ストラヴィンスキーが三大バレエと同時期に書いた小オペラのライブ録音。まずは外題役のドゥヴィエルの歌が素晴らしい。彼女は美麗な声で官能的に歌い、見事な高音がとりわけ効果を発揮。どの場面も惚れ惚れさせられる。特に第2幕の〈ナイチンゲールの歌〉は聴きものだ。漁夫役のデュボワの繊細で滑らかな歌声も特筆されるし、歌手陣は端役まで全員が美しい。ロトが紡ぐデリケートな管弦楽は第1幕導入部から終始耳を惹きつけ、合唱も的確な歌声を披露。あまり顧みられないオペラだが、鮮やかで瑞々しい当録音は改めて作品の意味や妙味に気付かせてくれる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年4月号より)
【information】
CD『ストラヴィンスキー:歌劇《ナイチンゲール》 /フランソワ=グザヴィエ・ロト&レ・シエクル』
ストラヴィンスキー:歌劇《ナイチンゲール》
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
レ・シエクル
サビーヌ・ドゥヴィエル(ソプラノ)
シリル・デュボワ(テノール) 他
収録:2023年3月、パリ(ライブ)
ERATO/ワーナーミュージック・ジャパン
5419.762404 ¥オープン価格