トリノ王立歌劇場記者会見開かれる

 「イタリアの至宝」トリノ王立歌劇場が3年ぶりに来日、今月29日(金)から華々しく開幕する。今回はプッチーニの《トスカ》、ヴェルディの《仮面舞踏会》と名作オペラが2本立て(全7回公演)。特別演奏会としてヴェルディの《レクイエム》とロッシーニ《スターバト・マーテル》他を1公演ずつという贅沢なプログラミングである。
 本日の記者会見では11名が登壇。まずは歌劇場総裁のワルター・ヴェルニャーノが挨拶し「前回2010年に引き続き、今回もイタリアが誇るオペラの名作を2つお届け出来るのは嬉しいこと。イタリアが国として経済危機に晒される中でも我々の歌劇場は順調に公演を行い、再びの来日も果たすことが出来て幸せです」と述べた。

 続いては芸術監督の指揮者ジャナンドレア・ノセダが口を開き「この歌劇場の素晴らしさは何よりチームワークにあります。出演者もスタッフもたがいに高めあって芸術的な成果に結びつけるのです」と団結力を強調。その彼に促される形で《トスカ》で競演する2人の名ソプラノもマイクを取る。

ジャナンドレア・ノセダ
ジャナンドレア・ノセダ

 まずはイタリアのプリマ、ノルマ・ファンティーニが「私もトリノ生まれなので、自分が誇る街のオペラハウスを、日本の皆様に改めて紹介できることが嬉しくてたまりません。トスカの心に燃える愛情の炎は、今日私が来ているジャケットと同じく赤々としています!」と情熱を込めてスピーチ。
ノルマ・ファンティーニ
ノルマ・ファンティーニ

 続いてダブルキャストで登場の米国のスター、パトリシア・ラセットも「トスカは複雑な内面を抱える女性ですが、彼女の心の激しさや感情の波をどうやって作り上げ、皆さまにお届け出来るか、それに全力であたってみます。日本は15年ぶり。『ざるそば』がまた食べられるのが嬉しいです!(笑)」と溌剌と語った。
パトリシア・ラセット
パトリシア・ラセット

 この後、会場からの質問に答えて、《トスカ》の演出家ジャン=ルイ・グリンダが「今回のコンセプトは、人生最後の瞬間におけるフラッシュバックをどう表現するかに尽きます。私にとって演出で一番難しいのは『時代性』の表現ですが、その点も含めてステージをお楽しみに」とコメント。
 また、《仮面舞踏会》の出演者を代表してテノールのラモン・ヴァルガスもスピーチ。「このオペラは国王の暗殺事件を下敷きにして作られましたが、実在のグスタフ3世は芸術家になりたいという強い願望を抱いていたそうですね。しかし、父王の急逝で突然王位を継がねばならず、その結果、想いも叶わぬままに亡くなりました。僕が今回演じるリッカルドの役にも、その国王の心を重ねて演じたいと思います。皆様ぜひご来場ください」と力強く締め括っていた。
文:岸純信(オペラ研究家) Photo:M.Terashi/TokyoMDE

ラモン・ヴァルガス
ラモン・ヴァルガス


■information

《トスカ》(プッチーニ)
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽・合唱:トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団
演出:ジャン・ルイ・グリンダ
出演:ノルマ・ファンティーニ(トスカ)(11/29、12/2)、パトリシア・ラセット(トスカ)(12/5、12/8)、マルセロ・アルバレス(カヴァラドッシ)(全日)、ラド・アタネリ(スカルピア)(全日)
日程:11月29日(金)・18:30、12月2日(月)・15:00、12月5日(木)・18:30、12月8日(日)・15:00
会場:東京文化会館

《仮面舞踏会》(ヴェルディ)
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽・合唱:トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団
演出:ロレンツォ・マリアーニ
出演:オクサナ・ディカ(アメーリア)、ラモン・ヴァルガス(リッカルド)、ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ(レナート)、マリアンネ・コルネッティ(ウルリカ)、市原 愛(オスカル)
日程:12月1日(日)・15:00、12月4日(水)・18:30、12月7日(土)・15:00
会場:東京文化会館

特別コンサート
「レクイエム」(ヴェルディ)
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽・合唱:トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団
独唱:バルバラ・フリットリ(ソプラノ)、ダニエラ・バルチェッローナ(メゾ・ソプラノ)、ピエロ・プレッティ(テノール)、ミルコ・パラッツィ(バス)
日程:11月30日(土)・14:00 会場:サントリーホール

問:ジャパン・アーツぴあ 03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp
ローソンチケット 0570-000-407 l-tike.com/torino2013
テレビ東京チケット事務局 03-3435-7000

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