第15回 ヘンデル・フェスティバル・ジャパン オラトリオ「テオドーラ」(演奏会形式)

聴きどころ満載、ヘンデル円熟期の“自信作”


 大作曲家ヘンデルの多彩な作品を紹介することを目的に、2003年にスタートした「ヘンデル・フェスティバル・ジャパン(HFJ)」。15回目は、作曲者自身が「ほかのどの作品よりも、優れている」と評したオラトリオの傑作「テオドーラ」(全3部)を、HFJ実行委員長でヘンデル研究の第一人者、三澤寿喜の指揮で全曲上演する。
 当作は1749年、ヘンデルが64歳の時に作曲。翌年3月16日にロンドンのコヴェント・ガーデン王立劇場で初演された。ローマ帝国期の4世紀、現在のトルコにあたるアンタキアの王女テオドーラが囚われの身となり、救出を試みた恋人ディディムスと共に、結局は信仰に殉じる崇高な姿を描く。
 「情感豊かな独唱と重唱、立体的で奥行きのある四声合唱。簡潔ながら表現力豊かな管弦楽。どれをとっても、最高の完成度を誇る円熟期の傑作」と三澤は評する。ヘンデル本人も、特に第2部を締め括る合唱曲について、有名な「ハレルヤ」よりも「はるかに優れている」と自負。他にも“嘆きのアリア”や“別れの二重唱”など、特に第2部には名旋律が多い。
 キャストは、ソプラノの阿部早希子(テオドーラ)、アルトの山下牧子(ディディムス)と主役の女性歌手2人をはじめ、メゾソプラノの波多野睦美(キリスト教徒の女イレーネ)、バスの牧野正人(総督ヴァレンス)、テノールの辻裕久(ディディムスの友人セプティミウス)ら古楽唱法に長けた実力派ばかり。管弦楽のキャノンズ・コンサート管弦楽団もコンサートマスターの川久保洋子、首席チェロ奏者の懸田貴嗣ら、欧州の主要アンサンブルでも活躍する、オリジナル楽器の精鋭が顔を揃える。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年1月号より)

2018.1/14(日)15:30 浜離宮朝日ホール
問 HFJ事務局0297-82-7392
http://www.handel-f-j.org/