コリヤ・ブラッハーがリープライヒ&日本フィルと奏でる、父・ボリスのヴァイオリン協奏曲

左:アレクサンダー・リープライヒ ©Sammy Hart
右:コリヤ・ブラッハー ©Felix Broede

 日本フィルハーモニー交響楽団と抜群の相性をみせ、2019年3月・12月、24年3月と共演を重ねているドイツ出身のアレクサンダー・リープライヒが、4月の東京定期演奏会に登場し、ドイツ音楽を中心としたプログラムを指揮する。

 一番の注目は、ヴァイオリンのコリヤ・ブラッハーが弾く、彼の父ボリス・ブラッハーの協奏曲だろう。1963年、ベルリン生まれのコリヤ・ブラッハーは、1993年から99年までベルリン・フィルのコンサートマスターを務めた後、ソリストとして活躍。アバドからの信頼が厚く、彼が音楽監督だったルツェルン祝祭管弦楽団でもコンマスを務めた。ボリス・ブラッハーは20世紀ドイツを代表する作曲家の一人であり、今回演奏されるヴァイオリン協奏曲は1948年に書き上げられた20分弱の作品である。モダンで新古典的なところもあり、比較的聴きやすい。既にCD録音もしているコリヤが日本でも同曲を披露してくれるのが楽しみである。

 コンチェルトの前には、ハイドンの交響曲第79番が取り上げられる。1779年にエステルハージ侯爵の許可がなくても外部からの作品委嘱を正式に受けられるようになり、国際的な評価を高めつつあった1784年頃の作品である。そして、演奏会後半には、アイヴズの「答えのない質問」とR.シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」が並べられる。ともに哲学的なテーマを扱った作品であり、近現代作品を得意とするリープライヒの解釈が興味津々である。
文:山田治生
(ぶらあぼ2025年3月号より)

アレクサンダー・リープライヒ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団
第769回 東京定期演奏会 
2025.4/11(金)19:00、4/12(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
https://japanphil.or.jp