桐山建志とチェンバロの平井み帆による17〜18世紀のヴァイオリン・“ソナタ”集。作曲年代順に並べられていて、前半のマリーニ、ウッチェリーニ、ストラデッラのソナタは珍しい。ヴィヴィアーニはバロック組曲のような舞曲集。コレッリのソナタの第2楽章フーガは、桐山のリズムの切れ味がよく、聴き応えがある。アダージョも情感豊かでとてもきれい。今回特に感心したのはジェミニアーニ。典雅な序奏から繊細な表情が素晴らしい。快活なアレグロは生き生きと躍動する。緩徐楽章は美しく、内なる心情を吐露する。そして心弾むジーグ風終曲。古典に近いロカテッリとブルネッティも魅力的だ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2025年2月号より)
【information】
CD『忘れられた宝石〜17-18世紀イタリアのヴァイオリン音楽/桐山建志&平井み帆』
マリーニ:ソナタ第4番/ウッチェリーニ:ソナタ第1番/ヴィヴィアーニ:イントロドゥツィオーネ第1番/ストラデッラ:シンフォニア第3番/ロナーティ:ソナタ第1番/コレッリ:ソナタ第1番/ジェミニアーニ:ソナタ第6番/ロカテッリ:ソナタ/ブルネッティ:ソナタ第11番
桐山建志(ヴァイオリン)
平井み帆(チェンバロ)
コジマ録音
ALM-1226 ¥3300(税込)