しないとランクも下がってしまいます。でも私はそれを、継続するための支援システムでもあると考えていて。たぶん、そのシステムがなかったら私は続けられなかった可能性もあります。まずは始めの1ヵ月だけはしっかり集中して頑張ろうと思っていたら、その後も思いがけずずっと続けられています。というのも、リスナーさんの応援が想像していた100倍ぐらいあったから。最初に決めた目標もわりとすぐに達成できて、その後はイベント(*1)で1位をとることもできたり、要は皆さんにすごく応援していただけたんです。
*1 イベント
開催期間中に獲得できた応援ポイントを他の配信者と競い合うというもので、勝ち抜いて上位入賞できれば様々な特典を得ることができる(CM出演や広告起用、商品贈呈等)。
村治 イベントって、どんなことをやるんですか?
MariNa 開催期間中に獲得できた応援ポイントを他の配信者と競い合うもので、勝ち抜いて上位入賞できれば様々な特典を得ることができるんです。インタビュー記事をwebにアップできたり、駅のポスターに載ったり、テレビCMに出演できたりするタイプの特典から、例えば…お肉がもらえるとか(笑)。そういうのも「行こう、みんなで勝ち獲ろう!」ってみんなで私を押し上げてくれる。
村治 リスナーの反応をライバーの方はどうやって感じるのですか?
MariNa 演奏中にキラキラした絵文字とかでコメントを画面にあげてくれたり、アニメーションが出てくるアイテムを使って盛り上げたりしてくれるので、みんなが楽しんでいるのがわかるんです。特に私はコールアンドレスポンスも大事にしていて、例えば演奏中にパンダのアイテム(*2)が飛んできたら、その時に弾いている曲の中にチャイニーズリフの「チャラララ ランラン ランランラ〜ン」というフレーズを入れ込むという遊びをやっています…結構難しいのですが、リスナーが面白がって「パンダアタック」と呼んでゲーム感覚で参加してくれるので楽しい。他にも、画面の中でリスナーがビームを撃ってきたらバリアではじき返すとか。
*2 アイテム
配信中にリスナーがライバーを応援するために使用するデジタルコンテンツのこと。
アイテムを使用することで配信・視聴中の画面に様々なエフェクトを発生させることができ、配信を盛り上げることができる。
村治 面白そう! でも演奏しながらそれをやるのは相当たいへんなのでは?
MariNa 音楽好きな方が多くて、今は静かに聴くべきところとか、ここは突っ込んでもOKとかをリスナーが心得てくださるので、演奏の邪魔にならずにうまく遊んでいただいています。たまに「今かよ!」って時もありますけどね(笑)。それにリアルのコンサートと違って、もう1回同じ曲を今度はちゃんと弾きます…みたいなこともできる。私の場合は、その場でリクエストに応えるのもジャンルにこだわらずに幅広く対応しています。そのあたりもライブ配信ならではの強みというか醍醐味かもしれません。
村治 まさに、ファン・クラブですね。私もファン・クラブを運営していたこともありますがPocochaは双方向のやりとりがすぐにできるのが素敵です。本当にPocochaを始めたくなってきました。もし私がやるとしたら、いろんな方にクラシック・ギターに興味をもっていただいて、実際にコンサート会場に足を運んでくださる方が増えるような内容にしたいという希望があります。
MariNa そういう使い方にも最適だと思います!
演奏家にとってのライブ配信とは
村治 実は今回、Pocochaのお話を伺っていて、弟(同じく、クラシック・ギタリストとして活躍中の村治奏一)が取り組んでいたことに似ていると思っていました。弟はもう10年以上前から、練習風景を流すだけのマニアックな動画を配信しているんです。リハーサルの配信ってクラシックならではですし、レア感もあっていいかもしれませんね。あと、クラシックの演奏家としては音の響きも重要なポイントになりますが…
MariNa Pocochaに関してはミュージシャン界隈でも音質の良さに定評があります。スマホだけでも配信できますが、私は本当にレコーディングができるような状態で、オーディオインターフェースを通してプリアンプやミキサーも使って配信しています。操作は使ううちに覚えていけますし、いったん繋いだら毎日使えるので。
村治 あと心配なのは、配信アプリって、キラキラしているイメージがあって…
MariNa 私も最初の3日ぐらいキャラを作って声を高くしてカワイイかんじでやってみたのですが続かなかった(笑)。やはり継続できることがポイントですね。それに毎日配信があると、リスナーさんの生活が見えるというか「今仕事が終わったところ」とか、そんな疲れた時に観てくれるんだって、応援してくださることのありがたさに感動します。「明日テストがあるから」「元気出したいからこの曲お願いします」とか。あるリスナーさんは、「娘が彼氏を連れてくるので勇気を出したいからこの曲を弾いて」→「両家の顔合わせがあるから」→「結婚式の前日だからこの曲をお願いします」→「孫が生まれたからこの曲を」…ってその人のストーリーを感じて。皆さんの人生に関われている気がして嬉しくて、演奏家としての励みにもなるんです。
村治 私もコンサートに来てくださった方ひとりひとりにライフストーリーがあることを、いつも会場で感じながら演奏してきましたが、実際にはお手紙などをいただいたりしない限り見えないことですものね。Pocochaが、本当にライバーとリスナーとの繋がりから生まれる喜びを大切にしているアプリだということが、よくわかりました。クラシック・ギターは1人で伴奏でもメロディーでも弾けて、人に寄り添える優しさのある繊細な表現ができる楽器。一対一でじっくり聴いてもらえるので、配信に合っているんじゃないかなと思います。
MariNa ぜひ、いろんなライバーの配信を視聴してみてください。みんなそれぞれスタイルが違っていて面白いですよ。
協力:Pococha
構成:東端哲也
撮影:吉田タカユキ
MariNa(ヴァイオリン)
桐朋女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽部卒業。 大阪国際音楽コンクール3位、イタリアカステルサルド国際マスターコース最優秀賞生スカラシップなどジャンル問わず賞を受賞。 人気ドラマ「リーガルハイ2」で主演の堺雅人にヴァイオリン指導。 Twitterにてヒルトン東京での演奏を映した動画が約70万回再生される。 DJ MAAR feat.MariNaとしてフジロック2021出演。 「生演奏を身近に」「ヴァイオリンはカッコいい」をテーマに、オールジャンルでライブ、レコーディング、配信など意欲的に活動している。 https://profu.link/u/marineesalad
村治佳織(ギター)
幼少の頃より数々のコンクールで優勝し、15歳でCDデビューを果たす。 フランス留学から帰国後、ソロ活動やN響ほか国内主要オーケストラ及び欧州のオーケストラとの共演も多数重ねる。 2003年英国の名門DECCAレーベルと日本人初の長期専属契約を結ぶ。第5回出光音楽賞、村松賞、第9回ホテルオークラ音楽賞、日本ゴールドディスク大賞を2回など受賞歴多数。2017年よりJ-WAVE「RINREI CLASSY LIVING」のナビゲータを4年間務めた。テレビ、ラジオなどメディア出演も多数。 2021年5月公開の吉永小百合主演映画「いのちの停車場」のエンディングテーマを作曲・演奏。
ポコチャ(Pococha)とは、株式会社ディー・エヌ・エーが運営するライブコミュニケーションアプリです。一般の方からモデル、歌手まで、様々な個性溢れるライバーたちが毎日配信中。いつでも気軽に視聴・配信を楽しむことができます。
熱く応援してくれるファンに出会える、アットホームなコミュニティ・プラットフォームとして、ライバー・リスナーの両者にとって居心地のよい場を提供しています。
2022年12月末時点で日本国内で累計456万以上ダウンロードされています。
https://www.pococha.com/ja-JP