英国ロイヤル・オペラ2019年日本公演が、9月12日から23日にかけて開催される。アントニオ・パッパーノが02年、同劇場音楽監督に就任して以来、3度目の日本公演となる。
9月14日には神奈川県民ホールでヴェルディ《オテロ》の幕が開く。本公演を前に11日、最終総稽古(ゲネラル・プローベ)が行われた。
(2019.9/11 神奈川県民ホール 取材・文・写真:寺司正彦)
17年間という長きにわたりシェフを務めるパッパーノだが、すでに23年までの契約更新が発表されているように、劇場との関係は盤石だ。中堅から巨匠の域へと着実に歩みを進め、高く評価されるオーケストラビルダーとしてのパッパーノの手腕も相まって、両者はいままさに絶頂期を迎えていると言ってよいだろう。
それは、日本公演での確信に満ちたプログラムにも表れている。
今回の来日公演で披露されるのは、グノーの《ファウスト》とヴェルディの《オテロ》。過去2回(10年、15年)の日本公演も含め、ヴェルディ作品を中心に新旧2つのプロダクションというプログラミングには、パッパーノの一貫した強い主張がうかがえる。
すなわち、10年はロイヤルの伝統ともいえるリチャード・エア演出のヴェルディ《椿姫》と初演まもない《マノン》、15年は劇場の自信作である02年初演のヴェルディ《マクベス》とこちらも初演後1年も経たない《ドン・ジョヴァンニ》、そして今回の19年は、04年に初演されたロイヤルの目玉作品である《ファウスト》と、17年に初演されたばかりのヴェルディ《オテロ》だ。
イタリア人の両親のもとロンドンで生まれたパッパーノは、ヴェルディ作品の演奏解釈には定評がある。「《オテロ》は、ヴェルディの集大成というべき作品」と語るパッパーノが満を持しての披露となれば、万難を排して劇場へと駆けつけたいところだ。しかも今年だけでも5つの劇場でオテロ役を歌い「ヴェルディのオテロは、テノールが目指す頂点の役」と語るグレゴリー・クンデの鬼気迫る歌と演技を筆頭に、ヤーゴ役を歌わせたら世界のトップといわれるジェラルド・フィンリー、透明な歌声で汚れなき純粋なデズデモナを歌うフラチュヒ・バセンツと役者は揃った。
【第1幕】
【第2幕】
【第3幕】
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【Information】
英国ロイヤル・オペラ2019年日本公演
《ファウスト》
2019.9/12(木)18:30、9/15(日)15:00、9/18(水)15:00 東京文化会館
9/22(日)15:00 神奈川県民ホール
《オテロ》
2019.9/14(土)、9/16(月・祝)各日15:00 神奈川県民ホール
9/21(土)、9/23(月・祝)各日16:30 東京文化会館
問:NBSチケットセンター03-3791-8888
https://www.nbs.or.jp/stages/2019/roh/