【SACD】ラウタヴァーラ:カントゥス・アルクティクス 他/サカリ・オラモ&東響

 フィンランドの指揮者サカリ・オラモが昨年、東京交響楽団と初共演した際のライブ盤。母国の知られざる名作をフィーチャーした選曲がいい。ラウタヴァーラ「カントゥス・アルクティクス」では、録音された北方の鳥たちの鳴き声の中をオーケストラがゆったりと進み、恍惚とした情景が出現する。シベリウス「ルオンノタル」は700年もの間、海を漂う大気の精の嘆きを、ソプラノのアヌ・コムシがポルタメントを効かせた妖しい歌唱で表現。東響の緻密で透き通ったサウンドも北欧の空気感をうまく伝えている。ドヴォルザークの交響曲第8番はきりっとバランスよい解釈で、オラモの熟練ぶりを実感。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2025年4月号より)

【information】
SACD『ラウタヴァーラ:カントゥス・アルクティクス 他/サカリ・オラモ&東響』

ラウタヴァーラ:カントゥス・アルクティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)/シベリウス:交響詩「ルオンノタル」/ドヴォルザーク:交響曲第8番

サカリ・オラモ(指揮)
東京交響楽団
アヌ・コムシ(ソプラノ)

収録:2024年4月、サントリーホール&ミューザ川崎シンフォニーホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00870 ¥3850(税込)