
楽曲を深く読み解き、その魅力を研ぎ澄まされた技術と音色で語るように奏でるピアニスト、河村尚子。世界を舞台に活躍する彼女だが、その功績が認められ「第51回サントリー音楽賞」を受賞。昨年は日本デビュー20周年を迎え、記念アルバムのリリースとリサイタルが大きな話題を呼んだ。
常に技術と表現力に磨きをかけながらレパートリーを拡大している河村が、今年日本で初めて披露するのは女性作曲家の作品。サントリー音楽賞の受賞記念演奏会でエイミー・ビーチのピアノ協奏曲を演奏したことをきっかけに積極的に取り入れるようになったという。現代は多くの素晴らしい女性作曲家が活躍しているが、19世紀から20世紀にかけて、それは非常に困難なことであった。今回はそんな時代に創作を続けたイギリスのレベッカ・クラーク、ドイツのクララ・シューマン、スウェーデンのアマンダ・レントヘン=マイエルに焦点を当て、デュオから四重奏曲まで様々な編成の楽曲を披露する。
室内楽奏者としても多くのアーティストから信頼を寄せられている河村。新境地ともいえるプログラムに彼女とともに挑むのは、岡本誠司(ヴァイオリン)に赤坂智子(ヴィオラ)、そして伊藤悠貴(チェロ)だ。いずれも世界的に活躍する奏者であり、その音色、表現力が重なり合うことで生まれる音世界は楽曲の魅力を最大限に届けてくれることであろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2025年3月号より)
河村尚子が贈る音楽の旅 Vol.2 Nos Dames – 我らの女性
2025.4/25(金)19:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
https://www.ojihall.jp
他公演
2025.4/20(日) 兵庫県立芸術文化センター(小)(0798-68-0255)