富士山静岡交響楽団が日本オーケストラ連盟正会員となって初のCDは、首席指揮者の高関健によるベートーヴェン。交響曲第7番は、序奏から美しく彫琢される。主部の前進駆動は素晴らしく、若々しいエネルギーが漲っている。第2楽章の変奏のオブリガートがきれいで、中間部の木管の音色や、精緻なフガートが楽しめる。躍動感のあるスケルツォも、熱く高揚する終曲もとてもいい。「田園」は弦の透明な響きが清潔。緩徐楽章は弦の柔らかさと木管が溶け合って、とても美しい。高関はフレージングとアーティキュレーションに独特の工夫があって、新鮮に聴ける箇所も多い。野卑な舞曲と嵐を経て、感謝の終曲がまたきれい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2025年4月号より)
【information】
CD『ベートーヴェン:交響曲第7番・第6番「田園」/高関健&富士山静岡交響楽団』
ベートーヴェン:交響曲第7番、同第6番「田園」
高関健(指揮)
富士山静岡交響楽団
フォンテック
FOCD9918 ¥3300(税込)