9月12日、英国ロイヤル・オペラ2019年日本公演がグノーのオペラ《ファウスト》で開幕する。公演に先立ち9日、舞台稽古の一部が公開された。
(2019.9/9 東京文化会館 取材・文・写真:寺司正彦)
※リハーサルのため、衣裳、照明、その他、本番と異なります。
ゲーテの『ファウスト』は多くの作曲家を魅了し、古くはベートーヴェンやシューベルトが歌曲に取り入れ、ベルリオーズは劇的物語《ファウストの劫罰》を作曲した。そして、ベルリオーズを契機にシューマンは《ファウストからの情景》を、リストはファウスト交響曲を書き、マーラーは交響曲第8番「千人の交響曲」第2部に使用した。
ベルリオーズの系譜に連なるフランスの大作曲家グノーのオペラは、当時最も成功を収めた作品で、ファウストの歌うアリア〈この清らかな住まい〉やマルグリートのアリア〈宝石の歌〉、メフィストフェレスの〈金の子牛の歌〉など聴きどころは多い。
この日、稽古見学できたのは第4幕、第5幕のみだったため、それら直に耳にすることはできなかったが、なかでも、パヴァロッティの再来とも言われ、「私が何年もかけて獲得したテクニックはいま、上等な樽で熟成した上質のワインのような状態にあります」(La Valse by ぶらあぼ掲載 連載『いま聴いておきたい歌手たち』第7回 ヴィットリオ・グリゴーロより)と語るヴィットリオ・グリゴーロの甘美な歌声は人々を魅了するだろう。
そして特筆すべきは、第5幕「ワルプルギスの夜」でのバレエシーン。『ジゼル』を思わせるバレエが踊られるなか、お腹の大きいバレリーナ(妊婦マルグリート)が現れ、マルグリートが嘲り虐められるシーンは、ここでバレエが踊られる必然性をも感じさせるデイヴィッド・マクヴィカーの天才的演出で、いまや、オペラ《ファウスト》の目玉ともなっている。そしてそれは、「さすがロイヤル!」と唸らされるレベルの高さと豪華さだ。
圧巻の第2幕「キャバレー〈地獄〉」とともにバレエにもぜひ注目したい。
【第4幕】
【第5幕】
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英国ロイヤル・オペラ2019年日本公演
《ファウスト》
2019.9/12(木)18:30、9/15(日)15:00、9/18(水)15:00 東京文化会館
9/22(日)15:00 神奈川県民ホール
《オテロ》
2019.9/14(土)、9/16(月・祝)各日15:00 神奈川県民ホール
9/21(土)、9/23(月・祝)各日16:30 東京文化会館
問:NBSチケットセンター03-3791-8888
https://www.nbs.or.jp/stages/2019/roh/