New Release Selection

【CD】カウンターテナーによる「冬の旅」/本岩孝之

 フィッシャー=ディースカウやプライなど名バリトンからコントラルトのシュトゥッツマンまで様々なタイプの名唱で歌い継がれてきた「冬の旅」だが、ついにカウンターテナーによる決定盤が登場。歌い手の本岩孝之は現代曲からヒップホップ系まで異例のレパートリーを誇り、低い方はバリトンまで4オクターヴの脅威の音域の持ち主。半信半疑だっ…

【CD】山田耕筰ピアノ作品集「子供と叔父さん(おったん)」/杉浦菜々子

 子供の日常を温かい目で描写した「子供と叔父さん」(1916)の楽譜表紙絵を用いたジャケットに導かれ、大正時代にタイムスリップ。すると聖歌やショパン、さらにはドビュッシーやスクリャービンに至る語法を貪欲に消化しながら、日本的な独自性をミックスし新しい器楽の世界を切り開こうとした山田耕筰の試みの同時代性が、鮮やかに浮かび…

【CD】バッハ:ゴルトベルク変奏曲/水永牧子

 水永牧子久々の新譜『ゴルトベルク変奏曲』は一言で言うと「面白くて聴き易い」演奏(勿論良い意味で)。即興的なリズムの揺らぎや意図的な右手と左手の「ズレ」、多彩な装飾音(例えば終曲の主題の再現!)、2段鍵盤とリュート・ストップの使用による驚くべき多彩な音色の表出…。昨今では半ば常識と化している反復も省略していることが多く…

【CD】モーツァルト!&ジャズ! /カルボナーレ・クラリネット・トリオ

 イタリア屈指の名手カルボナーレが、盟友たちと2016年に結成したクラリネット・トリオのアルバム。前半のモーツァルト3大オペラ楽曲は、主にバセットホルンの温かい中低音域による3声のシンプルで心地よい響きが、かえって原曲の精妙な和声の陰影を浮かび上がらせ、演奏と曲のすばらしさに嘆息。ムードが一転する後半のジャズ・ナンバー…

【CD】捨てられて〜イタリアのヘンデル /キャロリン・サンプソン&キングズ・コンソート

 フライブルク・バロック・オーケストラとの来日ツアーで、名唱を聴かせてくれたばかりの英国のソプラノ、サンプソン。彼女の持ち味は、透明感だけを優先するのでなく、がっちり芯のある、時にしっかりとドスを利かせて歌い込むダイナミックさだ。劇的な感情の起伏を伴う、若きヘンデルによるイタリア語カンタータは、まさにうってつけの題材。…

【CD】華麗なる舞曲 /飯森範親&東京佼成ウインドオーケストラ

 2012年の『火の鳥』以来となる飯森&佼成ウインドの2作目のCD。前作で濃密な名演を聴かせた飯森は、今回も同楽団との相性の良さを示す快演を展開している。まずは「華麗なる舞曲」が圧巻。冒頭から驚異的スピードと圧倒的妙技に度肝を抜かれ、めくるめく展開に耳を奪われる。クレストンのサクソフォン協奏曲では、田中靖人の明瞭かつ豊…

【CD】捨てられて〜イタリアのヘンデル/キャロリン・サンプソン&キングズ・コンソート

 フライブルク・バロック・オーケストラとの来日ツアーで、名唱を聴かせてくれたばかりの英国のソプラノ、サンプソン。彼女の持ち味は、透明感だけを優先するのでなく、がっちり芯のある、時にしっかりとドスを利かせて歌い込むダイナミックさだ。劇的な感情の起伏を伴う、若きヘンデルによるイタリア語カンタータは、まさにうってつけの題材。…

【CD】南聡 作品集 Second Air…/クァルテット・レオーネ 他

 ベートーヴェンの複合形式を参考にした約35分かかる巨大な弦楽四重奏は、高音域の音の雲から緻密な綾が絶え間なく紡ぎだされる。若手のクァルテット・レオーネが終始シャープな音像で描いている。続く「昼Ⅷ」は既存のクラリネット独奏曲、フルートとチェロの二重奏を組み合わせ、さらに三重奏部を書き足した。三重奏「工房より」は新しい創…

【CD】ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 〜イリュミ ナシオン 光り輝く事〜/藤井一興

 アルバムの副題はランボーの詩集からとられたもので、ルイ14世の時代から受け継がれたフランス芸術を味わうというコンセプト。柔らかい輝きを放つ音で奏でられるクープランとラモー、瀟洒な色と落ち着きを感じるモーツァルトの「ソナタ K.310」と、香り高い音楽が続く。フォーレの夜想曲第6番は、深い歌声のような表現が印象的。ショ…

【CD】BARITONISM ―ロシア・チェロ作品集―/本堂誠

 藝大とパリ国立高等音楽院で学び、3つの国際コンクールと日本管打楽器コンクールで優勝した気鋭サクソフォン奏者のデビュー・アルバム。バリトン・サックスでロシアのチェロ・ソナタを演奏した前代未聞(?)の内容だ。これは、“意欲的なチャレンジ”といったレベルではなく、“音楽と楽器の魅力をいとも自然に表出した”驚くべき録音といえ…