あの興奮が再び! オール・チャイコフスキーの饗宴
去る6月に開催され、ピアノ部門で藤田真央が第2位に入賞したこともあって日本でも注目を集めた、第16回チャイコフスキー国際コンクール。ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、声楽部門に、今回から金管と木管楽器部門も加わり、全6部門から若き才能が世の中に紹介された。
そんな入賞者たちの一部が早くも日本にやってきて、飯森範親指揮、東京交響楽団と共演する。東京でのガラ・コンサートに出演するのは、まずピアノ部門第2位のドミトリー・シシキン。2015年のショパン国際ピアノコンクール入賞以来、日本でも注目されてたびたび来日しているが、今回は一段と磨きのかかった重く美しい音で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を披露してくれる。
チェロ部門第2位のサンティアゴ・カニョン=ヴァレンシアは、南米のコロンビア出身ということもあって注目を集めていたコンテスタント。個性的な外見と躍動感ある音楽性がマッチする彼は、「ロココの主題による変奏曲」を演奏する。
そして、ヴァイオリン部門は、優勝したセルゲイ・ドガージン。前々回の同コンクールで1位なしの2位(最高位)として来日しているので、記憶している方もいらっしゃるだろう。8年越しの再挑戦では、確信と力強さの増した演奏で、ついに頂点に輝いた。
ロシアの伝統あるコンクールで認められた若者たちが、キャリアの門出に演奏するオール・チャイコフスキー・プログラム。祝祭感に満ちた雰囲気の中で、その実力を堪能しよう。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2019年9月号より)
2019.10/8(火)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp/
※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。