日本第一線の音楽家からなる楽団の記念碑的演奏会
世界的に活躍する日本人演奏家から選りすぐりのメンバーを集め、室内管弦楽団を作ったら、どんな響きとなるだろう? 水戸芸術館初代館長であり、戦後日本を代表する音楽評論家でもあった吉田秀和のそんな想いを実現したのが、1990年に結成された水戸室内管弦楽団である。その特別な響きは水戸市のみならず、日本各地の聴衆を唸らせてきた。2020年の第105回定期演奏会は、創立30周年を祝う特別公演となり、これまで演奏してきたレパートリーから思い出のある作品を取り上げる。
まずチャイコフスキーの「弦楽セレナード」第1楽章からスタート。そしてヴァイオリン独奏に豊嶋泰嗣、オーボエ独奏にフィリップ・トーンドゥルを迎えて、J.S.バッハの「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 BWV1060R」が演奏される。続くショスタコーヴィチ(バルシャイ編)による「アイネ・クライネ・シンフォニー op.49a」は吉田と同楽団に捧げられたもの(原曲はショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第1番で、バルシャイ指揮により1995年に初演された)。さらに、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲集」、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」が取り上げられる。
これまで数々の名演を残してきた水戸室内管だが、結成30年を経て、その音楽的な密度はさらに深まっていくだろう。この第105回定期演奏会のプログラムはバロックから現代までと幅広く、傑出したアンサンブルの多様な音楽性を示すものになりそうだ。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2020年1月号より)
2020.2/1(土)、2/2(日)各日15:00 水戸芸術館コンサートホール
問:水戸芸術館チケット予約センター029-231-8000
https://www.arttowermito.or.jp