原田慶太楼のタクトで中瀬智哉が躍動!
若き才能が輝くショパンのピアノ協奏曲

左:原田慶太楼 ©Claudia Hershner
右:中瀬智哉 ©キセキミチコ

 入学や進級、就職や転勤などの新生活に向けて、胸を高鳴らす人も少なくない3月の半ば、めぐろパーシモンホールで「フレッシュ名曲コンサート」が開催される。

 演奏は、原田慶太楼が指揮する東京交響楽団。曲目はビゼーの《カルメン》第1組曲と第2組曲、ショパンのピアノ協奏曲第1番という、まさしく名曲ばかりのプログラム。

 《カルメン》は世界で最も人気の高いオペラの一つで、豊かな色彩感と情熱的な旋律美、わきたつようなリズムの活力に満ちた、とびきりの名作だ。今回演奏されるのは、前奏曲や各幕の間奏曲のほか、〈ハバネラ〉や〈闘牛士の歌〉のようなアリアや合唱曲をオーケストラ用に編曲して11曲にまとめた、《カルメン》のエッセンスを手頃に楽しめる2つの組曲である。

 指揮の原田はこの3月まで、東響の正指揮者を5年間にわたり務めてきた。若々しい、ダイナミックな演奏をオーケストラとともに成しとげてきたポストからの「卒業」を間近に控えて、いっそうの熱演を聴かせてくれるのではないだろうか。

 後半はショパンの代表作で、ワルシャワのショパン国際ピアノコンクールの本選で演奏されることでもおなじみの、ピアノ協奏曲第1番。独奏は、桐朋学園大学ピアノ科に特待生として在学中の中瀬智哉である。2006年生まれのこの若者は、どんなフレッシュなショパンを聴かせてくれるのだろう。乞うご期待だ。

文:山崎浩太郎

(ぶらあぼ2025年12月号より)

フレッシュ名曲コンサート
原田慶太楼(指揮) × 中瀬智哉(ピアノ) × 東京交響楽団
2026.3/15(日)15:00 めぐろパーシモンホール
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904 
https://www.persimmon.or.jp


山崎浩太郎 Kotaro Yamazaki

1963年東京生まれ。演奏家の活動と録音をその生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書は『演奏史譚1954/55』『クラシック・ヒストリカル108』(以上アルファベータ)、片山杜秀さんとの『平成音楽史』(アルテスパブリッシング)ほか。
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