2019年3月、日本オペラ協会が創立60周年記念公演として、なかにし礼作・台本、三木稔作曲のオペラ《静と義経》を上演する。9月7日、都内で制作記者発表会が開かれた。この作品は、1993年に鎌倉芸術館の開館記念委嘱作品として作られ、なかにし礼の演出で初演されたもの。初演は立ち見まで出る大盛況で、新聞各紙や雑誌で大絶賛された。この25年前の初演で主人公静の母親である磯の禅師を演じた日本オペラ協会総監督・郡愛子の「60周年に再演を」という熱望が実現に結びついた。
「《静と義経》は、世の無常を背景に、義経と交わした愛の契りを現世で叶えられない静が、義経との永遠の愛を誓い、息絶えるまでを描いた3幕もののオペラです。美しいアリアや重唱があり、また能や歌舞伎でもお馴染みの名場面が次々に繰り広げられていく豪華絢爛の歴史絵巻。その魅力は初演から25年経った今でも色褪せることはありません。東京初演となる今回の再演を、日本オペラのさらなる発展へと繋げたいと考えています」
今回監修を務める、なかにし礼は「私のオペラに対する思いがすべて込められている」と語る。
「音楽と言葉を総合的にまとめあげたグランド・オペラであり、大変大がかりな作品なので再演は難しいと思っていましたが、今回、東京で再演できるのがとても嬉しい。現在の日本オペラ界を牽引する精鋭のみなさんがどのように歌ってくださるのか、今から楽しみです」
静に坂口裕子・沢崎恵美、義経に中井亮一・中鉢聡ほか、日本オペラ協会を支えてきた大勢の歌手を配し繰り広げられる日本オペラの傑作が、いよいよ東京にそのすがたを現す。
取材・文:室田尚子
日本オペラ振興会
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