フランス音楽の名手、岡本愛子(ピアノ)がラヴェル生誕150年にユニークな選曲で映し出す作曲家の肖像

 東京藝大、パリ国立高等音楽院で学び、フランス音楽のスペシャリストとして長きにわたり活動を続けている岡本愛子。ラヴェル生誕150年の今年、ラヴェルのピアノ・ソロに室内楽作品を加えたコンサートを開催する。

 ピアノ・ソロの名作「鏡」「亡き王女のためのパヴァーヌ」、さらに遺作のヴァイオリン・ソナタや歌曲集「マダガスカル島民の歌」などユニークな選曲だ。岡本はラヴェル作品の持つ多彩な面に焦点を当てている。

 「鏡」の第4曲〈道化師の朝の歌〉には「万華鏡のように色彩豊かな音楽の中に隠れた、哀愁を帯びた影の部分を表現したい」、また反植民地主義的な内容の歌詞をもつ「マダガスカル島民の歌」については「コンセプトをラヴェルの平和へのメッセージと捉え、その思いを伝えたい」と語る岡本。

 共演は、ソプラノの東城弥恵、ヴァイオリンの安田真理、フルートのピエール・モンティ、そしてチェロのダニエル・ラクローらフランス音楽も得意としている面々だ。ラヴェル・イヤーにおいて、とりわけ印象深い演奏会になることだろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2025年4月号より)

岡本愛子ピアノリサイタル ~ラヴェル生誕150年記念~
2025.5/5(月・祝)14:00 東京文化会館(小)
問:新演コンサート03-6384-2498
https://www.shin-en.jp