イギリスのウェスト・ヨークシャー州リーズで行なわれていたリーズ国際ピアノコンクール(イモージェン・クーパー審査員長)は、現地時間9月20日、21日にファイナルの審査が実施され、カナダのジェイデン・アイジク=ズルコが優勝した。
名教師と知られ、2020年に100歳で亡くなったファニー・ウォーターマンが地元で創設し、1963年から続く世界屈指のピアノコンクール。ルプー、ペライア、内田光子、シフ、ケフェレック、小川典子など、歴代の入賞者には錚々たる顔ぶれが並ぶ。今回は、ジェンダーフリーの観点から女性作曲家の作品を積極的に課題曲に取り入る方針を打ち出し、話題を呼んだ。
ブラッドフォードのセントジョージホールで行なわれたファイナルでは、ドミンゴ・インドヤン指揮との共演で5名のピアニストが協奏曲の課題で熱演を披露。続いて行なわれた表彰式では、イモージェン・クーパー審査員長から最終結果が発表された。第3位のカン・ニ・ルオンはベトナム初のメダリスト。セミファイナルまで進出した牛田智大が、オンライン視聴者の投票によるMedici.tv聴衆賞を受賞したほか、各特別賞は以下の通り。
◎リーズ国際ピアノコンクール最終結果
第1位(金メダル) ジェイデン・アイジク=ズルコ(カナダ/24歳) Jaeden Izik-Dzurko
第2位(銀メダル) ジュンヤン・チェン(中国/23歳) Junyan Chen
第3位(銅メダル) カン・ニ・ルオン(ベトナム/27歳) Khanh Nhi Luong
第4位 カイミン・チャン(台湾/23歳) Kai-Min Chang
第5位 ジュリアン・マイルズ・トレベリアン(イギリス/25歳) Julian Miles Trevelyan
ヘンレ原典版賞 ライアン・チュー(カナダ/20歳) Ryan Zhu
ヤルタ・メニューイン賞(室内楽最優秀演奏賞) ジュンヤン・チェン
ロイヤル・リヴァープール・フィルハーモニック協会賞(現代作品最優秀演奏賞) カイミン・チャン
アレクサンドラ・ダリエスク賞(女性作曲家作品最優秀演奏賞) ジュンヤン・チェン
Medici.tv 聴衆賞 牛田智大(日本/24歳) Tomoharu Ushida
優勝したアイジク=ズルコは、ジュリアード音楽院とブリティッシュ・コロンビア大学を卒業。2022年のマリア・カナルス国際音楽コンクール、今年5月にモントリオール国際音楽コンクールでそれぞれ第1位となるなど、顕著な実績を残しており、すでにカルガリー・フィルはじめカナダ国内外のオーケストラの共演も多い同国期待の星。今回、ファイナルでは5人のうち最後に登場し、ブラームスの大作、ピアノ協奏曲第2番を披露。キレのあるリズム、パワフルなパフォーマンスとともに、緩徐楽章での瑞々しく抒情性あふれる美しいタッチも印象的だった。ビッグタイトルが加わり、今後さらなる国際的な活躍が期待される。
Leeds International Piano Competition
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