ウィーン・フィル首席クラリネット奏者ダニエル・オッテンザマーが大阪フィルを吹き振り

故郷の仲間たちと縦横無尽に繰り広げるアンサンブル

左より:クリストフ・トラクスラー、シュテファン・コンツ、ダニエル・オッテンザマー ©Andrej Grilc

 大阪フィルハーモニー交響楽団による住友生命いずみホール特別演奏会は、昨年に引き続き、クラリネット奏者のダニエル・オッテンザマーと、同楽団ソロ・コンサートマスターの崔文洙がアーティスティック・リーダーを務め、指揮者を置かないスタイルで開催される。ウィーン・フィルの首席奏者としても知られるオッテンザマーは2024/25シーズンから大阪フィルのアーティスト・イン・レジデンスを務めてきた。今回のような継続的な協働がどれほど楽団にとって実りあるものとなるかを示す点でも、この公演には大きな期待が寄せられる。

 冒頭のモーツァルトの歌劇《ドン・ジョヴァンニ》序曲は崔のリードによって演奏される。続いて、同じくモーツァルトの協奏交響曲が、崔のヴァイオリン・ソロと、オリジナルのヴィオラではなくオッテンザマーのクラリネット・ソロで奏でられる。丁々発止のやりとりにも注目だ。

 さらに、ベートーヴェンの三重協奏曲では、オッテンザマーが近年精力的にトリオとして活動する幼馴染の二人、シュテファン・コンツ(チェロ)、クリストフ・トラクスラー(ピアノ)とともにソリストを務める。本来はヴァイオリンが担うパートをオッテンザマーがクラリネットでどのように表現するのかに加え、「私たちが心から音楽を楽しむバイブレーションが客席に伝わりますように!」という彼の言葉どおりに、アンサンブルとしての一体感をどう築き上げるのかも大きな聴きどころとなる。

文:小味渕彦之

大阪フィルハーモニー交響楽団 住友生命いずみホール特別演奏会
2025.7/3(木)19:00 大阪/住友生命いずみホール
問:大阪フィル・チケットセンター06-6656-4890
https://www.osaka-phil.com