【CD】モーツァルト:弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」全6曲/クァルテット・エクセルシオ

 結成30年のクァルテット・エクセルシオが、モーツァルトの難曲「ハイドン・セット」を録音し、円熟の境地を披露している。第14番の冒頭から、清潔でとても美しい。第2主題も躍動する。メヌエットの半音階楽想の対位法的な絡みもきれいだ。そして終楽章のフーガも精緻で、天空を駆けるようなポリフォニー。第15番ニ短調の悲哀のデリケートな表情と内容豊かな変奏終曲、第17番「狩」の爽やかなリズムの切れ味、第18番の地味ながら豊かな声部書法、第19番「不協和音」の重苦しい序奏と弾けるような生き生きとしたアレグロの対比の妙と、滋味豊かな緩徐楽章。いずれも味わい深い。
文:横原千史
(ぶらあぼ2025年2月号より)

【information】
CD『モーツァルト:弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」全6曲/クァルテット・エクセルシオ』

モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番〜第19番

クァルテット・エクセルシオ
【西野ゆか 北見春菜(以上ヴァイオリン) 吉田有紀子(ヴィオラ) 大友肇(チェロ)】

ナミ・レコード
WWCC-8022-4(3枚組) ¥5500(税込)