巨匠・スラットキンが都響初登場、十八番のラフマニノフを披露!

左:レナード・スラットキン ©Niko Rodamel
右:金川真弓 ©Victor Marin

 1月の都響公演にレナード・スラットキンが登場する。80歳を迎えたアメリカ出身のスラットキンは、飛躍的に向上させて脚光を浴びたセントルイス響をはじめ、ワシントン・ナショナル響、リヨン管、デトロイト響等のシェフとして辣腕を振るってきた現代屈指の巨匠。N響への客演でもお馴染みだが、都響とは初共演となる。造形確かで引き締まった音楽を創造する名指揮者だけに、高密度の機能美を有する都響とのコラボへの期待は大きい。

 プログラム最初は、現代アメリカを代表する作曲家の一人シンディ・マクティーが、9・11への思いをこめた「弦楽のためのアダージョ」。曲の背景に加えて、作曲者はスラットキンの夫人ゆえに、入魂の名演必至だ。メインは、憂愁のスラヴ情緒と甘美なロマンティシズムに溢れたラフマニノフの交響曲第2番。スラットキンは交響曲全集を二度完成させるなどこの作曲家を大の十八番としている。ここは、端正かつ自然体の美しさに満ちたスタイリッシュな音楽を堪能できるに違いない。

 間を繋ぐのは、名手ハイフェッツの委嘱で書かれたウォルトンのヴァイオリン協奏曲。クールな美しさと超絶技巧が満載された名作だが、日本での生演奏は貴重なうえに、今回は金川真弓の独奏が期待値を引き上げる。彼女は、2019年チャイコフスキー国際コンクール入賞後、内外で活躍。特に日本の大半の楽団と共演し、この上ない信頼を得ている。欧米仕込みのワールドワイドな感性の持ち主で、作品も彼女の個性にピッタリ。ここは曲の真価を体感できる稀有の機会となる。かように本公演は前後半共に大注目だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年1月号より)

レナード・スラットキン(指揮) 東京都交響楽団
第1014回 定期演奏会Bシリーズ

2025.1/14(火)19:00
都響スペシャル(平日昼)
2025.1/15(水)14:00
サントリーホール
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp