サントリーホール オペラ・アカデミー 受講生募集中

音楽の殿堂が提供する学びの場

 サントリーホールでは、若い音楽家のためにオペラと室内楽の2部門からなるアカデミーを開講している。いずれも同ホールが力を入れるジャンル。そのひとつオペラ・アカデミー第6期生の募集が6月1日から始まった。“サントリーホール”と聞くとどうしても“コンサート”と思ってしまいがちだが、アカデミーもハイクオリティ。その驚くべき充実ぶりを紹介したい。

2年間の研修はすべて無償

 コンサートホールとしての存在感はいうまでもないが、オペラとの関係も深いサントリーホール。1993年に始まったホール・オペラ®は、客席がステージを取り巻く空間とコンサートホールならではの音響を活かし、ビジュアル的にもサウンド的にも新しいオペラの上演スタイルを実現した。出演者もジュゼッペ・サッバティーニ、レナート・ブルゾン、フェルッチォ・フルラネット、マリア・グレギーナ、エヴァ・メイなど、世界的スーパースターがステージを彩ってきた。そのホール・オペラ®と時を同じくしてスタートしたのが、サントリーホール オペラ・アカデミーだ。音大を卒業し、本気でプロを目指す若い声楽家とピアニストの成長と成熟のために “研鑚の場”だけでなく “演奏の場”も提供してきた。

 今回、募集しているのは基礎的なテクニックの習得を目指す「プリマヴェーラ・コース」。発声の基本からベルカント唱法、イタリア古典歌曲、室内歌曲および古典派オペラまでの基礎を学ぶ。2021年7月から2年間におよぶ研修は、すべて無償で行われるというから驚きだ。講師によるレッスンはもちろんのこと、アカデミーのメンバー同士が互いの歌を聴いて意見を出し合うことで啓発しあう研修会のスタイルも大きな特徴になっている。

錚々たる講師陣

 そしてさらなる注目点は豪華講師陣。ホール・オペラ®の第1回にも出演している元テノール歌手で指揮者のジュゼッペ・サッバティーニがエグゼクティブ・ファカルティを務め、ソプラノの天羽明惠やテノールの今尾滋など第一線で活躍する歌手やコレペティトゥアが指導に当たる。

ジュゼッペ・サッバティーニ

 アカデミーの創立メンバーでもあり、エグゼクティブ・ファカルティに就任し10年目を迎えるサッバティーニは以前次のように語っていた。

 「私にはオペラ歌手として20年、音楽家として50年の経験があり、これを若い世代の歌手や芸術家に継承していかなければならない。このプリマヴェーラ・コースを開講してからというもの、日本人の受講生の質は年々高まっている。私たちの任務は、世界の才能と若手芸術家たちを深い部分でつなげ、ともに何かを作り上げるということ。こうしたアカデミーは他では見られない。私をはじめ他の講師も、指導の経験を積み、多くのコンサートやオペラにおいて現役で活躍している。このアカデミーは世界に誇れるものだ」

レッスンの中でも、
「レチタティーヴォはオペラの機動力。まさに物語の展開、状況を説明するんだ。それに対してアリアは感情」
と熱く実践的な言葉を送る。

コロナ禍でもリモートで情熱的な指導

 昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響で公演や、アカデミーの通常研修も一時休止となってしまったが、4月にYouTubeを使って動画投稿型のレッスンを開始し、6月には感染症対策のガイドラインを策定し、コーチング・ファカルティによる対面レッスンや、サッバティーニによるローマからのオンライン・レッスンも再開した。発声からイタリア古典歌曲の指導まで、対面のレッスンと比較しても遜色ないほど情熱的な指導を行った。9月には「オペラ・アカデミー コンサート」を開催、それまでの研鑽の成果を披露した。

コロナ禍のレッスンレポートはこちら↓
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/article/detail/000557.html

国内外で活躍する修了生

 音楽シーンの第一線で活躍し、コーチング・ファカルティを務める天羽明惠もこのアカデミーの修了生。最近では、第2期を修了した迫田美帆が、2019年に藤原歌劇団公演《蝶々夫人》のタイトルロールに抜擢されている。その後も、同歌劇団の主要公演に出演し、今年6月にはNISSAY OPERA 2021 の《ラ・ボエーム》ミミ役で出演が決定している。迫田はアカデミーについて次のように語っている。

 「世界の名だたる劇場で歌ってきたサッバティーニ先生の求める音楽は世界レベルで、レッスンでは1音たりとも妥協が許されません。ファカルティの方々ももちろん世界基準を標準としていて、その中で発声の基本から、楽譜の読み方、発語・表現の仕方まで多くのことを学びました。
 始めは厳しいレッスンに心が折れそうになりましたが、必死に食らいつき、気がつくと自分自身も世界レベルを求め、耳、声、音楽への向き合い方が変わっていました。同時に周囲からも評価され始め、歌い手としての自信を持てるようになりました。
 このアカデミーで過ごした4年間、私にとってはイタリア留学に匹敵するほどの価値があったと思っています」

ぶらあぼで紹介した修了生

迫田美帆(アドバンスト・コース第2期修了)
https://ebravo.jp/archives/86235

中川郁文(プリマヴェーラ・コース第4期修了)
https://ebravo.jp/archives/73068

 日本のクラシック音楽の殿堂サントリーホールを舞台に2年間、世界的な音楽家の指導を無償で受けられ、さらにその成果を披露する場も提供してくれる。コロナ禍においてもその情熱が変わることはない。世界を目指す若き芸術家よ、今すぐ始動だ!

募集要項

研修期間:2021年7月〜2023年5月
※上記期間に継続して研修を受けられることを参加条件とする。
募集部門:声楽各パート、ピアノ 各若干名
応募資格:音楽大学またはそれに準じる専門性を有する大学卒業程度(満18歳より応募可)〜満28歳まで(2021年6月末現在)
応募期間:2021年6月1日(火)〜6月18日(金)必着

選考方法:
第一次選考:書類審査
第二次選考:実技審査(実技日程:2021年7月3日(土)、5日(月)、6日(火) のうちいずれか一日)
第三次選考:面接(2021年7月10日(土)、11日(日)のうちいずれか一日)

 また、2019年6月から在籍する第5期生の修了コンサートを、7月13日(火)ブルーローズ(小ホール)にて開催します。プリマヴェーラ・コース第5期生7名がイタリア室内歌曲を、アドバンスト・コース第4期生2名がオペラ・アリアを披露します。
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20210713_S_3.html