ワルツ王が創設した名門! ウィーン・ヨハン・シュトラウス管が日本全国を駆け巡る

 新年の幕開けに「ニューイヤー・コンサート」を聴かないと1年が始まらない! そんな音楽ファンに朗報だ。ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団が新春に来日し、札幌、福岡、大阪、東京、名古屋、静岡を巡る一大ツアーを行う。

ヨハネス・ヴィルトナー ©Lukas Beck

 「ニューイヤー・コンサート」といえば、ヨハン・シュトラウスⅡ世による優雅なワルツや、オペレッタの序曲、活気あふれるポルカの数々だろう。ウィーンの街から生まれ、今や世界中で愛されている音楽だ。その魅力を最も正統な形で届けてくれるのが、今回来日するウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団である。1844年に19歳のシュトラウスⅡ世自身が創設した由緒ある楽団で、180年以上にわたり、ウィンナ・ワルツの真髄を守り続けてきた。ウィーンの空気そのものを運ぶように芳醇な響きを奏でる楽団である。

 今回タクトを振るのは、オーストリアの名匠ヨハネス・ヴィルトナーだ。元ウィーン・フィルのヴァイオリニストとして活躍した後に指揮者へ転向し、ロンドン・フィルやバイエルン放送響など世界の名門を指揮してきた。街の伝統の節回しを熟知した彼のタクトが、シュトラウス一族の音楽を生き生きと伝える。

ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団

 新年にシュトラウスの音楽がこれほどまでに愛されるのは、その華やかなメロディと弾むようなリズムが、新しい年の希望に満ちた祝祭感にマッチするからだろう。今回のツアーでは、まさにそうした音楽の力を余すところなく堪能できるプログラムが用意されている。ワルツ「美しく青きドナウ」「ウィーン気質」、ポルカ「雷鳴と稲妻」「ピチカート・ポルカ」など、ニューイヤー・コンサートの定番曲がずらりと並び、その躍動感と優美さが、新年への期待と祝福の気分を高めてくれる。

 さらに、東京・名古屋公演では人気ピアニスト石井琢磨が登場。ウィーンで学び、現在も同地在住の石井が披露するのは、自らがプロデュースを手掛けた「ウィーン協奏曲」(石井琢磨・佐藤圭・横内日菜子編曲)である。「こうもり」「美しく青きドナウ」「皇帝円舞曲」をピアノ協奏曲にアレンジした本作の世界初演も、華やかなステージとなるだろう。

 2026年のスタートを、最高の音楽とともに迎えよう。ワルツのきらめきに満ちたこのコンサートは、きっと一年の幸運を運んでくれるに違いない。

文:飯田有抄

(ぶらあぼ2026年1月号より)

ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団 ニューイヤー・コンサート
2026.1/14(水)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール(テンポプリモ03-3524-1221)
1/15(木)18:45 愛知県芸術劇場コンサートホール(中日新聞社コンサートデスク052-678-5323)
1/16(金)19:00 静岡市清水文化会館 マリナート(054-353-8885)

他公演
2026.1/6(火) 札幌コンサートホール Kitara(TVhテレビ北海道011-351-7277)
1/9(金) 福岡シンフォニーホール(ヨランダオフィス・チケットセンター0570-033-337)
1/11(日) 大阪/フェスティバルホール(06-6231-2221)
https://tempoprimo.co.jp
※公演により出演者、プログラムが異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。


飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)

音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。