名門バーミンガム・ロイヤル・バレエ団が大阪・堺で「眠れる森の美女」を上演

©Bill Cooper

 イギリスが誇る二大バレエ団の一つ、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団が7年ぶりに来日する。ロンドンのロイヤル・バレエ団とは姉妹カンパニーであり、名門の誉れ高い。

 フェニーチェ堺で上演する『眠れる森の美女』全3幕プロローグ付は、ペローの童話に基づく台本にチャイコフスキーが作曲したクラシック・バレエの最高峰。名匠ピーター・ライトの演出・振付は、ロシアを経て英国で磨き上げられた正統派で洗練されている。

 何よりもドラマを大切にした演出で、善をつかさどる妖精リラの精を、初演当時のようにマイム(身ぶり手ぶり)で演じる役とするなど、演劇性が高い。むろん踊りも充実し、長い眠りから覚めたオーロラ姫が王子と踊るパ・ド・ドゥは英国版らしい甘美な名場面だ。美術・衣裳には深みと艶があり、ギャヴィン・サザーランドが指揮するザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団による生演奏も入るので、総合芸術としての厚みを堪能できるだろう。

 主演予定のダンサーにも注目。オーロラ姫のセリーヌ・ギッテンスは、繊細な腕づかいなどで優美な英国スタイルを体現する。フロリムンド王子のヤシエル・ホデリン・ベロは、キューバ国立バレエのプリンシパルを経て入団した気鋭であり、のびやかな踊りに期待したい。

 なお、5月にはトークイベント「海外バレエカンパニーの魅力と秘密〜英国とドイツの事例〜」が行われ、山本康介、大石裕香とそれぞれ英国、ドイツのバレエ団で活躍してきた二人が欧州バレエの魅力や本番のみどころを紹介する。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ2025年4月号より)

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「眠れる森の美女」
2025.7/2(水)18:30 フェニーチェ堺
問:フェニーチェ堺072-223-1000 
https://www.fenice-sacay.jp