Interview2 小林顕作(俳優、声優、ダンサー、脚本家、演出家)

「OK! オーケストラ」司会の小林顕作さんに聞く

0歳の赤ちゃんが声を出してOK! みんな一緒に体を動かすのもOK!
そんな「OK! オーケストラ」のステージを盛り上げてくれるのが、司会を務める小林顕作さんです。
NHK Eテレの子ども向け番組「みいつけた!」の“オフロスキー”役でおなじみの小林さんに、子どもたちや音楽との接点、司会についてのユニークな視点を語っていただきました。

取材・文:飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター


■子供たちに大人気の小林さん

──小林顕作さんは役者・ダンサー・演出家・作詞作曲などマルチにご活躍で、NHK Eテレ「みいつけた!」の「オフロスキー」として、お子さんたちにも大人気です。サラダ音楽祭では赤ちゃんから参加可能な「OK!オーケストラ」の司会としてご登場されますね。
小林:「オフロスキー」が好きで来てくれる子供たちがいたら、「オフロスキー」ではなく僕が登場して、「あれ?!」っていう反応になるかもしれないけれど(笑)、すぐに馴染んでくれたら嬉しいですね。

──小林さんは、絵本の読み聞かせ公演でもご活躍です。子供たちと接するときに、大切にされていることはありますか?
小林:子どもを“子ども扱い”をしないこと。それに尽きるかな。僕はどんな人にも対等でありたいと思っているんです。たまに、とても小さい子にあえて「いかがでしたか?」なんて丁寧語を使ったりもします(笑)。
 ただ、3歳とか5歳とかの子どもたちは、社会性という面ではまだ未開発な部分が多いですから、くだいて言わないとわからないこともあります。大人同士なら省けることも、子供の場合は「え、今の、ぜんぜんわかんない」となったりする。そういう場合は、間(ま)の取り方や、声のトーンなどを工夫して、どう表現すべきかを考えています。
でも基本的には、大人も子供も対等でいい。大人が子供をナメてかかるのは簡単。でも、僕だって3歳の子から、「オレ3年しか生きてねぇけど、オマエたいしたことないぞ」って、いつ言われるかわかりません(笑)。

──小林さんは、子どもたちの気持ちをつかむだけでなく、子どもの気持ちになれる方なのだと思います。小さい頃の記憶は鮮明にあったりしますか? どんなお子さんでしたか?
小林:僕は0歳児の頃からの記憶があるんです。団地に住んでいたんですが、家のグレーの絨毯の上に、僕はうつ伏せになっていて、目の前にピンク色の犬のぬいぐるみがあって、向こうで家族が笑ってる……。その光景が記憶にあったのですが、5歳ごろになった時、初めてその場面の写真を見たんです。その時「これ覚えてる」って言ったら、姉ちゃんに「きもちわるい!」なんて言われましたね(笑)。
 小さい頃は、わりと感覚の鋭い子だったみたい。感じたことを歌にして、ずっと歌っていたそうです。「おまえはヘンな歌ばっかり歌ってたぞ」と、よく兄ちゃんたちに言われましたね。でも何かやれば、周りが面白がってくれるのが嬉しかった。その流れの中で生きてきて、自然と今の活動につながったのかなと思います。



■クラシック音楽との出会いは幼少期

──お父様の小林乾治さんは作詞家でいらしたのですよね。
小林:アメリカやポリネシアの民謡を、日本語に訳してアレンジしていました。父が大のクラシック音楽好きで、レコード・コレクターでした。家では朝からずっとクラシックが流れてましたね。

──小さな頃からクラシックに馴染みがおありだったのですね。
小林:レコードには触らせてもらえませんでしたけどね。自分でクラシックを「かっこいいな」と思い始めたのは20代になってから。バッハはこんな感じかぁ、モーツァルトはこういう線ね、みたいに感覚的に楽しんでいるだけですが。
好きな作品は、オーケストラのドカンとしたもの、エモーショナルなもの、ストーリー性のあるものかな。ラヴェルの「ボレロ」は大好きで、ステージで使ったこともあります。ただし、舞台は銭湯。次々と立派な男たちが洗い場に入ってくる、というストーリーでした(笑)。



■「OK!オーケストラ」は“部屋感”を出したい!

──「OK!オーケストラ」は、指揮者体験、ダンス体験など、お客さん参加型のコンサート。司会者の役割は大きそうですね。
小林:どんなお客さんが来てくれるのか、当日になってみないとわからないですよね。すごく元気な子もいれば、ちょっと萎縮しちゃう子もいるかもしれない。その子たちがどの辺りに座っているかも、その時になってみないとわからない。あまり作り込み、準備しすぎると、かえってうまくいかないことが多いので、客席の反応を見ながら、結果的にみんなが楽しい気持ちになれるように進行したいです。

──ダンスで出演する「コンドルズ」ですが、実は小林さんは、コンドルズの創設時からのメンバーでもあるんですよね。
小林:普段は僕も学ランを着てみんなと踊ったり、コントでツッコミを入れたりしています。今回僕は司会だけれど、気心知れた仲間たちとのステージなので、遠慮もいらないし、やりやすいですね。

──指揮の大野和士さんとは初共演とのことですね。
小林:はい。大野さんにもいっぱいお話をしていただきたいと思っています。「あの、僕が司会なんですけど……」ってツッコミを入れたくなるくらいに、お話ししていただけたらいいな。ご縁を嬉しく思っています。

──最後に、司会者としてどんなコンサートにしたいですか?
小林:都響さんはいろいろなコンサートをなさっていますが、未だかつてないほど賑やかなコンサートにしたいですね!
 赤ちゃんを抱っこした人たち、オフロスキーが好きな人たちが、オーケストラって楽しいな、コンサートにもっと行ってみたいな、と思ってくれるようにしたい。
会場が大きい分、どれだけみんながリラックスできる「部屋感」を出せるか、ですね。畳が見えそうなくらいリラックスしてもらえたら、僕の勝ちですね(笑)。そんな中でオーケストラを聴けたらきっと楽しいし、音楽体験が変わると思います。みなさんと会場でお会いできるのを、楽しみにしています!


【Information】
TOKYO MET Salad MUSIC FESTIVAL 2018
トーキョー・メット・サラダ・ミュージック・フェスティバル 2018[サラダ音楽祭]

2018.9/17(月・祝)東京芸術劇場コンサートホール/池袋エリア(公園・商業施設)
[OK!オーケストラ]
 13:00 東京芸術劇場コンサートホール
[音楽祭メインコンサート〈プルミエ・ガラ〉カルミナ・ブラーナ × Dance!!] 19:00 東京芸術劇場コンサートホール

※無料コンサート、ワークショップなど詳細は下記ウェブサイトをご確認ください。
問:サラダ音楽祭事務局03-5444-2786 
http://salad-music-fes.com/