大野和士(指揮) 東京都交響楽団

イギリス・プロと気鋭チェリストが弾く難曲ルトスワフスキ

 4月の都響定期は音楽監督・大野和士の指揮でイギリス音楽をメインとするプログラムを披露する。

 まずは英作曲界のスター、マーク=アンソニー・ターネジの「タイム・フライズ」。都響がBBC、NDRエルプフィルと共同委嘱した作品で、それぞれのオーケストラの本拠地となる都市のイメージを音楽化したもの。軽快な旋律が堆積する「London Time」、堂々としたサウンドで綴る「Hamburg Time」、そしてジャジーでどこかユーモラスな「Tokyo Time」の3楽章からなる。東京2020オリンピック・パラリンピックの年に東京で初演の予定だったが、昨年の延期公演までも流れ、今回が三度目の正直。

 メインにくるのはエルガーの「エニグマ変奏曲」。自身の創作主題に14の変奏が続くが、それぞれに友人のイニシャルや愛称が付され、まさに作曲家の身近なところから生まれた音楽だ。第9変奏にあたる「ニムロッド」はしばしば独立して取り上げられる名旋律。

 この演奏会のもう一つの目玉は、チェロ界の超大型新人・上野通明がルトスワフスキの協奏曲を弾くことだ。ロストロポーヴィチのアドバイスを受けながら作曲された本作は屈指の難曲として知られるが、上野は2021年のジュネーヴ国際音楽コンクールのファイナルで取り上げ、見事優勝を飾った。この時の演奏はYouTubeで配信されているが、すさまじい集中力と圧倒的なテクニックに支えられた憑依型の演奏には、普段現代音楽を敬して遠ざけている方も引きずり込まれること必至(上野の熱気に押されてか、オケも熱い)。あの怪演、今度は生で味わいたい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2023年4月号より)

第973回 定期演奏会Aシリーズ 
2023.4/21(金)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057 
https://www.tmso.or.jp