広上淳一&日本フィル「オペラの旅」始動! サントリーホールで愉しむ《仮面舞踏会》

左より:広上淳一 ©Masaaki Tomitori/中村恵理/宮里直樹 ©FUKAYA Yoshinobu/auraY2

 日本フィルがフレンド・オブ・JPO(芸術顧問)の広上淳一と新シリーズ「オペラの旅」をスタートさせる。「衣裳と照明、演出のついたセミ・ステージ形式の上演で、サントリーホールという極上の音響を持つホールで創り出す“音の空間”を楽しんでほしい」と広上。

 今回取り上げるのは、ヴェルディ中期の代表作のひとつ《仮面舞踏会》。18世紀スウェーデンの啓蒙君主であるグスタフ3世の暗殺事件を元にした物語で、陰謀渦巻く宮廷を舞台に、恋愛と裏切りが交錯する傑作だ。音楽は、独立して演奏されることも多い充実した序曲、そしてドラマティックなアリアや二重唱があり、セミ・ステージ形式で聴くのには適した作品といえる。演出を手がける高島勲は「同じ中期の《椿姫》や《リゴレット》などとは違い、悲劇ではあるものの最後に“赦し”という希望の光がある。悲惨な戦争が続く現代の社会情勢の中で、この作品を上演することの意味を感じてもらえるような演出にしたい」と意欲を見せる。

 アメーリアの中村恵理、リッカルドの宮里直樹、レナートの池内響など新しい世代を代表するソリストが集結。合唱は東京音楽大学の学生が担うが、広上は「プロの演奏家と学生によるコラボレーションから生まれる響きにも注目してほしい」と語る。これまで日本フィルはあまりオペラに縁がなかったが、シリーズ化することで、より幅広い層にこのジャンルの魅力を知ってもらいたいという思いもあるそう。オペラ・ファンの裾野が広がる意欲的な企画に成長することを期待したい。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2025年4月号より)

広上淳一&日本フィル オペラの旅 Vol.1 ヴェルディ:オペラ《仮面舞踏会》
2025.4/26(土)、4/27(日) 各日17:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
https://japanphil.or.jp