【SACD】團伊玖磨:歌劇《夕鶴》(全曲)/沼尻竜典&神奈川フィル

 團伊玖磨は鎌倉や横須賀に居住した神奈川ゆかりの作曲家。昨年、生誕100年を記念して神奈川フィルが横須賀で地元の児童合唱団を起用し《夕鶴》を上演、その録音が音盤化された。近年躍進著しい砂川涼子と清水徹太郎というフレッシュな二人を主役に据え、指揮の沼尻竜典がまっさらな視点から作品を見つめ直した。つうと与ひょうが感情を生々しくぶつけ合うことで、民話のオペラ化というイメージから作品を解き放ち、欲望と愛の葛藤をテーマとするドラマティックな悲恋物語として描き直す。音楽もたっぷりと呼吸する振幅の大きな演奏で、次の100年の團作品の解釈をリードする仕上がりとなった。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2025年2月号より)

【information】
SACD『團伊玖磨:歌劇《夕鶴》(全曲)/沼尻竜典&神奈川フィル』

團伊玖磨:歌劇《夕鶴》

沼尻竜典(指揮)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
砂川涼子(ソプラノ) 清水徹太郎(テノール) 晴雅彦(バリトン) 三戸大久(バス)
横須賀芸術劇場少年少女合唱団

収録:2024年4月、横須賀芸術劇場(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00855(2枚組) ¥5500(税込)