「ヴィオラスペース2026 vol.34」 ――大阪&仙台公演は、地元の音楽家と織り上げる“ここでしか聴けない”プログラム

 1992年に創設された「ヴィオラスペース」は、開催30年以上を経て、いまや「ヴィオラの祭典」としてすっかり定着した。2024年からはN響首席の佐々木亮がプログラミング・ディレクターに就任し、新たなコンセプト設定や豪華出演者で新機軸を確立しつつある。

 今年は常連となっている日本のトップ奏者たち、昨年同時開催された第6回東京国際ヴィオラコンクール入賞者に加えて、ベルリン・フィル首席のアミハイ・グロス(大阪・東京)が初参加。東京公演の会場は、初めてのサントリーホール ブルーローズでの開催となり、例年より1公演多い3公演が用意されているが、いずれも人気公演となっている。

左:佐々木亮 ©Taisuke Yoshida
右:アミハイ・グロス ©Felix Rettberg

地域に根差し広がるヴィオラの環

 ヴィオラスペースは2004年から東京以外でも開催されている。大阪は歴史が長く、相愛大学公開講座「若手演奏家のための公開マスタークラス」は22回目、大阪公演は21回目を迎える。さらに、2006年には名古屋、2018年には名古屋から仙台開催と展開した。

 それぞれの地域では地元の音楽家の参加が特色となっている。大阪で中心となるのがヴァイオリン奏者、教育者として知られる小栗まち絵。相愛大学公開マスタークラスの創設に尽力し、大阪公演には今回を含め全21回に出演。さらに同大学の学生や関西で活動する音楽家たちも出演する。今回は小栗とグロスと有吉亮治(ピアノ)によるメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番が注目を集めそうだ。

左:小栗まち絵 ©Makoto Kamiya
右:有吉亮治 ©Satoshi Oono

 仙台公演では、仙台フィル楽団員が毎年のように賛助出演を重ねており、今回はコンサートマスター神谷未穂が参加。さらに、仙台出身の若きヴィオラ奏者の鈴木双葉、長谷山博史が初出演する。そして、第6回東京国際ヴィオラコンクールの入賞者から、イーシュウ・リン(第1位)と笠井大暉(第2位)が東京公演に続いて登場するのも注目だ。

左上より:神谷未穂/長谷山博史/鈴木双葉/イーシュウ・リン/笠井大暉

 また、今年は相愛大学出身のサクソフォン奏者、安泰旭が大阪と仙台公演のためベルリンから駆け付ける。しかも、佐々木と安と有吉でのヒンデミット「ヴィオラ、ヘッケルフォンとピアノのための三重奏曲」という、滅多に聴けない作品での出演。ちなみに、東京では同作が佐々木と有吉と山根孝司のバスクラリネットで演奏される。このイベントならではの珍品が全国で聴けるのである。

安泰旭 ©Kaan Alicioglu

 ヴィオラの魅力を全国に広げる「ヴィオラスペース」、東京だけでなく、大阪と仙台の公演にもぜひ注目してほしい。

文:林昌英

ヴィオラスペース2026 vol.34
~仲間、そして友情~

2026.5/21(木)~5/29(金)大阪、東京、仙台

●ヴィオラスペース2026大阪
5/22(金)19:00 あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール


♪出演
佐々木亮、アミハイ・グロス、高村明代、五十嵐美果、田村明子、丸山緑(以上ヴィオラ)
小栗まち絵(ヴァイオリン) 安泰旭(テナー・サクソフォン) 有吉亮治(ピアノ)

♪曲目
フックス:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲より第3,4,9,12番
 小栗まち絵(ヴァイオリン) 佐々木亮(ヴィオラ)
デイル:6本のヴィオラのための序奏とアンダンテ
 アミハイ・グロス、丸山緑、高村明代、五十嵐美果、田村明子、佐々木亮(以上ヴィオラ)
ノックス:マラン・マレ「スペインのフォリア」の主題による変奏曲
 高村明代、丸山緑、五十嵐美果、田村明子(以上ヴィオラ)
ヴォーン・ウィリアムズ:「グリーンスリーヴス」による幻想曲
 佐々木亮(ヴィオラ) 有吉亮治(ピアノ)
ヒンデミット:ヴィオラ、ヘッケルフォンとピアノのための三重奏曲
 佐々木亮(ヴィオラ) 安泰旭(テナー・サクソフォン) 有吉亮治(ピアノ)
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番
 小栗まち絵(ヴァイオリン) アミハイ・グロス(ヴィオラ) 有吉亮治(ピアノ)

●ヴィオラスペース2026仙台
5/29(金)19:00 宮城野区文化センターPaToNaホール


♪出演
佐々木亮、イーシュウ・リン[第6回東京国際ヴィオラコンクール第1位]、笠井大暉[第6回東京国際ヴィオラコンクール第2位]、鈴木双葉、長谷山博史(以上ヴィオラ)
神谷未穂(ヴァイオリン) 安泰旭(テナー・サクソフォン) 有吉亮治(ピアノ)

♪曲目
フックス:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲より第3,4,9,12番
 神谷未穂(ヴァイオリン)佐々木亮(ヴィオラ)
テレマン:カノン風ソナタ 第1番
 佐々木亮、鈴木双葉(以上ヴィオラ)
ベートーヴェン(ターティス編):3本のヴィオラによる三重奏曲
 イーシュウ・リン、佐々木亮、笠井大暉(以上ヴィオラ)
ブリテン:リフレクション
 笠井大暉(ヴィオラ) 有吉亮治(ピアノ)
ミヨー:4つの顔
 イーシュウ・リン(ヴィオラ) 有吉亮治(ピアノ)
ベンジャミン:ヴィオラ、ヴィオラ
 イーシュウ・リン、笠井大暉(以上ヴィオラ)
ヒンデミット:ヴィオラ、ヘッケルフォンとピアノのための三重奏曲
 佐々木亮(ヴィオラ) 安泰旭(テナー・サクソフォン) 有吉亮治(ピアノ)
J.S.バッハ(野平一郎編):シャコンヌ~4つのヴィオラのための
 笠井大暉、長谷山博史、イーシュウ・リン、佐々木亮(以上ヴィオラ)

問:テレビマンユニオン03-6418-8617
https://www.tvumd.com




林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。