バッティストーニ指揮で東京フィルの新シーズン開幕! 10年の時を経て挑む「巨人」とレスピーギ

左:アンドレア・バッティストーニ ©GORZEGNO
右:五十嵐薫子 ©Seiji Okumiya

 東京フィルのシーズンは1月に始まる。2026年の新シーズンの幕開けを飾るのは、首席指揮者のアンドレア・バッティストーニ。今回もプログラムがおもしろい。レスピーギの「ピアノと管弦楽のためのトッカータ」(ピアノ:五十嵐薫子)とマーラーの交響曲第1番「巨人」という組み合せに期待が高まる。

 イタリア人指揮者であるバッティストーニにとって、自国の作曲家レスピーギをとりあげることは自然なことだろう。しかしこの曲を振る人はそうそういないのでは。「ピアノと管弦楽のためのトッカータ」はピアノ協奏曲の編成を持つ作品ではあるが、「トッカータ」の題が示すように、作曲者の視点は古典派よりも遡ってバロック音楽に向けられている。付点リズムによる荘重な冒頭はいかにもフランス風序曲。古楽を参照しつつも、そこにレスピーギ流の20世紀の感性が加わって、独自の世界がくりひろげられる。2022年に第76回ジュネーヴ国際音楽コンクールで第3位を獲得した五十嵐薫子のヴィルトゥオジティにも注目したい。

 マーラーの交響曲第1番「巨人」はバッティストーニが首席指揮者に就任する前の2014年にもとりあげられている。その熱くダイナミックな演奏はCDでも聴くことができるが、時を経てふたたびバッティストーニがこの曲に向き合う。そこにあるのは成熟だろうか、あるいは変わることのない若々しい情熱だろうか。

文:飯尾洋一

(ぶらあぼ2025年12月号より)

アンドレア・バッティストーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団
第1026回 サントリー定期シリーズ 

2026.1/23(金)19:00 サントリーホール
第1027回 オーチャード定期演奏会
1/25(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
定期会員券 2025.12/9(火)発売 1回券 2026.1/6(火)発売
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
https://www.tpo.or.jp


飯尾洋一 Yoichi Iio

音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 https://www.classicajapan.com/wn/