
右:ラファエラ・グロメス ©Wildundleise De
読響と数々の名演を実現してきた名誉客演指揮者の尾高忠明。彼がもっとも得意とする英国音楽、そのなかでも自家薬籠中の逸品である、エルガーの「創作主題による変奏曲『エニグマ』」が演奏される。
メランコリックな主題と作曲家の友人たちを描いたという14の変奏曲からなる作品だ。それぞれの友人の名前は隠されていたが、現在はほぼ解明。性格によって各々の変奏が鮮やかに表現し分けられている。そして、主題に含まれない隠された主題はまだエニグマ(謎)のままだ。
尾高は、この名曲を過去に何度演奏したのだろうか。今回の読響との公演では、持ち前のパーフェクトなバランスで、カッチリとそれぞれの変奏を描いてくれるはず。このコンビによるシンフォニックな味わいは格別だ。
プログラム前半では、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を取り上げる。チェリストは、ラファエラ・グロメス。1991年ミュンヘンに生まれた彼女は、今回が初の来日公演となる。
ソニー・クラシカルの専属アーティストとして、昨年はシレンコ指揮ウクライナ国立交響楽団との共演でドヴォルザークのチェロ協奏曲を録音。2023年に戦時下のウクライナを訪れてこの曲を演奏したことを契機に実現したというレコーディングだが、その気迫のこもった力強い演奏に、グロメスの鋭い感受性がうかがえた。このパッションが東京と横浜でも再現されるのか。読響も熱くそれに応えることを期待して。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2025年4月号より)
尾高忠明(指揮) 読売日本交響楽団
第682回 名曲シリーズ
2025.5/15(木)19:00 サントリーホール
第141回 横浜マチネーシリーズ
5/17(土)14:00 横浜みなとみらいホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp