New Release Selection

【CD】流れよ 私の涙〜ジョン・ダウランド リュートソング集〜/小倉麻矢&つのだたかし

 言葉を語り、“うたうたい”を自称する小倉麻矢。イギリス古謡に惹かれて、ロンドン王立音楽大学に学んだ。そのファーストアルバムは、つのだたかしのリュートを伴ってのダウランドのリュートソング集。温かく、しっとりとした湿り気を包含した小倉の声と、一つひとつの言葉に魂を込めた歌いまわしは、これらの楽曲が湛える独特のメランコリー…

【CD】第10回 浜松国際ピアノコンクール2018

 2018年11月に行われた第10回浜松国際ピアノコンクール。第1位から6位の入賞者、奨励賞そして日本人作品最優秀演奏賞、計8名の演奏のハイライトが2枚組のCDでリリースされた。優勝したトルコ出身のジャン・チャクムルの演奏からはショパンの幻想ポロネーズ、モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番、そして鬼気迫るリストの協奏曲第…

【CD】ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番、シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番/葵トリオ

 昨年秋、最難関で知られるミュンヘン国際音楽コンクールで優勝を果たした葵トリオの、凱旋レコーディングが早くもリリースされた(曲もコンクールで演奏されたもの)。玉のような粒立ちをもったピアノの上で、ヴァイオリンとチェロが親密に交歓し、また華麗な協奏を繰り広げる。音楽の方向感が明瞭、構成もしっかりしており、各人が切れのよい…

【CD】プロミス―PROMISE―/小田桐寛之

 都響の首席トロンボーン奏者、小田桐寛之の7枚目のソロCD。日本屈指の個人技もむろん満喫できるが、一部編曲も担当する妻のピアノ、米国でジャズを中心に活躍する息子のパーカッション、元・同僚のトロンボーンがコラボした、ファミリー・セッションの妙に魅せられる。クラシックからピアソラ、宮沢賢治の曲まで、構成は全くのボーダーレス…

【CD】チマローザ:宮廷楽士長&ペルゴレージ:奥様女中/佐藤征一郎

 17〜18世紀のイタリアで、シリアスなオペラの幕間に息抜きとして上演され人気を博した「インテルメッツォ」。その有名な2作品に挑んだ、日本の名バスバリトン佐藤征一郎による絶頂期(1984年)のライヴ録音が登場。オーケストラの練習風景を各楽器奏者と格闘するマエストロの視点で描いた一人芝居《宮廷楽士長》はイタリア語、小間使…

【CD】Három barátnak〜コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ 作品8 他/川上徹

 新日本フィルのフォアシュピーラーを務める傍ら、サイトウ・キネン・オーケストラへの参加やソリストとしても活躍する川上徹のコダーイ「無伴奏」。派手な技巧で華麗に弾き飛ばす演奏もままある中、ここでの川上は卓越した技巧を遠心の方向ではなく腰の据わった求心のベクトルへ向ける。その音楽は落ち着きがあり、そして音楽の表情に実に深み…

【CD+DVD】ミルコ・ラザール作品集 /北谷直樹&杉田せつ子

 ピリオド楽器を時代という枠組みから切り離し、個性的な表現手段として用いる動きは今や盛ん。現代スロヴェニアのミルコ・ラザールが、スイスを拠点に活躍するチェンバリスト、北谷直樹のために書いた作品集。多様な色彩とリズムの前に、「高貴で繊細」といったイメージを押し付けられてきた楽器が、時に艶めかしく、時にダイナミックに語り掛…

【CD】シューマン:チェロ協奏曲 他/堤剛&小林研一郎&日本フィル

 わが国を代表する巨匠ふたりが揃った、今年1月の日本フィル定期が早くもCD化。シューマンのチェロ協奏曲は、今風の軽快さとは無縁の悠揚迫らぬ歩みで進み、不思議な“静けさ”すら漂う。堤の孤高の境地が示された表現を、小林がしっかりと受け止めて、余人の及ばぬ協奏の世界が創出される。チャイコフスキーの3番でも、第1楽章主部の力強…

【CD】バッハ:オルゲルビュッヒライン/塚谷水無子

 「オルゲルビュッヒライン(オルガン小曲集)」は1713年頃、バッハが20代で編纂を始めたコラール前奏曲集。教会暦に沿った全46曲は、作曲家が転職をにらんで自己アピールを狙った、渾身の作との説も。実際に、創意工夫が随所に凝らされて、内容は濃密にもかかわらず、“讃美歌集”と地味に捉えられがち。しかし、バッハ時代から残る最…

【CD】シューベルト:4つの即興曲、ショパン:ピアノ・ソナタ第3番/有吉亮治

 ジュネーヴに留学し、現在はソロに室内楽に活躍する有吉亮治のデビュー盤。つぶやくように力なく始まった葬送行進曲が、フレーズごとに強さを増しながらテクスチュアを膨らませるシューベルトの即興曲第1番。出だしから楽譜を深く読む思慮、それを的確に音にする技量を感じる。ショパンのソナタ第3番では構成感を捕まえて、フィナーレに向か…