
ラファウ・ブレハッチの音楽はつねに気品にあふれ、作品に対する誠実な姿勢は心を打つ。輝かしさとあたたかさを両立した音色で奏でられる音楽はさまざまな表情を見せ、聴き手を楽曲の世界へと自然に連れて行ってくれるのである。つねにいま伝えたい音楽は何かを考えながら活動を展開してきた彼は、丁寧に自らの音楽性を育て続け、選び抜かれたレパートリーで聴衆を魅了し続けているが、今回聴かせてくれるのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」にシューベルトの即興曲(op.90)、そしてショパンの舟歌にバラード第3番、マズルカ(op. 50)にスケルツォ第3番というプログラム。古典派からロマン派へのピアノ音楽の系譜ともいえる内容で、華麗な技術はもちろん、“ピアノで歌う”ための繊細な音色のコントロールなどあらゆるピアニズムが試される楽曲群である。つねに深化をつづけるブレハッチの“いま”を存分に味わうことのできるリサイタルとなることだろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2025年12月号より)
ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル
2026.1/26(月)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
1/29(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
2/3(火)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp
※他公演あり。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

長井進之介 Shinnosuke Nagai
国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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