
1975年に設立された東京シティ・フィルが創立50周年を迎えた。それを記念して行われるのが、高関健が指揮するマーラーの交響曲第6番「悲劇的」(26.2/11)と第2番「復活」(3/31)の2公演である。同楽団が2015年に就任した常任指揮者・高関のもとで顕著な質的向上を実現しているのは、評論家とファン双方が認める確かな事実。中でも、ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィチの交響曲や演奏会形式のオペラといった大作で歴史的名演を繰り広げ、多大な賞賛を博している。特に近年はマーラーの交響曲に積極的に取り組み、22年3月の第9番、24年3月の第5番、25年1月の第7番、7月(フェスタサマーミューザ)の第1番で緻密な快演を成就。そして大作が続くこの記念演奏会を迎える。
彼らのマーラー演奏の特徴は、高関の綿密な研究や奥深い譜読みに基づく、細密な彫琢と清新な音のバランス、さらには的確なアプローチによる構築性抜群の音楽にある。実際、初めて耳にする音の動きや響きを毎回体験してきたので、その表現には興味津々。高関は、「これまでと同様、現存する自筆資料を中心に、最新の研究成果を取り入れて、作曲家が追求した表現や響きを」と述べているので、ここも期待は大きい。
2月の第6番は、マーラー作品の中でも4楽章交響曲としての完成度ナンバー1の名作だが、スケルツォと緩徐楽章の順番やハンマーの回数など指揮者の考えが音楽を左右する部分もあるので、まずはこの公演がすこぶる楽しみだ。何れにしても清新な「悲劇的」に驚嘆させられること必至。ゆえにぜひとも会場へ足を運びたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年12月号より)
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 50周年記念特別演奏会
マーラー:交響曲第6番
2026.2/11(水・祝)14:00
マーラー:交響曲第2番
3/31(火)19:00
サントリーホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
https://www.cityphil.jp


