
スーパーテノールと呼べる歌手は世界に何人かしかいない。ほとんどが日本でコンサートを行ったが、一人、まだ実現していないアーティストがいる。それがハビエル・カマレナである。
あのメトロポリタン歌劇場(MET)で拍手が止まらず、パヴァロッティとフローレスに続きMETでアンコールに応えた3人目となったカマレナ。欧米では、いま挙げた2人に負けない実力とスター性が認められている。よく話題になるハイCの輝きも途方もない水準だが、それはカマレナの魅力の一部にすぎない。
極上の艶を帯びてどこまでもやわらかく、叙情的な美しさに銀色の輝きを湛える声。それを変幻自在に操って音楽に無限の表情をあたえ、感情をどこまでも深掘りする。そんな天性の素質とスーパーな芸が備わるから、超高音も特別に輝くのだ。この2月にナポリのサン・カルロ劇場で聴いた《ロメオとジュリエット》のロメオ役がまさにそうだった。
そのアリアをはじめ、スーパーテノールの魅力を全方位から味わう、極上の2時間になるだろう。共演は園田隆一郎指揮、東京フィルハーモニー交響楽団。
文:香原斗志
(ぶらあぼ2025年4月号より)
ハビエル・カマレナ(テノール) 21世紀の“キング・オブ・ハイC” 日本初ソロコンサート
2025.5/15(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:楽天チケット ticket-concert@mail.rakuten.com
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