New Release Selection

【CD】マリス・ヤンソンス ラスト・コンサート/ヤンソンス&バイエルン放送響

 ヤンソンスの最後の公演となった昨年11月8日、カーネギーホールでのライブ。21世紀に入りヤンソンスの指揮はエネルギッシュで情熱的なものからどっしりと構えた巨匠風のそれへと変わっていったが、バイエルン放送響の首席に迎えられ腰を据え取り組めるようになったことが大きかったのではないか。本公演は最後まで指揮ができるか、団員も…

【CD】ひとすじに/松本美和子

 1972年ローマ国立歌劇場デビュー以降、世界各国の主要オペラ劇場に出演。日本ではトスティ歌曲の第一人者としても知られ、現在は次世代の育成にも全力で取り組む大輪のソプラノによる喜寿記念盤。円熟を極めた彼女が無理のない発声で歌い上げる5ヵ国語もの歌曲は圧巻。古典歌曲に始まりモーツァルト、シューマンときて、白秋&耕筰の〈か…

【CD】ショパン ラフマニノフ ブーレーズ/務川慧悟

 2019年ロン=ティボー=クレスパン国際音楽コンクール第2位受賞で注目を集めた精鋭の国内初のソロ・アルバム。まずは、ショパンに始まり、彼の影響が顕著なラフマニノフの作品を経てブーレーズの21世紀作品に至る選曲&構成が光っている。演奏自体も隅々まで考え抜かれた表現がなされ、それでいて流れはごく自然。本作の中では有名なシ…

【CD】アンソロジー/小林美樹

 「作品へ生命を吹き込むのに大切なのは、“自分は歌っている”と想像すること」。2011年にヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで2位入賞、幅広い活躍を続ける小林美樹は綴る。“歌”と“踊り”をテーマに、古今東西の名旋律を集めた当盤。剛柔を巧みに操り、凛とした空気感を創出する「序奏とロンド・カプリチオーソ」、旋律の向…

【CD】LOVE CHANGES EVERYTHING/IL DEVU

 日本を代表するオペラ歌手、ピアニストによるユニット「IL DEVU」。それぞれの声、ピアノの音色が魅力的であることに加え、それらが重なることによって生み出される音は、迫力や輝かしさはもちろん、どこまでも優しく包みこんでくれるようなあたたかさも感じさせてくれる。彼らの演奏は、常に言葉への深い愛情に満ちている。その想いは…

【CD】〈カプースチン ピアノ作品全曲録音Ⅳ〉ピアノ・ソナタ第8番、第9番/川上昌裕

 ピアニストたちに新たなレパートリーを開拓したカプースチン。残念ながら今年他界してしまったが、数多くの素晴らしい作品を残してくれた。それらの全曲録音を行っているのが、カプースチン作品のスペシャリストである川上昌裕である。精密にコントロールされた指さばきと、濃淡のコントラストが見事なタッチの演奏は、カプースチン作品の色彩…

【CD】フレネジア/丸山韶&アンサンブルLMC

 ヴェラチーニはイタリア・バロックの鬼才。そのヴァイオリンの技術にはタルティーニもおそれをなしたという。若いころの作品は華麗な技に加え自由闊達さ、破格さが印象的だが、円熟期の「アカデミック・ソナタ」のパッサカリアやシャコンヌには、周囲から「風変り」と呼ばれた思弁性が表れ、「狂気」を意味する次のコレッリの「ラ・フォリア」…

【CD】メンデルスゾーン:無言歌集 Vol.1&厳格な変奏曲 Op.54/反田恭平

 反田恭平が自ら立ち上げたレーベルからリリースする、ソロアルバム第一弾。緊急事態宣言の頃に、子どもの頃弾いたメンデルスゾーン「無言歌集」の魅力が心に蘇り、取り組むことにしたという、全曲録音の1枚目でもある。1曲ごとに別の筆に持ち替えるかのごとく筆致を変え、独特の肌触りの音で、各楽曲の心情を描き出す。ピアノは1887年製…

【CD】ブラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ/川口尭史&橋本京子

 桐朋学園で学び、2017年から読響の奏者を務める川口尭史のデビュー・アルバム。すべての音やフレーズがこまやかに吟味・彫琢されながら、表情豊かで濃密な演奏が展開されており、ブラームスの重厚な魅力を堪能させられる。川口の豊麗な音と濃厚な表現に加えて、世界の舞台での経験豊富な橋本京子の雄弁かつ精妙なピアノの貢献(川口への触…

【CD】大石哲史、林光を歌う―雨の音楽―

 こんにゃく座の大石哲史、待望の「林光を歌う」。基本的には平明ながら凝った和声やメロディも散りばめられて誠に含蓄のある林光の歌たちを、大石はなんの虚飾も交えずに真っ直ぐ、素直に歌う。その実直な歌いぶりと明晰でていねいな日本語には居住まいを正される。なるほど完璧に整った演奏ではないが、林光の歌にはそういうものは重要ではな…