

METライブビューイング2024‐25《アイーダ》2/28(金)公開
文:加藤浩子
世界に数あるオペラハウスの中でも、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ(MET)は格別の存在だ。
まず外観からしてワクワクする。コンサートホールやジュリアード音楽院などNYの文化施設が集合するリンカーン・センターに聳える、アーチ型のガラス窓を連ねた白亜の殿堂。ガラス窓の向こうには《魔笛》をモチーフにしたシャガールの壁画が広がる。夜、ホワイエに明かりが灯ると壁画もライトアップされ、カラフルな画面が夜空に浮かび上がるのは息を呑む美しさだ。

もちろん中身(公演)も超一流。シーズン中は毎日のように公演があり、どの演目にもその作品に適した歌手、作品を知り尽くした指揮者が登場する。スターに加えて若手も積極的に起用されるが、注目のライジングスターを揃えてくるのがMETなのである。近年は「METライブビューイング」を通じてシーズンのハイライト公演が世界各地の映画館で観られるようになっており、METの水準の高さが今まで以上に知られるようになってきた。
郵船トラベルが主催する「華麗なるメトロポリタン・オペラ!陽春のニューヨーク6日間」は、旅に最適な春にMETの目玉公演を堪能できる願ってもないツアーである。
E.ガランチャ、A.ブルー、B.ジェイド
超一流の歌手陣が集結、豪華絢爛なヴェルディ《アイーダ》
今シーズンのMETの最大の目玉が、36年ぶりの新演出となった《アイーダ》だ。「オペラの中のオペラ!」という表現が相応しい壮大な名作は、METの大舞台でこそ映える。マイケル・メイヤーの演出は、絢爛豪華なセットに最新の技術を駆使した映像も加味して、「古代エジプト」の雰囲気を立体的に創造。光り輝く音色と深い感情を伝える美声で魅了するエンジェル・ブルー(アイーダ)、クリームのような濃密な声と圧倒的な存在感で大スターとして君臨するエリーナ・ガランチャ(アムネリス)、世界を席巻する輝かしきドラマティック・テノール、ブライアン・ジェイド(ラダメス)というキャスティングは、《アイーダ》の物語の軸となる三角関係を劇的華麗に魅せてくれるはず。MET音楽監督ヤニック・ネゼ=ゼガンの、スケールの大きさと繊細さを併せ持つ指揮にも期待したい。



METライブビューイング2024‐25《アイーダ》2/28(金)公開
METデビューのJ.マルヴィッツのタクトが描く
モーツァルトの不朽の名作《フィガロの結婚》
もう一つの鑑賞公演は《フィガロの結婚》。万人を魅了する幸福感に溢れた、名作中の名作だ。リチャード・エアのスタイリッシュな演出、ヨアナ・マルヴィッツのスリリングな指揮に、情感と気品のある声で世界中から引っ張りだこの名花フェデリカ・ロンバルディら名歌手が揃うのも楽しみだが、ライブビューイング撮影公演というのも嬉しい。収録時には独特の緊張感と活気があり、いつも以上の高揚感が漂うからだ。カメラは客席も映すから、こちらが被写体になる可能性もあるかも? 日本上映は帰国後になるので、映画館で2度目を鑑賞し、当日と比べる楽しみもある。想い出の公演になることは間違いない。

オペラの他にNYフィルやミュージカル《シカゴ》も!
本ツアーではこの2公演とは別に、色々なジャンルの演目を別手配で楽しむことができる。どのジャンルにも目玉公演が勢揃いし、選ぶのに嬉しい悲鳴をあげることだろう。
METでは《セヴィリャの理髪師》と《魔笛》、どちらも大人気演目だ。ライブビューイングも予定されている《セヴィリャの理髪師》は、バートレット・シャーのおしゃれな演出に、歌もビジュアルも美しいイザベル・レナード(ロジーナ)、ベルカントのスーパースター、ローレンス・ブラウンリー(アルマヴィーヴァ伯爵)が共演する強力な公演。《魔笛》は、本作が「モーツァルト初のミュージカル」であることを実感させてくれるサイモン・マクバーニーの演出が必見だ。
アメリカを代表するオーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニックもぜひ現地で聴いてみたいところ。名匠イヴァン・フィッシャーと、情熱と品格が同居するリサ・バティアシュヴィリが共演するモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」は聴きものだ。バルトークのバレエ音楽「かかし王子」は、ハンガリー出身のフィッシャーが最も得意とするところ。切れ味鋭い名演は約束されている。
NYに行くならミュージカルも体験してみたいという方は、ブロードウェイ歴代1位のロングランを記録した『シカゴ』を。NYならではのジャズの香りにも酔える名作だ。

METライブビューイング2024‐25《セヴィリャの理髪師》7/11(金)公開
自由の女神からメトロポリタン美術館まで、観光も充実!
NYに来たからには、音楽だけではもったいない。船の上から「自由の女神」を見物できる市内観光も組み込まれているし、メトロポリタン美術館の見学もある(選択制)。光溢れる4月のNYを、思い切り満喫したい。


日本資本のサポートで安心、快適な旅を
旅は「安心」も大切な要素。往復は日本航空の直行便を利用。宿泊はこれも日系ホテルの「ザ・プリンス・キタノ・ニューヨーク」。行き届いたサービスに加え、電気ポットやバスタブ、ウォシュレット(欧米のホテルにはほとんどない)も完備している貴重なホテルだ。もちろん美味しい和食レストランもある。旅の合間にほっとできるのはとても大事だ。
音楽ツアーを手掛けて半世紀近くの郵船トラベルがそのノウハウをつぎ込んだ、充実のニューヨークツアー。120パーセントの満足が、あなたを待っていることだろう。



郵船トラベル
華麗なるメトロポリタン・オペラ!陽春のニューヨーク 6日間
<2025年4月24日出発>
旅行期間:2025.4/24(木)~4/29(火・祝)
出発地:東京
日数:6日間
問:郵船トラベル 音楽・美術ツアー専用デスク03-6774-7940
https://www.ytk.jp/music/
《フィガロの結婚》は後日映画館で鑑賞可能!
METライブビューイング2024‐25
モーツァルト:《フィガロの結婚》
2025.5/30(金)~6/5(木)(東京・東劇のみ6/12(木)までの2週間上映)
MET上演日:2025.4/26
詳細はこちら
https://www.shochiku.co.jp/met/program/6003/