庄司紗矢香とジャンルカ・カシオーリによるモーツァルトの二重奏ソナタ集、ドイツ・グラモフォンからアルカナに舞台を移しての第2弾。庄司のクラシカル弓とガット弦の使用、カシオーリのフォルテピアノの使用が話題となったVOL.1と来日公演は賛否もあったが、筆者は新たな挑戦を強く支持したい。本盤はK.301以降の3曲。前作よりもさらに楽器と語法を手の内に入れた演奏が展開される。反復時に即興的装飾を敢行するカシオーリ、そしてモダン楽器での経験値をピリオド楽器演奏と融合させる庄司。2人は自在なテンポの加減速を駆使し、スリリングな対話を繰り広げる。新たな視界が確かに開けている。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2025年3月号より)
【information】
SACD『モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第25番・第34番・第40番/庄司紗矢香&ジャンルカ・カシオーリ』
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第25番、同第34番、同第40番
庄司紗矢香(ヴァイオリン)
ジャンルカ・カシオーリ(フォルテピアノ)
Arcana/ナクソス・ジャパン
NYCX-10507 ¥3300(税込)