村田千佳 音+ピアノ・アンサンブルシリーズ 第3回

シューベルトの深い魅力に浸る

 ピアニストの村田千佳が企画する《音+ピアノ・アンサンブルシリーズ》。室内楽奏者として世界のトップ奏者たちから篤い信頼を得る彼女が、ピアノ室内楽の無限に広がる魅力を伝えるべく、昨年12月にスタートした全4回のシリーズだ。クァルテットを迎えた第1回、ヴァイオリンとクラリネットを迎えた第2回に続き、第3回は、ウィーン・フィルのコンサートマスターでもあるヴァイオリニストのライナー・ホーネックと共に、オール・シューベルト・プログラムを届ける。今回のプログラムには「ソナチネ第1番」、「幻想曲D934」、「二重奏曲D574」といった作品が並ぶ。
 両者によるシューベルトの共演は2011年にも東京で行われ、高い評価を得た。ウィーンっ子シューベルトの音楽性を体得しているホーネックに、村田のピアノが敏感に反応する。村田は東京芸大大学院修了後にウィーン国立音大大学院の室内楽科で学んでおり、そうした素地に豊富な室内楽経験が相まって、薫り高い自然な演奏が実現する。会場がトッパンホールという、緻密なアンサンブルの妙をすみずみまで聴くことができる空間であるのも嬉しい。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2013年12月号から)

★11月30日(土)・トッパンホール Lコード 37670
問 プロアルテムジケ 03-3943-6677
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