New Release Selection

【CD】Four Elements Vol.1:Water/小菅優

 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏と録音を終え、「四元素」と題したコンサートシリーズを行っている小菅優が、ついにそのシリーズの第1弾を録音で発表した。今回は「水」をテーマに様々な国の、水に直接、もしくは間接的に関わる楽曲を集めた。思索的で哲学的なアイディアのもとに集められた楽曲たちが、小菅の豊かな表現力によって鮮…

【CD】タイユフェール:2台のピアノのための作品集 /中島彩也香&花岡千春

 じつにユニークなアルバムが生まれた。フランス6人組の紅一点、ジェルメーヌ・タイユフェールによる2台ピアノ作品集である。バレエ音楽「鳥商人」、「ブルレスク組曲」「小さなお船があったとさ」「新しきシテール島」など、標題からも胸踊るような楽しい小品で構成されており、シンプルかつエスプリの効いた世界観が伝えられる。「2台のピ…

【CD】バッハ:ゴルトベルク変奏曲 /アンサンブル「音楽三昧」

 ピリオド楽器も交え、バッハからショスタコーヴィチ(!)まで聴かせてきた「音楽三昧」の最新盤は「ゴルトベルク変奏曲」。鬼才・田崎瑞博のユニークな編曲は、5人の奏者が変奏ごとに様々な組み合わせで登場し、原曲に忠実なものから、旋律線まで手を入れる思い切った創作まで多様。すべては名曲の世界に没入して全力で「遊ぶ(≒演奏する)…

【CD】ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」/朝比奈隆&新日本フィル

 朝比奈隆が手兵大阪フィル以外で恒常的に指揮したのが新日本フィルで、《指環》全曲など名録音を多く残した。彼らとの最後のベートーヴェン・ツィクルスも、この「第九」で完結した。90歳になろうという巨匠の芸の奥行が随所で感じられる。冒頭楽章がとても立派な造形である。ヴィブラートをたっぷり効かせた弦の美しいこと。第1主題の頂点…

【CD】モーツァルト:ファゴット協奏曲&交響曲第29番 他/ウィーン・クラシックス

 そのサウンドに、私たち日本人が郷愁を覚えるのは、なぜなのだろう。ウィーン・フィルの大ベテラン・ファゴット奏者のミヒャエル・ウェルバが、10人の若き弦楽奏者をはじめ、同僚たちと結成したアンサンブル「ウィーン・クラシックス」。ウェルバの“吹き振り”で収録されたモーツァルト作品集は、弦楽器の細やかなヴィブラート遣いやウィー…

【CD】ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ/石上真由子

 聴くときは万全の態勢を整えてから再生ボタンを押してほしい。ヤナーチェクの第一音の衝撃。大胆。しかし不敵ではなく真摯。奏者が完全に作品を自分の中に消化して、それを表現しきる濃密な音色、高い技術、そして熱き魂を持っていることが一瞬で明らかになる。果たして、全曲を聴くほどにその印象は強まっていく。当盤は新進気鋭のアーティス…

【CD】ラヴェル:ピアノ協奏曲/酒井有彩

 幼少期より数々のコンクールで華やかな成績を残し、パリおよびベルリンで長年研鑽を積んだ実力派のピアニスト、酒井有彩のファーストCD。推進力に溢れるラヴェルのピアノ協奏曲(飯森範親指揮、日本センチュリー交響楽団)をアルバム冒頭に据え、独奏曲としてショパン、ラヴェル、クライスラー(ラフマニノフ編)、サン=サーンス(ゴドフス…

【CD】ドビュッシーとパリの詩人たち/青柳いづみこ&高橋悠治

 日本を代表するドビュッシー研究家・ピアニストである青柳いづみこによる本ディスクは、ドビュッシーの「印象派」というイメージをくつがえす重要なものとなっている。ドビュッシーは象徴派や高踏派の詩人と親交を結び、影響を受けた楽曲を数多く残した。詩と密接に結びついた音楽が青柳と高橋悠治との連弾や青柳と盛田麻央のデュオによって紡…

【CD】ノクターン/ヴァンゲリス

 映画音楽の分野でも巨匠的存在のヴァンゲリスの、初となるグランド・ピアノのためのオリジナル作品集。初披露となる11曲に加えて、『炎のランナー』『ブレードランナー』など代表作の新編曲も収められている。“エレクトロニカの父”と称せられる通り、壮大なシンセサイザー・サウンドを映画界にもたらした彼だが、今回は、シンプルながら深…

【CD】ドゥセク:「祈り」〜ピアノのためのグランド・ソナタ/佐藤祐介

 大胆かつ繊細、時空を超えた先鋭的なアプローチを続ける若き鬼才ピアニスト、佐藤祐介が、19世紀初めにヨーロッパ中で人気を博したボヘミア出身の作曲家、ヨハン・ラディスラウス・ドゥセク(1760〜1812)に対峙した。その作風はメロディアスかと思えば、厳格な対位法に基づいたり、意表を突いた転調を伴ったりと独創性の極み。佐藤…