【CD】ジョン・フィールド:ノクターン全集/アリス=紗良・オット

 「ノクターン(夜想曲)」といえばショパンのそれが有名で、その創始者であるジョン・フィールドの全18曲を収めたアルバムはさほど多くはない。アリス=紗良・オットがフィールドのノクターンの魅力を知ったのはコロナ禍だという。どれだけ彼女の心を打ち抜いたのかは、このアルバムを聴くとよくわかる。素直かつノーブルな旋律や、柔らかく親密な内声部の伴奏を、オットは慈しみに満ちたタッチで響かせ、知的かつ繊細に作品ごとの気分を描く。第12番のコーダなどには彼女らしい工夫も聴き出せる。趣味の良い間合いの表現も流石である。折に触れて聴き続けたい一枚だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年3月号より)

【information】
CD『ジョン・フィールド:ノクターン全集/アリス=紗良・オット』

フィールド:ノクターン第1番〜第18番

アリス=紗良・オット(ピアノ)

ユニバーサル ミュージック
UCCG-40133(初回限定盤・2枚組・CD+DVD)
¥4400(税込)
UCCG-45114(通常盤) ¥3300(税込)